カリブに生きる : 文献から辿る小地域の人びとの豊かな遺産
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カリブに生きる : 文献から辿る小地域の人びとの豊かな遺産
東洋大学出版会 , 丸善出版 (発売), 2020.6
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カリブ ニ イキル : ブンケン カラ タドル ショウチイキ ノ ヒトビト ノ ユタカナ イサン
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Note
引用文献: p [203]-212
索引: p [213]-220
Description and Table of Contents
Description
本書は、西洋による記述ではなく、カリブ人が書き残したテクストの考察を通して、カリブ地域の人びとが生きたカリブの実像に迫ろうという試みである。一八世紀から二〇世紀まで、多様な地域と言語圏の七人のカリブ出身者を対象として、手紙、自伝、小説、詩が論じられ、それらの背景となるカリブの歴史、文化などが参照される。大航海時代にはじまる西洋中心のグローバル経済の中で、奴隷制や植民地支配の下に置かれたカリブの人びとは、抑圧を生き延び、その歴史の中でグローバル構造に対抗する独自の抵抗の思想と活力を育み、国際的な視野をもって地域の内外で活躍した。小さな島々で産業も発展しにくく、現在もカリブ地域は政治的経済的な困難を抱えていて、海外在住者も多い状況であるが、本書が明らかにする先人たちのカリブ人としての誇りと脈々と築かれた豊かな遺産は、魅力的な地域カリブの今後への展望も与えてくれるように思われる。
Table of Contents
- 1章 一八世紀の音楽家で黒人部隊の指揮官、シュヴァリエ・ド・サン・ジョルジュ(グアドループ出身)—アフリカ系混血で西洋の教育を受け、貴族としてフランス革命の時代を生きた
- 2章 一九世紀の奴隷でイギリスへ渡り自由を求めたメアリ・プリンス(バミューダ出身)—意志と行動力で自由の身分を得るために奮闘
- 3章 クリミア戦争で医療に貢献したメアリ・シーコウル(ジャマイカ出身)—医師/看護師/料理人/母親/企業家という西洋的な枠組みに収まらない混血女性
- 4章 第二次独立戦争に参加した元逃亡奴隷、エステバン・モンテホ(キューバ出身)—カリブの豊かな自然を享受した長寿の生き証人
- 5章 黒人問題を国際的に捉えたクロード・マッケイ(ジャマイカ出身)—ハーレム・ルネサンスの時代にトランスナショナルな黒人民族主義の運動に貢献
- 6章 初の黒人共和国の革命的伝統を引き継ぎ、ハイチ文学を模索したジャック・ステファン・アレクシ(ハイチ出身)—マルクス主義者でハイチ独裁政権を倒す戦いに殉じた
- 7章 パピアメント語文化の継承と発展に尽力したエリス・ジュリアナ(キュラソー出身)—グローバル時代に一地方語であるクレオール語の文化伝承の意義を追求
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