幕末的思考
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幕末的思考
みすず書房, 2017.11
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バクマツテキ シコウ
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幕末的思考
2017.11.
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幕末的思考
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内容説明・目次
内容説明
幕末から明治への列島の歩みは、暗から明への昇華ではない。それは、列強による開国への圧力を前に、尊皇攘夷から尊皇開国への転向とその隠蔽、新政府の正統性の急造を伴いながら、慌しい近代国家建設を余儀なくされる過程であった。しかしそこでは、植民地化への危機感と理不尽への抵抗を糧に、普遍的価値のうえに新社会を構想する思考が、徒手空拳で模索されてもいた。中国や西欧からの輸入ではない、この国に地生えの思考が育まれる契機は、しかし、生みの親でもある対外的「危機感」に圧迫され、皇国主義イデオロギーの席巻という試練のなかで影を潜めていった。帰結の一つは、現在も続く第二極の不在である。本書は、「明治維新」という事後的な枠を通しては見えてこないその思考—幕末的思考—の系譜を、吉田松陰、中岡慎太郎、坂本龍馬、福沢諭吉、中江兆民、北村透谷、夏目漱石、朝河貫一、中里介山らに辿り、その画期性を歴史の行間にあぶりだした精神史的試論である。彼らの未成の思考を紡ぎ直すこと。その今日的意味の切実さを、幕末の人びとの経験は我々に教えている。
目次
- 第1部 外圧(背景史—最初のミッシングリンク;状況を担う人;変成する世界像;変革の主人公とは誰か;残された亀裂)
- 第2部 内戦(内戦の経験—第二のミッシングリンク;勝者の思考と敗者の思考;一八七三年のアポリア;未成の第二極)
- 第3部 公私(再び見出された感覚—第三のミッシングリンク;滅びる者と生き残る者;敗者における大義と理念)
- エピローグ—明治がこない世界のほうへ
「BOOKデータベース」 より