旅人の脱在論 : 自・他相生の思想と物語りの展開
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旅人の脱在論 : 自・他相生の思想と物語りの展開
創文社, 2011.1
- タイトル別名
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旅人の脱在論 : 自他相生の思想と物語りの展開
- タイトル読み
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タビビト ノ ダツザイロン : ジ・タ ソウショウ ノ シソウ ト モノガタリ ノ テンカイ
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内容説明・目次
内容説明
地球化時代の現代、われわれはどのような危機と虚無の只中にあるのか。人間には明るい和解と共生の未来が開かれているのか。本書は前著『他者の甦り』の提起した問いを引き継ぎ、アウシュヴィッツ的現代の悲劇を脱出する思想的方策、すなわち存在論を突破した脱在論「エヒイェロギア」の構築を目指す。まず、エヒイェロギアがどのようにヘブライ旧約物語りから誕生するかという前著のテーマを解説した上で、他者に関わる物語り群の解釈を通し、他者論の地平を考究する。ギリシア古典のオイディプスに見られる人間の悪なるもの、旧約における預言者エリアの絶望と再生のドラマや新約におけるイエスの譬え、そして西洋中世において破壊的力を持つとともに他者とのかけがえのない出会いをもたらすとされた恋愛論を取り上げ、そこに脱在「エヒイェ」の文学的な展開を示す。さらにその展開のエネルギーが日本へも及び、宮沢賢治や石牟礼道子の文学と生に現成していることを、作品の読解により探究、近代化がもたらした社会問題を思想的観点から論じる。閉塞化する大きな物語を脱し、それらの間、辺境を放浪する旅路に読者をいざなう希望のメッセージ。古典テキストの語りえざる声に耳を傾ける本書の姿勢は、古典論としても重要な示唆を与えよう。
目次
- 第1部 アウシュヴィッツの審問を前に—物語り論的解釈からヘブライ的脱在論(エヒイェロギア)へ(和解と相生への荊棘的途行き—小さな物語りとエヒイェロギアに向かって;「アブラハム物語り」の現代的地平—自同性の超克・脱在(ハーヤー・エヒイェ)と自他相生の物語り)
- 第2部 物語りに働くエヒイェと他者の地平—差異化を生きる放浪の人物群(無なる荒野に咲く花—オイディプスとホセア;唯一神から「残りの者」へ—預言者エリアの物語り;イエスの譬え ほか)
- 第3部 地涌の菩薩たち—言葉を焚く賢治と石牟礼道子(宮沢賢治の修羅的菩薩像と相生協働態の諸相;たましい(魂・anima)への旅—石牟礼文学から始める)
「BOOKデータベース」 より