百花遊歴
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百花遊歴
(講談社文芸文庫, [つE10])
講談社, 2018.11
- タイトル読み
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ヒャッカ ユウレキ
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注記
シリーズ番号はブックジャケットによる
底本は1979年3月文藝春秋刊を使用, 文庫化にあたり訂正, 表記変更
タイトルの「遊歴」の部首は「辶」と「厤」
内容説明・目次
内容説明
花は歌人を象徴する。晶子の蓮や牡丹、茂吉の苧環に通草、牧水の櫻、そして白秋の植物園的多彩性—“馬醉木”“椿”“菫”“罌粟”“薔薇”“勿忘草”“ジギタリス”花を愛し、本草学にも深く通じた博学の前衛歌人が、十数年の歳月をかけ分類・精選した二十四の詩歌庭園。古今東西の偉大な言語芸術から、真実の言葉を結晶させようと心血を注いだ名エッセイ。
目次
- 馬醉木—花馬醉木風にかわきてうつしみは編目弛びし悲しみの籠
- 椿—一人の刺客を措きてえらぶべき愛なくば水の底の椿
- 菫—すみれ咲く或る日の展墓死はわれを未だ花婿のごとく拒まむ
- 罌粟—罌粟播きてその赤き繪を標とせりはるけきわざはひを待つ家族
- 薔薇—薔薇、胎兒、慾望その他幽閉しことごとく夜の塀そびえたつ
- 勿忘草—少年の戀、かさねあふてのひらに光る忘れな草の種子など
- 茴香—青春は一瞬にして髭けむるくちびるの端の茴香のoui!
- 百合—ダマスクス生れの火夫がひと夜ねてかへる港の百合科植物
- ジギタリス—赤い旗のひるがへる野に根をおろし下から上へ咲くジギタリス
- 泰山木—泰山木雪白の花ふふみたり青年を棄てて何を愛する
- 燕子花—かきつばたこの夜男は亂闘に敗れたる衣胸に飾らむ
- 海芋—花屋には海芋蒸れつつクー・デタァこころ戀ふわが皮膚呼吸
- 梔子—くちなしの實煮る妹よ鏖殺ののちに来む世のはつなつのため
- 紫陽花—人は幼き日より老いつつあぢさゐに晝たまゆらの〓とどまらず
- ダリア—買手きまらぬ庭園の隅 贅肉のごとき白ダリアを放置せり
- 朝鮮朝顏—棄てたる愛否や朝鮮朝顏のあたり明るむ七月の闇
- 晝顏—不惑とてなに惑はざるひるがほのゆふべ咲きのこれる一つ花
- 木槿—別離燦爛たるこの刻よ〓年の肘白妙の木槿にふれて
- 夾竹桃—褪紅に霧ひ敗戦記念日をななめい立てり夾竹桃は
- 合歡—ひる眠る水夫のために少年がそのまくらべにかざる花合歡
- 蓮—わが修羅のかなた曇れる水のうへに紅き頭韻の花ひらく蓮
- 曼珠沙華—いたみもて世界の外に佇つわれと紅き逆睫毛の曼珠沙華
- 鳥兜—愛を病むものらなべてに鳥兜咲けり慄然たる濃むらさき
- 桔梗—桔梗苦しこのにがみもて滿たしめむ男の世界全く昏れたり
「BOOKデータベース」 より