Bibliographic Information

百花遊歴

塚本邦雄 [著]

(講談社文芸文庫, [つE10])

講談社, 2018.11

Title Transcription

ヒャッカ ユウレキ

Available at  / 47 libraries

Note

シリーズ番号はブックジャケットによる

底本は1979年3月文藝春秋刊を使用, 文庫化にあたり訂正, 表記変更

タイトルの「遊歴」の部首は「辶」と「厤」

Description and Table of Contents

Description

花は歌人を象徴する。晶子の蓮や牡丹、茂吉の苧環に通草、牧水の櫻、そして白秋の植物園的多彩性—“馬醉木”“椿”“菫”“罌粟”“薔薇”“勿忘草”“ジギタリス”花を愛し、本草学にも深く通じた博学の前衛歌人が、十数年の歳月をかけ分類・精選した二十四の詩歌庭園。古今東西の偉大な言語芸術から、真実の言葉を結晶させようと心血を注いだ名エッセイ。

Table of Contents

  • 馬醉木—花馬醉木風にかわきてうつしみは編目弛びし悲しみの籠
  • 椿—一人の刺客を措きてえらぶべき愛なくば水の底の椿
  • 菫—すみれ咲く或る日の展墓死はわれを未だ花婿のごとく拒まむ
  • 罌粟—罌粟播きてその赤き繪を標とせりはるけきわざはひを待つ家族
  • 薔薇—薔薇、胎兒、慾望その他幽閉しことごとく夜の塀そびえたつ
  • 勿忘草—少年の戀、かさねあふてのひらに光る忘れな草の種子など
  • 茴香—青春は一瞬にして髭けむるくちびるの端の茴香のoui!
  • 百合—ダマスクス生れの火夫がひと夜ねてかへる港の百合科植物
  • ジギタリス—赤い旗のひるがへる野に根をおろし下から上へ咲くジギタリス
  • 泰山木—泰山木雪白の花ふふみたり青年を棄てて何を愛する
  • 燕子花—かきつばたこの夜男は亂闘に敗れたる衣胸に飾らむ
  • 海芋—花屋には海芋蒸れつつクー・デタァこころ戀ふわが皮膚呼吸
  • 梔子—くちなしの實煮る妹よ鏖殺ののちに来む世のはつなつのため
  • 紫陽花—人は幼き日より老いつつあぢさゐに晝たまゆらの〓とどまらず
  • ダリア—買手きまらぬ庭園の隅 贅肉のごとき白ダリアを放置せり
  • 朝鮮朝顏—棄てたる愛否や朝鮮朝顏のあたり明るむ七月の闇
  • 晝顏—不惑とてなに惑はざるひるがほのゆふべ咲きのこれる一つ花
  • 木槿—別離燦爛たるこの刻よ〓年の肘白妙の木槿にふれて
  • 夾竹桃—褪紅に霧ひ敗戦記念日をななめい立てり夾竹桃は
  • 合歡—ひる眠る水夫のために少年がそのまくらべにかざる花合歡
  • 蓮—わが修羅のかなた曇れる水のうへに紅き頭韻の花ひらく蓮
  • 曼珠沙華—いたみもて世界の外に佇つわれと紅き逆睫毛の曼珠沙華
  • 鳥兜—愛を病むものらなべてに鳥兜咲けり慄然たる濃むらさき
  • 桔梗—桔梗苦しこのにがみもて滿たしめむ男の世界全く昏れたり

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Details

  • NCID
    BB27177850
  • ISBN
    • 9784065136966
  • Country Code
    ja
  • Title Language Code
    jpn
  • Text Language Code
    jpn
  • Place of Publication
    東京
  • Pages/Volumes
    329p
  • Size
    16cm
  • Subject Headings
  • Parent Bibliography ID
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