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検索結果 388 件

  • ブラックホール表面積上限定理の一般化――強重力から弱重力へ

    泉 圭介 日本物理学会誌 78 (9), 525-529, 2023-09-05

    ...</p><p>さて,ブラックホールは量子重力理論の思考実験場として用いられている.量子効果を考えるとブラックホールは熱輻射(ホーキング輻射)し,蒸発する.ブラックホールの諸定理とホーキング輻射とを合わせて,ブラックホール熱力学が構築される.この熱力学には情報消失問題と呼ばれる問題がある.情報消失問題の解決は量子重力理論を理解する手がかりと考えられており,超弦理論を用いた解析が進んでいる.しかし,情報消失問題...

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  • 弦理論 —4つの力をまとめて表す究極の理論を求めて—

    初田 真知子 RADIOISOTOPES 72 (2), 185-195, 2023-07-15

    ...超弦理論はこの重力の量子論の候補であると同時に,重力,電磁気力,弱い力,強い力の4つの力をまとめる理論の候補でもあります。超弦理論がいかにして生まれ,どのような描像をもたらすのか,「まとめて表す」ことを切り口として解説します。</p>...

    DOI Web Site 参考文献7件

  • 高次元場の理論の広がり

    林 博貴, 八木 太 日本物理学会誌 77 (12), 796-804, 2022-12-05

    ...</p><p>近年,場の理論的手法と超弦理論的手法の双方のさらなる発展に伴い,この謎を解決する形で分類の理解が進んでいる.まず,場の理論的手法においては,クーロン的真空を正しく同定する方法が提唱され,その結果,問題のない理論が新たに存在する可能性があることが指摘された.また,超弦理論的手法では,5ブレーンウェブに関する理解の発展などに伴い,様々な5次元超対称ゲージ理論が,実際に超弦理論を用いて新たに...

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  • 量子重力の沼地問題――無矛盾性からの沼地条件導出とその統合

    濱田 雄太 日本物理学会誌 77 (8), 529-534, 2022-08-05

    ...<p>重力の量子化は,素粒子物理学最大の難問の1つとして,長年横たわっている.弦理論やホログラフィー原理を使って,様々な状況下での理解が進んでいるが,未だ完全な定式化には至っていない.</p><p>そこで,少し視点を変えて,仮に重力の量子論が完成したとして,我々の世界にどんな示唆があるのか,という問いを考えてみよう....

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  • 共形場理論の<i>TT</i>-変形と重力双対

    吉田 健太郎 日本物理学会誌 76 (3), 130-139, 2021-03-05

    ...その量子論的な性質は弦理論,および量子重力理論と密接に関連すると期待されるため,<i>T<span style="text-decoration: overline;">T</span></i>-変形を研究する強い動機になっている....

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  • 超対称性粒子の質量がもつ新しい性質

    奥村 健一 日本物理学会誌 75 (12), 751-755, 2020-12-05

    ...</p><p>一方,従来そうした重い素粒子の質量は勝手に選べるパラメータとして扱われてきた.しかし超対称性理論の背後に量子重力理論の候補である超弦理論を想定すると,その起源が問題となる.超弦理論に含まれる質量パラメータは基本的には超弦の張力のみであり,それと階層的に異なる大きさの質量を実現することは自明ではない.そうした質量を実現する方法の一つが非摂動効果である.最近,超弦理論で超対称性を破るモジュライ...

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  • Stability, enhanced gauge symmetry and suppressed cosmological constant in 9D heterotic interpolating models

    Itoyama, H., Nakajima, Sota Nuclear Physics B 958 115111-, 2020-09

    ...弦理論のコンパクト化では、余剰次元の形状や Wilson line と呼ばれる定数外場に基づく多くのパラメターが生じ(その全体はモデュライ空間と呼ばれる)、モデュライ空間の総称的な点では、10次元で得られている統一理論の描像を壊してしまいます。値を決定するためには、有効ポテンシャルの考察に基づき、真空の候補となるすべての場合を尽くさねばなりません。...

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  • 混合状態に対する量子情報量とホログラフィー原理

    玉岡 幸太郎, 梅本 滉嗣 日本物理学会誌 75 (6), 335-339, 2020-06-05

    ...と換言できる.重力の量子化は,歴代の物理学者による挑戦を跳ねのけ続けてきた難しい問題だが,この困難を克服できる可能性の一つがホログラフィー原理である.これは,「<i>D</i>+1次元の量子重力理論は,<i>D</i>次元の重力を含まない量子多体系と等価である」という作業仮説である.実際に,量子重力理論の有力候補である超弦理論において,このホログラフィー原理を具現化したAdS/CFT対応が発見された...

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  • 弦理論と一般相対論をつなぐ――Double Field Theory

    酒谷 雄峰 日本物理学会誌 74 (10), 709-713, 2019-10-05

    ...化と呼ばれ,<i>R</i>をトーラスの半径と呼ぶ.実は,超弦理論においてトーラスコンパクト化を行うと,<i>T</i>双対性と呼ばれる弦理論に特有の対称性が現れる.弦理論に特有の長さスケールを<i>l</i><sub><i>s</i></sub>とするとき,これは,半径が<i>R</i>のトーラスでコンパクト化された超弦理論と,半径が<i>l</i><sub><i>s</i></sub><sup>...

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  • 真空の寿命

    庄司 裕太郎 日本物理学会誌 74 (3), 128-136, 2019-03-05

    ...</p><p>さらにずっと過去では,宇宙は非常に多くの相転移を繰り返してきたという仮説がある.超弦理論において,真空の数は10<sup>500</sup>とも見積もられており,我々の宇宙はこれらの真空の間で相転移を繰り返してきたと言う説である.素粒子論における様々な微調整問題は,インフレーションと相転移によって生じる無数の物理定数が異なる泡宇宙によって解決されるかもしれない.</p>...

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  • M理論の地図が見えてきた

    森山 翔文, 野坂 朋生 日本物理学会誌 74 (1), 34-39, 2019-01-05

    ...</p><p>約30年前に人類が到達した暫定的な答えは,超対称性を持つ弦理論(超弦理論)である.超弦理論が最終理論だとすれば,それは一意的であることが望ましい.10次元時空において無矛盾な超弦理論は,摂動論的な解析から5種類存在することがわかっていたが,これらはさらに11次元時空上に存在すると仮定されるM理論を巻き込んで,双対性を通じて互いに等価であることがわかってきた....

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  • 重力波観測による究極理論探査

    小玉 英雄, 吉野 裕高 日本物理学会誌 73 (11), 752-761, 2018-11-05

    ...<p>すべての自然現象を統一的に記述する究極理論の構築は,理論物理学者の夢である.その実現における最大の難関は,重力理論と量子論を整合的に融合した量子重力理論をつくることである.この難関を摂動論レベルで克服したのが,超弦理論である.超弦理論は,また,他の量子重力理論候補と異なり,重力を含むすべての相互作用と物質が有機的に結合して理論の整合性を生み出していて,真の統一理論といえる.しかし,超弦理論が究極理論...

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  • Sachdev–Ye–Kitaev模型,ブラックホール,冷却気体系

    段下 一平, 手塚 真樹, 花田 政範 日本物理学会誌 73 (8), 569-574, 2018-08-05

    ...<p>超弦理論は重力の量子論の有力な候補として長年研究され続けている.究極の目標は自然界のあらゆる相互作用を統一する万物の理論の構築だが,副産物として数学や物理学の様々な分野との繋がりが見出されてきた.特に,この2,3年で物性理論,量子情報理論と超弦理論の意外な関係が明らかになってきた....

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  • <講義ノート>ゲージ・重力対応で探る非平衡統計物理学(第61回物性若手夏の学校 講義)

    中村 真 物性研究・電子版 6 (4), [1]-, 2017-11

    ...前世紀末から今世紀の初頭にかけて、超弦理論の分野では「ゲージ・重力対応」と呼ばれる理論上の大きな発見があった。この対応は、「ゲージ粒子の微視的理論であるゲージ場の量子論が、本来重力を記述するはずの一般相対性理論に書き換え可能である」ことを意味している。この講義では、「ゲージ・重力対応」を応用してゲージ粒子多体系の非平衡物理学を重力理論の枠組みで解析する試みを解説する。...

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  • x2y2模型の古典解の振る舞いについて

    道下, 洋二 鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Natural science 68 31-45, 2017-03-11

    M2膜の量子力学の特徴を単純化して2つの変x(t)とy(t)を用いて捉えたモデルとして知られるx2y2モデルの古典解の性質を調べ、次のことを証明する:limt→∞x(t)=±∞(あるいはlimt→∞y(t)= ±∞)を満たす古典解はポテンシャルの底を等速運動し続ける解のみである。これらの解の集合は解全体の空間の中では「測度0」であるので、この事実はほとんどの解は無限遠に到達する前に引き返してしま…

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  • Contravariant gravity on Poisson manifold and Einstein gravity

    金子 幸雄, 村木 久祥, 綿村 哲 日本物理学会講演概要集 72.1 (0), 29-29, 2017

    ...<p>非可換時空上の重力理論は, 量子重力理論や弦理論の有効的な記述として現れると期待されている. 非可換性はPoissonテンソルによって表され, 重力は計量テンソルによって特徴づけられるので, 非可換な重力理論はそれらをまとめた枠組みとして得られると予想される....

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  • Complex Langevin analysis of the spontaneous rotational symmetry breaking in the dimensionally-reduced super-Yang-Mills models

    Anagnostopoulos Konstantinos N., 東 武大, 伊藤 祐太, 西村 淳, Papadoudis Stratos Kovalkov 日本物理学会講演概要集 72.1 (0), 10-10, 2017

    ...<p>IIB型行列模型は、超弦理論の非摂動的定式化として提唱された。ユークリッド時空でのIIB型行列模型では、フェルミオンを積分して得られるパフィアンが複素数であるため、数値的に扱う上で符号問題に直面する。そこで複素ランジュバン法を用いてこの模型の数値解析を行い、SO(10)回転対称性の破れによる時空の力学的生成について調べ、ガウス展開法による解析計算で得られた結果と比較検討を行う。</p>...

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  • 南部力学と南部ブラケット

    米谷 民明 日本物理学会誌 72 (4), 231-235, 2017

    ...<p>南部力学と南部ブラケットは,通常のハミルトン形式の拡張として,南部が1973年に提唱した新しい力学形式である.その概要と意義を非専門家向きに解説する.また,弦理論およびM理論との関連,影響についても簡単に触れる.</p>...

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  • poly-instantonによるモジュライ固定

    山本 順二, 上村 尚平 日本物理学会講演概要集 72.1 (0), 17-17, 2017

    ...<p>TypeⅡBの超弦理論の有効理論を考えるとα’とstring loopのleading orderでKahler moduliが固定されない問題がある。そのmoduli stabilizationの可能性について、D-brane instantonから生じるpoly-instantonの寄与を含め議論する。また時間があればさらにinflationの可能性についても議論する。</p>...

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  • Pati-Salam模型を実現するDブレーン模型におけるケーラーモジュライ固定

    上村 尚平, 安倍 博之, 小林 達夫, 角田 慶吾 日本物理学会講演概要集 72.1 (0), 16-16, 2017

    ...<p>超弦理論におけるモジュライ固定の機構として主にフラックスにより生成されるポテンシャルや、Eブレーンによる非摂動効果などが考えられてきた。一方で現実的な模型構築として、ブレーン模型が知られている。ブレーン模型では非摂動効果が制限されるため、この二つを同時に行えるかは非自明である。...

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  • 行列模型による超対称ゲージ場の量子論の解明と進展

    糸山 浩司 日本物理学会誌 71 (9), 607-616, 2016

    ...Mehtaによる有名な本“Random Matrices”で取り扱われている原子核のレベル間隔の問題を,あるいは中年以上の弦理論研究者は90年代初頭に集中的に研究されたランダム面に基づく2次元重力やそれに対応する弦理論を思い起こされるかもしれない.本稿で解説するのは,超対称性と呼ばれるボソンとフェルミオンの入れ替えに関する対称性を持つ4次元場の量子論の低エネルギー極限の厳密決定の問題において,行列模型...

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  • AGT対応 : 予想から証明へ(解説)

    瀧 雅人 日本物理学会誌 71 (1), 6-15, 2016

    ...もちろんこのような事は不可能だが,双対性という不思議な性質は,しばしば「未来の知識を垣間見る」ような感覚を引き起こす.二つの異なる理論が同じ物理を記述しているとき,それらの間には「双対性」(duality)がある,という.ひとたび非自明な双対性が発見されれば,伝統的な手法の射程を大きくこえて理論を理解する事ができる.実際AdS/CFTに代表されるような様々な双対性の発見が,近年の弦理論の発展を牽引してきた...

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  • 位相的弦理論で解く量子可解模型

    初田 泰之 日本物理学会誌 71 (11), 752-756, 2016

    ...</p><p>これらの4次元ゲージ理論と量子可解模型の間の対応を,5次元ゲージ理論あるいはそれと密接に関連する位相的弦理論に拡張することも可能である.位相的弦理論は超弦理論におけるトイ模型の一種で,超弦理論の持つ重要な性質を抜き出したものである.数学的にも数え上げ幾何学やミラー対称性における研究において重要な役割を果たす.超弦理論そのものに比べて著しく簡単化されているため,非常に多くの厳密な結果が知...

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  • 高次元ブラックホールの不思議

    石橋 明浩 日本物理学会誌 71 (5), 302-310, 2016

    ...「一意性定理」とよばれるこの事実の意義は計り知れない.私たちの観測宇宙に,それこそ星の数ほどあろうブラックホールが,驚くべきことにカー(Kerr)解とよばれるたった一つの厳密解で完全に記述できるのである.S.チャンドラセカールのいうように「4次元宇宙のブラックホール研究は,カー解の研究につきる」のである.ところが,超弦理論やブレーン宇宙論といった高次元重力研究の進展とともに,ここ 10数年ほどで高次元...

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  • 弦理論のコンパクト化After Thirty Years

    渡利 泰山 日本物理学会誌 71 (6), 362-371, 2016

    ...という点で,80年代後半から90年代後半の進展にあたる.主なメッセージを抽出しておくと,空間の次元という概念自体が量子重力の理論たる超弦理論では自明なものでなくなること.そして,超弦理論の双対性の発見は,弦理論と現実世界との接点という問題を考えるうえで(も),革命的な変化をもたらした,ということである....

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  • 一般相対性理論における次元無限大極限

    田邉 健太朗, 鈴木 良拓 日本物理学会誌 71 (10), 688-694, 2016

    ...</p><p>我々の宇宙が高次元時空であることを示唆する超弦理論に触発され,高次元ブラックホールの研究はこれまで盛んに行われてきた.しかし,高次元ブラックホールの物理的性質は4次元ブラックホールのものとは全く異なり,どのようなブラックホール解が存在するのか,どのようなブラックホールの不安定性があるのか,など高次元ブラックホールに対する我々の理解は未だ不十分である.これは非線形連立偏微分方程式というアインシュタイン...

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  • II型超弦理論における軽いモジュライ場とグラビティーノ問題

    秋田 謙介, 小林 達夫, 及川 茜, 大塚 啓 日本物理学会講演概要集 71.2 (0), 32-32, 2016

    ...<p>私たちは超弦理論の有効理論に基づき、グラビティーノ問題についての研究を行った。 まず、II型超弦理論の枠組みで超対称性を破らない軽いモジュライ場が存在するモデルの構築が可能なことを示す。 IIB型超弦理論では、軽い複素構造モジュライ場が存在する。...

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  • Dynamical angled brane

    前田 恵一, 鵜沢 報仁 日本物理学会講演概要集 71.2 (0), 344-344, 2016

    ...<p>本講演では最近講演者らにより発見された超弦理論の時間依存(動的)Dブレーン解について紹介する。はじめに、講演で取り上げるII型超弦理論のDブレーンとは何かということと、その中でも計量に角度成分を含んだDブレーン解に何故注目したのかに関して簡単に述べる。...

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  • Pure spinor超弦理論によるAdS<sub>5</sub>× S<sup>5</sup>時空上のDブレーンの解析

    花澤 聡太, 阪口 真 日本物理学会講演概要集 71.2 (0), 20-20, 2016

    <p>Green-Schwarz形式の開弦がkappa変換不変であるための境界条件から,!LaTeX$AdS_5{\times}S^5$時空上のDブレーンの配位が導けることが知られている[Sakaguchi-Yoshida 2004]。他方,Green-Schwarz形式でのkappa不変性は,Pure spinor形式ではBRST不変性として実現される。今回の発表では、Pure …

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  • II型超弦理論における小さいアクシオン崩壊定数

    本多 正樹, 及川 茜, 大塚 啓 日本物理学会講演概要集 71.2 (0), 10-10, 2016

    ...超弦理論ではその崩壊定数が通常GUTスケール程度になることが知られている。我々はカラビ・ヤウ多様体上にコンパクト化されたII型超弦理論におけるインスタントン効果を導入することで、$10^{10}$GeV程度の小さい値も可能であることを示すことができた。また具体的なカラビ・ヤウ多様体の模型での実証、モジュライ固定の議論も行った。</p>...

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  • ゲージ・重力対応で探る強相関系の非平衡物理学(交流)

    中村 真 日本物理学会誌 70 (7), 510-518, 2015-07-05

    ...重力対応,あるいはAdS/CFT対応と呼ばれる対応原理である.この対応は超弦理論の枠内で開発されたが,本稿の主眼は,この対応を通じて非平衡統計物理学の問題を一般相対性理論と弦理論の枠内で解析することにある.非平衡統計物理学の構成は,現代物理学における挑戦的問題の一つである.なぜならば,平衡系においてカノニカル分布を導くような基本原理が非平衡系では成立せず,粗視化後の巨視的物理量の期待値を計算・解析することが...

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  • ブラックホールに対するホログラフィック原理の数値的検証(最近の研究から)

    伊敷 吾郎, 西村 淳, 花田 政範, 百武 慶文 日本物理学会誌 70 (6), 436-440, 2015-06-05

    ...は,重力を含む4つの基本的な相互作用と物質粒子を統一的に,量子論的に記述する理論である.しかし,従来の超弦理論は摂動論的に定式化されたものにすぎず,ブラックホールの熱力学的性質を理解するのは困難に見えた.ところが1990年代に入って状況は一変する.超弦理論におけるソリトン解が発見され,それがブラックホールを表すことがわかったからだ.特に1997年,Maldacenaはこのような考えを発展させて,ブラックホール...

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  • AdS/CFT対応とエンタングルメント(<シリーズ>量子論の広がり-非局所相関と不確定性-, 解説)

    高柳 匡, 西岡 辰磨, 笠 真生 日本物理学会誌 69 (6), 361-369, 2014-06-05

    ...重力を含む全ての力を統一すると期待される超弦理論は,AdS/CFT対応と呼ばれる重力理論と場の理論の等価性(ホログラフィー原理)を予言する.近年,この考え方を量子多体系の物理や物性物理学へ応用する動きが高まっており,高温超伝導体などに代表される強相関量子多体系において,普遍的と期待される性質が重力理論を用いて盛んに解析されている.その中でも特に「エンタングルメント・エントロピー」と呼ばれる,量子多体系...

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  • Matrix理論の量子的状態の分類について

    道下, 洋二 鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Natural science 66 17-39, 2014

    Matrix理論として知られる量子力学の状態の分類を行う際に重要になるフェルミオン行列だけで作られた座標非依存状態の構築法や分類法について述べる。

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  • 弦理論と結び目ホモロジーの統一理論 (解説)

    藤 博之 日本物理学会誌 68 (12), 801-809, 2013-12-05

    ...結び目のJones多項式とChern-Simonsゲージ理論との関係が明らかとなって以来,量子場の理論は結び目不変量の研究にしばしば影響をもたらしてきた.特にここ10年の進展では,結び目不変量の研究においては「圏化」と呼ばれる概念が導入され,新たなクラスの結び目不変量が発見されており,一方理論物理学では弦理論において「D-ブレーン」の概念が導入され,結び目不変量に対する物理的理解がより深まっている....

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  • 弦理論によるハドロンの記述 (解説)

    杉本 茂樹 日本物理学会誌 68 (8), 524-533, 2013-08-05

    ...今から15年ほど前,弦理論の第二革命と呼ばれる大発展の最中に,4次元のゲージ理論と10次元のある曲がった時空における弦理論が等価になり得るという驚くべきアイデアが提案されました.このアイデアをクォーク間に働く強い力の理論である量子色力学(QCD)に適用すると,原子核の中に住むハドロンの物理を弦理論を用いて記述できるようになります.何故そんなことが言えるのか?それを利用すると何が言えるのか?...

    DOI Web Site 参考文献23件

  • 超対称ゲージ理論におけるアノマリーパズル(最近の研究から)

    米倉 和也 日本物理学会誌 68 (8), 538-541, 2013-08-05

    ...超対称性は現代の素粒子論において非常に重要な対称性であり,素粒子の現象論においても超弦理論においても中心的な役割を果たすと考えられている.この対称性がもたらす最も重要な性質は,場の量子論において現れるある種の量子補正がキャンセルすることである.しかしながら,この性質が一見矛盾を引き起こすことが知られており,アノマリーパズルとして度々議論されてきた.本稿ではこのアノマリーパズルについて解説したい....

    DOI Web Site 参考文献8件

  • M2ブレーンとABJM模型 (解説)

    今村 洋介 日本物理学会誌 68 (7), 442-449, 2013-07-05

    ...M理論は弦理論を統合する基本的な理論と期待されており,M2ブレーンと呼ばれる膜状の物体を基本的構成要素として含む.M理論はいまだその量子論的な定義が知られておらず,M2ブレーンの振る舞いについても理解されていないことが多い.AdS/CFTと呼ばれる双対性を用いることで,N枚重ねたM2ブレーンの自由エネルギーがO(N^<3/2>)に比例することが以前から知られていたが,最近になってようやくこの予言がM2...

    DOI Web Site 参考文献8件

  • 高いスピンのゲージ理論によるAds/CFT対応の理解に向けて(最近の研究から)

    疋田 泰章 日本物理学会誌 68 (6), 378-381, 2013-06-05

    ...重力理論はスピン2のゲ一ジ理論として記述されるが,この理論を高いスピンの場を含むように拡張することができる.高いスピンのゲージ理論は,超弦理論のおもちゃ模型として取り扱うことができ,最近重力/ゲージ対応の最も有名な例であるAdS/CFT対応への応用の観点で注目を集めている.本稿では,高いスピンのゲージ理論を簡単に紹介し,AdS/CFT対応の理解にどのように役立つのか説明したい....

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  • Alday-Gaiotto-Tachikawa予想とその発展

    瀧 雅人 素粒子論研究 119 (4B), 171-243, 2012

    ...の分配関数と二次元共形場理論のカイラル相関関数が等価であることを意味している.つまり少なくともこれらのセクターにおいては、両理論の間に双対性が存在していることが強く示唆されている.このレビューでは、共形ブロックとインスタントン分配関数の組み合わせ論的計算手法を紹介する.その後でAlday-Gaiotto-Tachikawaの原論文に従い、AGT対応を発見法的に確認する.さらに、その他の双対的記述や弦理論...

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  • グルーオン散乱振幅と極小曲面 (解説)

    伊藤 克司 日本物理学会誌 66 (5), 353-360, 2011-05-05

    ...N=4超対称ゲージ理論と反ド・ジッター時空上の超弦理論の等価性(AdS/CFT対応)により,弦理論の弱結合の物理とゲージ理論の強結合の物理が関連づけられる.グルーオン散乱振幅と反ド・ジッター時空内の極小曲面の対応は,この対応の新しい例である.その研究の過程で,2次元の可積分な場の理論やY-系等の2次元可積分系との思いがけない関係が現れる等,グルーオン散乱振幅が数理物理的に見て興味深い研究対象であることが...

    DOI Web Site 参考文献31件

  • 開超弦の場の理論におけるtreeレベル5点振幅の分析

    道下, 洋二 鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Natural science 63 17-43, 2011

    Berkovits型の開超弦の場の理論において質量殻上のtreeレベル5点振幅を計算し、それが第一量子化での振幅と一致しているかどうかを見る。まずゲージ固定の手続きにおける問題点を述べ、5つのボゾンの振幅で振幅が一致することを示す。フェルミオンを含む振幅ではもっともらしいファインマン則の形を推測し、それを用いる。それはより点数の低い振幅ではうまく第一量子化の振幅を再現するが、5点の場合は変更が必…

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  • 共形場理論とインスタントンの統計力学(最近の研究から)

    立川 裕二 日本物理学会誌 65 (9), 703-707, 2010-09-05

    ...超弦理論を研究していると,超弦理論なしで議論できる二つの量が,不思議なことに一致しているべきであるという予言が導かれることがしばしばある.この稿では,如何にしてそのような予言がなされるかを説明し,その一例として,2次元の共形場理論のコヒーレント状態と4次元のインスタントンの統計力学の関係式を具体的に読者が確認できるようにしたい....

    DOI Web Site 被引用文献1件 参考文献7件

  • M理論の新しい定式化と南部括弧式 (解説)

    松尾 泰 日本物理学会誌 65 (3), 156-163, 2010-03-05

    ...M理論とは,いくつかある超弦理論を統合し,最も単純で基本的な構造を持つと期待される理論である.最近M理論のブレーンが持つ内部対称性について大きな進展があり,これまで謎めいた力学系として知られていた南部括弧式との関連が明らかになってきた.重力との双対性の応用により低次元強結合系への応用も期待されている....

    DOI Web Site 参考文献10件

  • 1/2超対称な背景時空におけるM膜の非超対称な配位に対するゲージ固定された作用

    道下, 洋二 鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Natural science 62 19-29, 2010

    κ対称なM膜の作用の構成は、最大限に超対称な背景時空、すなわち平坦時空、AdS_4×S^7、AdS_7×S^4でしか可能でない。それは主に超場の成分表示が複雑なことからくる技術的な困難のためである。そこで本稿では、κ対称性をあらかじめゲージ固定することによってその複雑さを避け作用を構成することができることを、1/2超対称な背景時空における非超対称な配位に対して示す。例としてM2膜背景でのM2膜と…

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  • An Introduction to AdS/CFT for Non-specialists

    中村 真 素粒子論研究 118 (1), A99-A106, 2010

    ...近年、AdS/CFT対応(ゲージ・重力対応、またはholographicゲージ理論)は超弦理論のみならず、重力理論、原子核・ハドロン物理学、物性物理学など幅広い分野に関連して興味を持たれるようになってきました。ここでは超弦理論の非専門家、特に原子核・ハドロン物理学を専門とする方々にAdS/CFT対応の基本的考え方を説明し、今後の分野横断的交流に役立てたいと思います。...

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  • 線形応答理論で学ぶAdS/CFT双対性

    夏梅 誠 素粒子論研究 118 (2), 87-120, 2010

    ...超弦理論の知識は前提としません。Summer Institute 2009,東北大学天文学教室での集中講義などをもとにしています。...

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  • 11次元における超空間形式の詳細について

    道下, 洋二 鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Natural science 61 31-55, 2009

    11次元の超空間形式は超対称性をあらわに保ちながら膜の作用を構築するのに必要な形式であるが、その詳細を分析するのに必要な手順や技術について論じる。

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  • ゲージ理論・弦理論対応と可積分模型(解説)

    酒井 一博 日本物理学会誌 63 (7), 524-531, 2008-07-05

    ...この5年ほどの間に,最大の超対称性を持つ4次元ゲージ理論の研究が目覚ましい進展を見せている.特筆すべきは,結合の強さの全範囲で有効な解析解が,超対称性を保たない一般の励起についても提案,検証されるようになったことである.またこのゲージ理論は反ド・ジッター時空を背景に含む10次元超弦理論と等価であると予想されており,その検証も大きく前進している.これらの進展の鍵となったのは,双方の理論の中に見出された...

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  • 弦理論の低エネルギー領域における回転する弦の古典解について

    道下, 洋二 鹿児島大学教育学部研究紀要. 自然科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Natural science 60 11-17, 2008

    ...弦理論において弦のさまざまな古典解、特にブラックホール解を熱的統計集団であると考えることは閉じた弦に対してはしばしば行われてきたが、開いた弦の場合も知られているよりもっとさまざまな解が存在して、同様のことが行えないかを考察する。...

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  • 高階スピンラグランジアンのBRST構成 : 混合テンソル場の場合(弦理論と場の理論-量子と時空の最前線,研究会報告)

    高田 浩行 素粒子論研究 116 (3), C38-, 2008

    任意のスピン場に対するラグランジアンを求めることを目標とした。今回はスピン場として有質量でボソニックな自由テンソル場を任意次元dで考えた。ポアンカレ群のもとでのテンソル場が規約であるための条件式から出発し、高階スピン代数を構成し、BRST演算子を定義することでそのテンソル場に対するゲージ不変なラグランジアンを得た。また得られたラグランジアンから出発点の条件式を再現するようなゲージ固定条件を明らか…

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  • Integrability in Super Yang-Mills and Strings

    酒井 一博 素粒子論研究 114 (6), F7-F12, 2007

    ...N=4超対称ゲージ理論、およびそれに等価と考えられるAdS_5×S^5背景の超弦理論の解析が、近年目覚しい勢いで進展している。その背景にあるのは4年ほど前から明らかになってきた可積分構造である。AdS/CFT対応の理解、QCDへの応用、曲がった背景での弦理論の量子化、物性物理との関連など、様々な方向性の発展が期待される本研究分野を、最近の進展を交えて紹介する。...

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  • 超重力理論におけるブラックホールエントロピーとアトラクター機構

    堀田 暁介 素粒子論研究 115 (2), 52-129, 2007

    ...そこで本論文では一般相対論を更に拡張させて、超弦理論の4次元での有効理論として導かれる、任意個のベクトル多重項とハイパー多重項が結合し、なおかっ高階の微分項を含んだN=2の超重力理論において、ブラックホールエントロピーがBekenstein-Hawking公式からどのようにずれるかを細かく分析した。...

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