トン族の歌と饗宴 : ポリフォニーの歌声が結ぶ人びとの文化誌
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トン族の歌と饗宴 : ポリフォニーの歌声が結ぶ人びとの文化誌
明石書店, 2023.12
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トンゾク ノ ウタ ト キョウエン : ポリフォニー ノ ウタゴエ ガ ムスブ ヒトビト ノ ブンカシ
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引用・参考文献: p613-622
索引: p623-634
Description and Table of Contents
Description
トン族は天籟の響きを奏でる美しいハーモニーで知られる。「歌の海」といわれるほど歌声が生活のなかに溢れている。歌好きの民族はどこにでもいるが、トン族は高音部と低音部が積み重なるように立体的にうたわれるポリフォニーに優れている。この多声部合唱が聞こえるのは、男女が集団となって歌をかけあうさまざまな行事のなかである。たくさんある行事のなかでも、歌声は春節のときおこなわれるワヒェという社交の場において、もっともにぎやかに交わされる。ワヒェはある村が別の村の住民をみんな招待してもてなす大饗宴である。いくら友好的とはいえ、数百人もの人を数日間、寝食ともに接待し、歌舞を楽しむというのは、尋常ではない。多声性と歌のかけあいをたんなる音楽的特徴として評価するのではなく、トン族の人びとの生活意識や社会の基盤となる機構との相関にまで思考を拡げられないだろうか。饗宴もたんなる娯楽ではなく、人と人を結いあげる「もやい(舫い)」の綱となっているのではないだろうか。トン族の歌と饗宴には、柳田國男が日本の民俗社会のなかに見いだし尊んだような共同体の精神があり、「世の常を組み立てる」「生存の力」があるのではないか。その普遍性を明らかにすること。本書の出発点がここにある。
Table of Contents
- 第1章 トン族社会の組織と構造
- 第2章 岩洞村の概況
- 第3章 トン族歌謡とその生態
- 第4章 歌謡の伝承体系
- 第5章 ワヒェ
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