物・語りの『ユリシーズ』 : ナラトロジカル・アプローチ
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書誌事項
物・語りの『ユリシーズ』 : ナラトロジカル・アプローチ
南雲堂, 2009.6
- タイトル別名
-
The narrative object in Ulysses
物語りのユリシーズ : ナラトロジカルアプローチ
物語りのユリシーズ
- タイトル読み
-
モノ カタリ ノ ユリシーズ : ナラトロジカル アプローチ
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注記
主要参考文献: p329-334
内容説明・目次
内容説明
『ユリシーズ』は物語ではなく「物・語り」である。通常、「物」は自ら言葉を発することがなく、一方的に「語られる」存在である。植民地支配によって本来の言葉と文化を奪われた人々、政治的・宗教的迫害によって故郷を追われた人々、父権性社会の下で「声」を失った女性たち、帝国主義戦争で倒れた無名の兵士たち。彼らは自らについて語ることができない「物」として生きた。ジョイスが二十歳そこそこで捨てた故郷アイルランドは、そのような人々の声なき声に満ちていたのである。モダニズムの代表作を精緻に読み解く気鋭の論考。
目次
- 序章 物語から物・語りへ
- 第1章 語りの形式と語り手
- 第2章 スティーヴン—永遠の「息子」と語りの欠落
- 第3章 ブルーム—寝取られヒーローと語りの予弁法
- 第4章 ゴースト・ナレーション—「ハデス」
- 第5章 「作者の死」と揶揄する語り手—「スキュレとカリュブディス」
- 第6章 断片化とマイナーキャラクターの声—「さまよえる岩」
- 第7章 オノマトペと語る「物」たち—「セイレン」
- 第8章 処女のストッキングとしての語り—「ナウシカア」
- 第9章 「客観的語り」の主観性について—「イタケ」
- 第10章 モリー—語りのトリニティー
- 終章 「物・語り」の世界
「BOOKデータベース」 より