前歯部口腔前庭に装着するプレートの厚径が口唇閉鎖時の口輪筋活動に及ぼす影響

  • 佐々生 康宏
    大阪大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部
  • 舘村 卓
    大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座
  • 野原 幹司
    大阪大学歯学部附属病院顎口腔機能治療部
  • 和田 健
    大阪大学大学院歯学研究科高次脳口腔機能学講座

書誌事項

タイトル別名
  • Change in EMG activity of the orbicularis oris muscle in relation to configuration of a plate within the labial vestibule during lip closure

この論文をさがす

抄録

<p>【目的】摂食・嚥下障害例の中には,口唇機能の障害が原因となる場合があり,口唇機能向上のための訓練が必要とされる.今回,訓練具を用いた口唇への負荷療法を考案する上で,口腔前庭に装着するプレート(口唇プレート)の厚径が口輪筋活動に及ぼす影響を調べた.</p><p>【方法】健常成人5名を対象に,以下のような作製基準で口唇プレートを被験者ごとに作製した.すなわち,高径を上下中切歯の歯頸線間の距離,幅径を左右犬歯の遠心間の距離とし,断面形状を前方凸型にし,厚径を5.0mmから順に2.5mmずつ増加したプレートをそれぞれ作成した.厚径の最大値は,各被験者が口腔前庭に装着した時に口唇閉鎖可能な限界までとした.被験活動として,各厚径のプレートを口腔前庭に装着し,10秒間口唇閉鎖させた.上・下口輪筋筋電図は,表面電極にて双極誘導で採取し,口唇閉鎖した時点から10秒間の積分筋活動を0.5秒おきに測定した.</p><p>【結果】プレートの厚径と上・下口輪筋活動値の順位相関係数はそれぞれ0.92~0.95 (0.93±0.01),0.90~0.98 (0.93±0.03) を示し,いずれの被験者においても有意の相関関係(p<0.01)が認められた.すなわち,口唇プレートの厚径の増加に対応して,上・下口輪筋活動が大きくなる傾向が認められた.</p><p>【結論】口輪筋に負荷を与えることによって口唇機能を向上させる訓練を行う上で,プレートの厚径が重要な要素となる可能性が示された.</p>

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

キーワード

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ