地域看護診断における地区視診のためのガイドライン作成の試み

  • 狭川 庸子
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
  • 都筑 千景
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
  • 斉藤 恵美子
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野
  • 金川 克子
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻地域看護学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Development of the Community Inspection Guideline for Community Health Nursing Diagnosis

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抄録

目的:保健婦(士)活動において「自らその地区を歩き,自分の目で見て,また感じて情報を得る方法」,すなわち「地区視診」のためのガイドラインを試作し,その有用性について検討する.方法:米国の地域看護領域で用いられているwindshield surveyの構成表を参考に,日本の実状に合うよう修正,加筆し,15項目からなる「地区視診のためのガイドライン」を作成した.それを用いて,平成9年7月にI県W市において3日間のフィールド調査の合間に,7名の調査者で地区視診を実施した.W市内の6地区について,調査者の記入した記入内容を,該当地区の受け持ち保健婦に提示し,各内容について妥当であるかどうかの評価を依頼した.併せて,記入漏れの内容の指摘,各地区の把握内容に関する総合評価,またガイドラインに対するコメントを依頼した.結果:調査者がガイドラインを参考に地域を観察して記入した内容は298におよび,その約9割が保健婦によって妥当であると評価された.妥当とされなかった内容や,記入漏れの内容は,主に地区の間違いによるものと,調査実施期間が短いために十分に把握できていないことによるものであった.各地区の把握内容に関する総合評価は,比較的良好であり,ガイドラインを用いて把握した内容については,短期間のうちに良く地区の雰囲気を捉えられているなど,肯定的な保健婦からのコメントが多かった.結論:さらに改良していく余地は残るものの,今回試作したガイドラインは,地区視診の実施においてある程度妥当な結果が得られ,有用であると考えられた.

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被引用文献 (1)*注記

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