1999/2000年の三重県における乳幼児に対するインフルエンザワクチンの有効性

  • 高橋 裕明
    三重県科学技術振興センター保健環境研究部
  • 大熊 和行
    三重県科学技術振興センター保健環境研究部
  • 寺本 佳宏
    三重県科学技術振興センター保健環境研究部
  • 福田 美和
    三重県科学技術振興センター保健環境研究部
  • 矢野 拓弥
    三重県科学技術振興センター保健環境研究部
  • 杉山 明
    三重県科学技術振興センター保健環境研究部
  • 中山 治
    三重県科学技術振興センター保健環境研究部
  • 神谷 齊
    国立療養所三重病院

書誌事項

タイトル別名
  • EFFICACY OF INFLUENZA VACCINE FOR YOUNG CHILDREN IN MIE PREFECTURE IN THE 1999/2000 PREVALENT SEASON
  • 1999 2000ネン ノ ミエケン ニ オケル ニュウヨウジ ニ タイスル インフルエンザワクチン ノ ユウコウセイ

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抄録

目的 1999/2000年に三重県内の乳幼児を対象に行った調査結果を解析し,乳幼児に対するインフルエンザ HA ワクチンの有効性と安全性について評価を行うことを目的とした。<br/>方法 三重県内 5 か所の小児科を受診した 6 歳未満の乳幼児を対象とし,保護者に調査の主旨を説明し承諾を得たうえでワクチン接種群,非接種群を設定し,基本属性,基礎疾患の有無,調査開始後 1 週間毎のかぜ症状の有無等を調査した。また,接種群については,ワクチン接種後48時間以内の副反応調査を行うとともに,採血に同意が得られた対象者について,ワクチン接種前,1 回接種後,2 回接種後の計 3 回抗体価を測定した。これらの調査結果をもとに,ワクチン効果について発熱を指標とした解析を実施した。<br/>結果 38℃以上の発熱について,ワクチン接種群の非接種群に対する相対危険は有意に小さくなるとともに,解析対象を全期間とした場合0.79であったものが流行期間に制限すると0.62と低下した。また,多重ロジスティックモデルによる解析の結果でもオッズ比0.42と有意に接種群の発熱リスクが低くなった。接種群では,ワクチンに含まれる抗原により,接種による抗体価の変動に差がみられた。また,38℃以上の発熱について,A/シドニーへの40倍以上抗体価獲得群の非獲得群に対する相対危険は有意に小さくなった。<br/>結論 ワクチン接種群では,インフルエンザによる38℃以上の発熱に関する相対危険は0.62より小さくなり,ワクチン有効率は少なくとも38%より大きくなることが示唆された。また,40倍以上の抗体価獲得群と非獲得群で相対危険に有意差が認められたことから,ノンレスポンダー等の免疫応答が弱い群に対する接種方法等の検討が必要と考えられた。

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被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (17)*注記

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