日向灘沿岸におけるクロメ場の立地環境条件について

抄録

1 県下全域でクロメ場が衰退していく中にあって現存する延岡市熊野江及び門川町地先でその分布と立地環境条件を調査した。2 各クロメ場の面積を計測するとともに,熊野江地先1か所,門川地先2か所の代表的な位置に測線を設け,ライントランセクト法により潜水目視観察を行った。3 どのクロメ場も養殖業と定置網漁業が盛んで、魚類の進入が少ないと思われる湾奥部に現存していた。4 クロメ場の衰退・回復前後の藻食性魚類の来遊状況や藻体に残された被食痕,底質とウニ類の分布等から,クロメ場の存立を制限している主な要因の一つはアイゴ,ムラサキウニ等の藻食性動物による食害にあると思われた。5 アイゴ等藻食性魚類への対策としては,直接的にクロメ場全体を守ることは困難であるが当該魚種に対する漁獲圧を高めることが考えられる。6 ムラサキウニへの対策としては,直接ウニを除去し生息密度を低減することや,岩礁域に隣接する砂泥上の転石(直径約60cm)にクロメの生育が認められることを応用したブロックの設置等によるクロメ場の拡大が可能と考えられる。7 小規模であってもクロメ場を維持することは,核藻場として衰退要因が緩和された際にいち早く胞子を供給し回復させる上に重要である。

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