血管性皮膚病変に対する銅蒸気レーザーの有用性の検討

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タイトル別名
  • Study on the availability of copper vapor laser for vascular skin lesion.

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抄録

近年, selective photothermolysisというレーザー療法の治療指針が提唱され, どのような機能を有したレーザーが血管性あるいは色素性皮膚病変の治療に有効であるかが明らかにされた。そこでこの治療指針にある程度合致し, オキシヘモグロビンの吸収ピークのひとつに対応した578nm(黄色光)と, 511nm(緑色光)の二種類の波長の光を照射することが可能な銅蒸気レーザーが開発されたので, それを使用し, portwine stainをはじめとする種々の血管性皮膚病変35症例の治療を行った。全般改善度は, 治療後の色調の程度を5段階に分類し, また患者自身の満足度を考慮して判定した。その結果, 全般改善度は, 改善以上が, 57.1%, やや改善以上が, 94.2%であった。副作用は1名の患者にレーザー照射後, 一過性の軽度の色素沈着が見られたが, 患者はそのまま治療を継続し, 現在は色素沈着はほとんど認められていない。その他, ケロイドなどの瘢痕は全く認められず, 全般改善度と副作用を勘案し, 有用性を判定すると, 有用以上が68.6%, やや有用以上が97.1%と良好な治療成績をおさめた。以上より, このレーザーは血管性皮膚病変に有用であり, とくに毛細血管拡張症のみられる病変や, tunable dye laserであまり効果の見られない血管腫のいくつかにも有効であることが期待された。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 56 (2), 358-365, 1994

    日本皮膚科学会西部支部

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (15)*注記

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