中国思想史論攷 : 宗教のある風景

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中国思想史論攷 : 宗教のある風景

西脇常記著

知泉書館, 2022.3

タイトル読み

チュウゴク シソウシ ロンコウ : シュウキョウ ノ アル フウケイ

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内容説明・目次

内容説明

本書は仏教やキリスト教など宗教が社会や人間に大きな影響力をもった時代を考察し、仏教史への視座を提供する。第一部では20世紀初めにプロシャ学術調査隊がトルファン地域(現新疆ウイグル自治区)で収集した文書は、第2次世界大戦後にソ連によりベルリンから持ち去られた。冷戦終結後にベルリン・トルファン研究所で文書の目録作成が行われ、著者もそれに参加し、その関連でトルファン文書を検討する機会を得て、その成果の一部を示す。第二部では6世紀の南北朝末期の4人の高僧、釈亡名、江総、釈曇延、釈静藹らの波乱に満ちた人生と仏教が時代と葛藤した姿を通して仏教思想の実態を解明する。この時代は3世紀にわたる分裂王朝が隋により統一され、時代の転換期を迎えていた。中でも北周の武帝による廃仏政策は仏教界に甚大な影響を与えた。社会に浸透した仏教とそれに触発された道教は、国家権力の強力な管理の下でその存在意義が問われ、儒教は10世紀の北宋期に勢力を伸長させるが、その源になる力が動き始めていた。第三部では、18世紀ドイツのプロテスタントの敬虔主義教会の貧しい副牧師がキリスト教の中国布教を夢見た珍しい事例を紹介する。キリスト教の中国布教は15世紀の大航海時代に本格化し、主にイエズス会が担っていた。その中で敬虔主義者は自らが正しい宗教であり、他の宗教はその変型であるとした。孔子も一敬虔主義者であり、創世記により孔子の言説を説明しようとした。中国の情報が流入し始め、それをきっかけに展開した時代を写す試みであった。

目次

  • 第1部 吐魯番漢語文書研究補遺(題記を有つ麹氏高昌国時代の二つの仏経断片;ベゼクリク千仏洞出土の漢語印刷断片から見える二、三のこと;金蔵『宝雨経』とその訳場列位)
  • 第2部 中国南北朝末期(六世紀)の知識人点描(釈亡名;江総;釈曇延;釈静藹)
  • 第3部 あるプロテスタント牧師が描いた中国(Joachim Christoph Stahl(1697‐1774)—十八世紀の北ドイツ敬虔主義教会副牧師の中国への関心)

「BOOKデータベース」 より

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