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検索結果 27,170 件

  • 減量・代謝改善手術候補者における肥満および食行動と抑うつ・不安の関連

    會田 友里佳, 林 果林, 端 こず恵, 中嶋 希和, 松崎 淳人, 齋木 厚人, 桂川 修一 心身医学 64 (3), 264-273, 2024

    <p>近年肥満症は内科治療に加え,外科治療も盛んになりつつあるが,患者のストレス低減を担っていた情動的摂食を阻害する可能性もあり,減量・代謝改善手術前には心理社会面の評価が重要といわれている.当院では肥満症の多職種チームにメンタルヘルスの専門家も加わり,術前に心理社会的評価および心理テストを行い,なぜ高度肥満症に至ったのかの多因子をなるべく明らかにする視点をもちながら,本人の認知行動や能力上の傾…

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  • 摂食障害の治療Pearls and Pitfalls

    鈴木(堀田) 眞理 心身医学 64 (3), 225-231, 2024

    <p>神経性やせ症の診療での工夫と注意点を概説する.疾病教育は問診から始まっている.臨床検査の第一の目的は器質的疾患の除外である.プライマリケアでは内科的緊急入院の必要性と労作制限を判断する.ホルモンや骨密度など異常を出せる検査をして,心理教育に反映させる.低血糖性昏睡は予防が重要で,排出行為に伴う低カリウム血症の治療は水と食塩による脱水の改善である.低身長の予防は低体重期間の短縮で,低体重のま…

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  • 高脂肪食負荷肥満誘発における脳内食報酬系ドパミン神経のレプチンとドパミンの相互作用

    小山 進, 山脇 洋輔, 安川 圭司 心身医学 64 (1), 53-59, 2024

    <p><b>背景</b>:われわれの先行研究は,腹側被蓋野(VTA)ドパミン神経のレプチン応答の有無や高脂肪食飼育時のドパミンを介した神経興奮性の促進を明らかにした.高脂肪食飼育マウスは易肥満(Ob-P)群と肥満抵抗(Ob-R)群に分かれることが知られている.本研究では,Ob-PマウスではOb-Rマウスに比べて,レプチン/ドパミン作用を介してVTAドパミン神経の興奮性が高まるのではないかという仮…

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  • 鍵盤ハーモニカの呼吸リハビリテーションへの活用の可能性

    萩原 綾香, 小林 如乃, 仲保 徹 心身医学 64 (2), 141-151, 2024

    <p>鍵盤ハーモニカ演奏前後の患者の気分に対する主観的指標の側面を,医学的に効果が実証されているスレッショルドとの比較により検討した.呼吸状態が安定している慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者17名を対象とし,鍵盤ハーモニカ群(8名)と,スレッショルド群(9名)に無作為に割付を行った.約15分間の呼吸練習を実施し,その前後に気分の測定としてProfile of Mood States 2nd …

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  • 皮膚科でできる交流分析

    堀 仁子 心身医学 64 (2), 125-130, 2024

    <p>皮膚症状を見るだけではなく,患者の抱える心理・社会的背景および患者特性を全人的に診る診療法を皮膚科心身医学的アプローチという.かゆみや慢性の経過,露出部の皮疹など皮膚疾患が心理面に与える影響もあわせて診療する姿勢が必要である.</p><p>交流分析は,心理や行動についてのひとつのパーソナリティ理論で,構造分析,交流パターン分析,ゲーム分析,脚本分析の4つを基本理論にしている心理療法である.…

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  • 不登校の実情と対応

    藤田 光江 心身医学 64 (2), 113-118, 2024

    <p>不登校は近年,小児・思春期の子どものみならずわが国の社会全体において大きな問題になっている.文部科学省によると,不登校とは児童生徒が1年間に30日以上欠席することをいい,「何らかの心理的,情緒的,身体的,あるいは社会的要因・背景により,児童生徒が登校しない,あるいはしたくともできない状況にあること(ただし,病気や経済的な理由によるものを除く)」と定義している.2021年の統計によると,小中…

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  • 皮膚科診療における傾聴

    檜垣 祐子 心身医学 64 (2), 120-124, 2024

    <p>心身医学の臨床では傾聴が医療者に求められる態度の基礎となっている.これは共感的,受容的に話し手に耳を傾け,聞き手自身に無理がないという態度である.受容と共感は,医療の現場で特に重視され,診療科によらず共通の主題である.</p><p>皮膚科診療においては,視診や触診が重要であるため,傾聴しつつ並行して診察,検査,治療を行うことになる.そのため,受容・共感的診療には多少の工夫が必要である.</…

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  • 心身相関におけるポリヴェーガル理論の意義

    津田 真人 心身医学 64 (3), 232-238, 2024

    <p>心身相関を,脳の中枢と身体の末梢の双方向的な相互関係と捉え直すなら,その媒介変数として,自律神経系の働きの意義が改めて注目される.その観点から,心臓の精神生理学的研究を通して,自律神経系の新たな見方を提示したのが「ポリヴェーガル理論」である.迷走神経の遠心路が,哺乳類以降2分される解剖学的事実に基づき,自律神経系を背側迷走神経複合体/交感神経系/腹側迷走神経複合体の3段階で把握することで,…

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  • 訴訟の場に顕れる摂食障害の倫理的課題

    桑原 博道, 福田 梨沙 心身医学 64 (3), 253-263, 2024

    <p>摂食障害の倫理的課題が民事訴訟,刑事訴訟の場に顕れることがある.</p><p>民事訴訟の場では,摂食障害のある入院患者に身体拘束を行った場合に,損害賠償請求訴訟が提起され,損害の公平な分担として,身体拘束の違法性が問題となる.この点,身体拘束の必要性に対する判断においては,医療者の裁量が認められている.</p><p>他方,刑事訴訟の場では,摂食障害の患者が万引きをした場合に,刑罰を加えるこ…

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  • 皮膚科心身医療に活かす自律訓練法

    山北 高志, 芦原 睦 心身医学 64 (2), 131-136, 2024

    <p>自律訓練法(autogenic therapy:AT)は1932年ドイツの精神科医J. H. Shultzが催眠の研究に基づいて創案し,後にW. Lutheによって体系化された心理療法である.ATは交流分析および認知行動療法とともに心療内科における治療の三本柱の1つとして発展してきた.その特徴は自分で「公式」を繰り返すことで全身の緊張を解き,自分自身でリラックスした心身の状態を得て,健康の…

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  • 食欲とオレキシン

    田川 菜月, 船戸 弘正 心身医学 64 (3), 239-245, 2024

    <p>視床下部外側野のニューロンが産生する神経ペプチドであるオレキシンは,摂食行動を促進するペプチドとして同定されたが,その後の研究により睡眠覚醒制御において必須の役割を果たしていることが明らかになった.また,摂食に関しては基礎的な摂食行動よりも報酬価の高い食事への嗜好に関与していることや,摂食行動を含めたエネルギー出納のバランスが肥満側に偏らないように作用していることが明らかになっている.本稿…

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  • 皮膚科における行動療法

    羽白 誠 心身医学 64 (2), 137-140, 2024

    <p>行動療法は不適切な行動を心理的操作によって修正する精神療法である.方法としては,段階的曝露法,セルフモニタリング法,ハビットリバーサル法,オペラント条件づけ,フラッディング法,苦行療法などがある.皮膚科において不適切な行動として問題となるのは,アトピー性皮膚炎をはじめとする痒みに対する過剰な搔破行動が最も多いと思われる.そのほかとして抜毛症や爪咬み,皮膚むしり症などがある.また人前に出ると…

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  • 心身症の新しい概念と医療システムにとってのその意義

    訳 河合 啓介 心身医学 64 (3), 216-224, 2024

    ...<p>日本心身医学会に属する多くの医師たちは,異なる診療科(内科,婦人科,歯科,麻酔科)での心身症患者をどのように適切に診断し,それぞれの患者に必要なさまざまな治療対応をどのように決定するかについて疑問をもっています.また,個々の診療科がそれぞれのパーソナライズされた心身症診断システムを必要とするのか,または1つの診療科によって設計された共通の心身症診断システムが他のすべての診療科に適用可能かという...

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  • 摂食症(摂食障害)診療における臨床倫理

    髙倉 修 心身医学 64 (3), 247-252, 2024

    <p>九州大学心療内科には毎年多くの摂食症(摂食障害)患者が来院するが,治療を途中で中断するケースも散見されている.また,心療内科において摂食症患者を入院させる場合,医療者と家族による説得に多くの時間とエネルギーを割かざるを得ないこともしばしばである.深町は,十分な時間をかけて説得し同意を得たうえでの入院となれば,入院目標の半分を達成したといっても過言ではないと述べており,こうした作業は治療上,…

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  • オンライン診療やAIを活用した今後の精神科医療の展望と課題

    木下 翔太郎, 岸本 泰士郎 心身医学 63 (1), 19-25, 2023

    <p>精神科領域は大部分が互いの顔を見ながらの会話で診療が成り立つことから,古くからビデオ通話を用いたオンライン診療が行われてきたが,COVID-19のパンデミックは,その活用を世界的に加速させた.また,今後の情報通信技術の発展とともに,患者の状態を病院外でも観察・管理するような遠隔モニタリングは全医学領域で増すものと思われる.精神科領域でもウェアラブルデバイスを用いた患者の状態把握,予防への利…

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  • 心身医学の過去,現在,未来

    端詰 勝敬 心身医学 63 (2), 114-118, 2023

    <p>今や心身医学の考え方や患者を診る視点は医療全般に広く浸透しているといっても過言ではない.現在では,心理社会的なストレスと身体疾患との関連は心療内科以外の診療科でも扱われることが普通になった.一方,心身医学の考え方は概念が出た当初の革新的なものから普遍的なものへと変化しているという見方もできる.心療内科の魅力は今も変わらないはずであるが,心療内科の魅力を時代に合わせて変化や発展させていくこと…

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  • 内科医師が行う吃音診療

    岡部 健一 心身医学 63 (3), 225-228, 2023

    <p>本稿では一般内科医が行う吃音臨床を紹介する.筆者は自身が吃音者であり思春期以降,発語に対する不安と戦ってきた.自律訓練法や民間の吃音矯正所・連想療法・入院森田療法など思いつく限りの改善策を学生時代に試したが吃音自体を解消するものはなく,吃音の自助団体である全国言友会連絡協議会の活動の中で年月をかけて吃音では困らなくなった.内科医師として勤務しつつ2016年に念願の吃音相談外来を開設した.多…

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  • プラセボ反応からみえてくる「治療の本質」を学ぶ

    中野 重行 心身医学 63 (3), 217-223, 2023

    <p>いわゆる「プラセボ反応」は,構造的には自然変動・自然治癒力(N)の上にプラセボ投与に起因する「真のプラセボ反応:P」が乗っており,N+Pと表現できる.薬物治療効果は,薬物の真の効果(D)がN+Pの上に乗っており,D+N+Pと表現できる.N+Pを高めると,①治療効果が高まる,②薬物の減量が可能になる,③薬物が不要になる,ことが期待できる.医療者として目指したいコンセプト「やわらかな1.5人称…

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  • HIV陽性者の睡眠障害の有病率と評価方法,およびうつの有病率についてのメタ解析

    中川 雄真 心身医学 63 (4), 363-375, 2023

    <p><b>目的</b>:HIV感染症の長期療養化に伴い,睡眠障害のコントロールは重要な課題である.本研究ではHIV陽性者と陰性者の睡眠障害率の差を調査するとともに,HIV陽性者の睡眠障害の評価方法,およびうつの有病率について調査することを目的とした. <b>方法</b>:HIV陽性者と陰性者の睡眠障害を比較した先行研究を検索し,採用基準を満たした文献を対象にメタ解析を実施した. …

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  • 心臓リハビリテーション患者のストレスコーピングにおける自己効力感(第2報)

    岡本 恵, 名越 泰秀 心身医学 63 (5), 452-462, 2023

    <p>心臓リハビリテーション患者のストレスコーピングに対する自己効力感(CSE)や感情に対する心理的介入の効果を検討した.心臓リハビリテーションを行った65歳以上の男性入院患者を介入群(21名)と非介入群(15名)に分け,地域在住高齢者(74名)を健常群として比較した.介入群には入院中にストレスマネジメントに関する集団での心理教育と個別面接を行った.CSEと感情の質問紙調査を,介入群には介入前後…

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  • 低コルチゾール血症をきたすストレス関連疾患とその鑑別

    松林 直 心身医学 63 (5), 409-416, 2023

    <p><b>背景</b>:低コルチゾール血症をきたすストレス関連疾患の身体症状(疲労,食欲不振,体重減少,過度の眠気,嘔気や下痢,関節痛や筋肉痛,めまい,微熱など)は低コルチゾール血症をきたす代表的な身体疾患である副腎皮質機能低下症と類似した症状がみられる. <b>方法と結果</b>:長引く疲労を主訴に心療内科を受診した患者に副腎皮質機能低下症診断アルゴリズムに従い検査した.1/5の症例が中枢性…

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  • 慢性疼痛として診る慢性頭痛

    水野 泰行 心身医学 63 (5), 418-423, 2023

    <p>慢性頭痛は関連する要素が多くなって病態が複雑化しやすいため,心身医学的な観点からの治療が必要な場合が多い.心理社会的因子の関与が大きな慢性頭痛は,その他の慢性疼痛と同じく,予期不安や過覚醒,回避行動などが悪循環を呈している病態ととらえると理解しやすい.治療においては頭痛ダイアリーを用いた行動分析をもとに,認知行動療法を導入するのが有用である.さらに,頭痛体操,自律訓練法,漸進的筋弛緩法など…

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  • 難治性疼痛の病態メカニズム

    牛田 享宏 心身医学 63 (6), 507-511, 2023

    <p>痛みは誰しもが経験するものであるが,病気やけがが治っても痛みが残るなどすると非常に苦しい経験が続いてしまうことになる.国際疼痛学会(IASP)は3~6カ月続く痛みを慢性疼痛と定義しているが,長引いているケースにおいては器質的な要因だけでなく心理社会的な要因も関与して持続することも多い.そのため世界保健機関(WHO)とIASPでは国際疾病分類(ICD-11)の中でその分類を定めており,骨関節…

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  • 消化器疾患にともなう抑うつ,不安

    奥見 裕邦 心身医学 63 (6), 513-519, 2023

    <p>消化器疾患は,「脳腸相関」という言葉に代表されるように,精神症状との関連が強いとされる疾患群の1つである.古くは消化性潰瘍や潰瘍性大腸炎においても抑うつ,不安の合併は,しばしば指摘されていた.一方Rome Ⅳを中心に定義された機能性消化管疾患(FGIDs)は,現代心身医学の要の疾患であるが,その主たる病態として,心理社会的要因が消化器系の運動や内臓知覚に影響することが解明されつつある.実に…

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  • 呼吸器疾患にともなう抑うつ,不安

    松田 能宣 心身医学 63 (6), 520-524, 2023

    <p>呼吸器疾患患者において抑うつ,不安の頻度は高い.しかし,呼吸器疾患患者の抑うつ,不安に対する薬物療法は未確立である.また,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する高用量のベンゾジアゼピン系薬の使用は死亡との関連が報告されている.そのため非薬物療法が優先される.特に,COPDに対する標準治療である呼吸リハビリテーションは抑うつに対する効果も認められている.また,認知行動療法がCOPD患者の心…

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  • 低リン血症を契機にビタミンD欠乏性骨軟化症の診断に至った神経性やせ症の1例

    中村 拓也, 藤本 晃嗣, 辰島 啓太, 辻 裕美, 田村 奈穂, 河合 啓介 心身医学 63 (1), 46-51, 2023

    <p>神経性やせ症の合併症として骨粗鬆症はよく知られているが,骨軟化症の報告は少ない.今回,低リン血症を契機にビタミンD欠乏性骨軟化症の診断に至った1例を経験した.</p><p>症例は50代女性.X−30年より体重減少が始まり,X年にbody mass index(BMI)10kg/m<sup>2</sup>まで低下し,神経性やせ症の診断にて当科で治療を開始した.X+4年に自宅にひきこもるように…

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  • 身体症状症の治療転帰

    小川 奈保, 名越 泰秀, 岡本 恵, 藤澤 なすか 心身医学 63 (2), 138-147, 2023

    <p><b>背景</b>:身体症状症は,一般的には難治で予後不良な疾患とみなされている.しかしながら,身体症状症の治療転帰を調査した研究は少ない.このため,身体症状症の1年後の治療転帰を検討した. <b>方法</b>:対象は,2018年4月~2019年3月の間に当科外来を受診し,「身体症状症,持続性」と診断された患者35例(男性9例,女性26例)で,平均年齢は54.5歳であった.診療録に記載され…

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  • 心身医学の原点とこれからの使命

    福永 幹彦 心身医学 63 (2), 106-113, 2023

    <p>1962年,池見酉次郎は,心身医学は医療に心理学を取り入れることによって医学の再調整をはかることを目的としていると著書に記した.1982年,石川中は現代医学が限界に来ている,また他者制御の医学に代わり自己制御の医学が新しい医学であると著書の中で述べている.これらは原点といえるだろう.60年を経た今,心身医学は,各診療科専門領域,慢性疼痛,がん・緩和医療,プライマリ・ケアなどへ広く発展したが…

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  • 医療機関を受診していない摂食障害患者の支援ニーズに関する調査研究

    菅原 彩子, 小原 千郷, 関口 敦, 西園マーハ 文, 鈴木 眞理 心身医学 63 (3), 241-250, 2023

    <p>摂食障害患者の未受診や受診中断の理由や,受診していない患者の支援ニーズを把握することは喫緊の課題である.摂食障害患者の受診を促す要因の解明を目的にWeb調査を実施し,被援助志向性が受診行動に与える影響と,未受診者や受診中断者が病院受診の際に求める情報・支援を検討した.</p><p>対象は患者264名(30.6±9.6歳),家族115名(49.5±10.8歳)であった.病型は神経性やせ症(A…

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  • 耳鼻咽喉科医師が行う低強度認知行動療法

    富里 周太 心身医学 63 (3), 229-235, 2023

    <p>吃音は発話の非流暢性を特徴とした疾患であるが,言語症状のみではなく社交不安や吃音症状に対する予期不安が伴う.吃音と否定的な経験が対提示され,レスポンデント条件づけによって吃音に対して恐怖や不安を感じるようになると発話場面に対する回避が伴うようになり,オペラント条件づけによって不安が強化されると理解される.さらに吃音における社交不安についての認知モデルでは,予感,不安,回避,自己注目などが複…

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  • 合理的配慮・障害者手帳を活用した吃音診療

    菊池 良和 心身医学 63 (3), 236-240, 2023

    <p>吃音のある人は人前で話す場面において不安や恐怖を感じる.人生の分かれ目となる入試や就職における面接などで,その不安や恐怖は大きくなる.コミュニケーションは話し手と聞き手のキャッチボールである.聞き手が変わることにより,吃音のある人の困り感は著明に軽減する.2016年に「障害者差別解消法」が施行され,大学などは合理的配慮の提供は義務とされている.入学試験および各種試験における面接・実技試験に…

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  • 大学病院心療内科の心理士の役割

    富岡 光直 心身医学 63 (4), 339-343, 2023

    <p>現在九州大学心療内科に所属する心理士は4名おり,1名は医学部に所属し3名は病院所属である.心療内科教室には4つの研究室があり,心理士は臨床心理研究室の構成員である.病院所属の3名は院内のブレインセンターで神経心理検査も行っている.心療内科での業務には教育,研究,臨床がある.教育の対象は医学部の3~6年生と卒後の研修医,心療内科に入局した若手医師である.内容は心理検査と心理療法の講義や実習が…

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  • 心身医学領域における心理士の業務と課題

    松田 史帆 心身医学 63 (4), 332-338, 2023

    <p>時代の変化とともに,心理士が活躍できる場面が増えていると思われる.新しい領域として,現在の所属先で取り組んでいる「治療と仕事の両立支援」について紹介し,心理士として求められる業務や役割について,これまでの経験も踏まえて報告する.</p><p>「治療と仕事の両立支援」とは,「働く意欲や能力があっても,就業継続や休職後の職場復帰が困難な事例」に対し,治療と仕事の両立をサポートする取り組みである…

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  • 周産期医療(NICU)における心理支援

    青木 絢子 心身医学 63 (4), 328-331, 2023

    <p>周産期は命の誕生という喜びに満ちたときである一方で,さまざまな疾患や家族関係の変化などリスクを伴う期間でもある.この時期の高度で専門的な医療は,周産期母子医療センターが担っており,筆者が所属する新生児集中治療室(以下,NICU)には,早産児,低出生体重児,さまざまな疾患の新生児や乳児が入院している.保育器に入ったわが子を前にして,予期せぬ出来事が起こった戸惑いや,わが子がリスクを抱えて生ま…

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  • COVID-19流行時の心療内科の診療体制について

    上村 泰德, 稲田 修士, 阪本 亮, 樋田 紫子, 梶原 都香紗, 奥見 裕邦, 名倉 美樹, 松岡 弘道, 小山 敦子 心身医学 63 (4), 350-362, 2023

    <p><b>目的</b>:COVID-19流行下に心療内科外来を受診する患者の受診意識と感染症対策を実施した診療に関する意識,心理状態を調査し,COVID-19流行下の心療内科の診療体制を検討する. <b>方法</b>:2020年5月12日~6月22日,近畿大学病院心療内科外来患者に配布した心理検査とアンケートを後方視的に調査した. …

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  • 片頭痛の認知行動療法

    嶋 美香, 端詰 勝敬 心身医学 63 (5), 424-429, 2023

    <p>片頭痛は日常生活において支障度の高い疾患であり,患者のQOLに影響を与え,患者への負担や社会的損失の大きい疾患である.片頭痛の誘発および維持要因は,生物学的要因のみならず,心理社会的要因も症状に影響を与えることがわかってきた.頭痛に対するとらえ方や痛みに対する反応,対処などは症状の維持要因として考えられている.服薬のみでは効果が十分でない,あるいは症状の背景に心理社会的要因が考えられる場合…

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  • 関節リウマチ患者の抑うつ状態と関連する因子の検討

    三輪 裕介, 穂坂 路男, 三田村 裕子 心身医学 63 (5), 445-451, 2023

    <p><b>目的</b>:関節リウマチ患者の約15%はうつ病を合併するが,抑うつ状態と関連する因子を検討した報告はない.本稿では抑うつ状態と関連する因子を検討した. <b>方法</b>:対象は昭和大学病院通院中の関節リウマチ患者のうち124人.患者背景は,年齢,性別,肥満度指数,喫煙歴,高血圧・糖尿病の有無,ステロイド・メトトレキサート使用量,関節リウマチの疾患活動性,ADL評価を調査した.うつ…

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  • 政策・行政への心身医学の実践

    鴨下 一郎 心身医学 63 (6), 499-506, 2023

    <p>医療現場での実践と政治家としての経験から,心身医学が政策・行政に何を働きかけて,何ができたのかを紹介した.具体例として,心療内科が標榜科目になったこと,過労死や児童虐待への対策,公認心理師の国家資格化などを取り上げた.今日的な問題としては,ルッキズムと摂食障害,働き方改革,テレワークについて言及した.続いて,心身医学のデジタル化を取り上げ,デジタル化が進むことによる治療の可能性を紹介した.…

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  • 動機づけ面接と糖尿病

    川村 智行 心身医学 63 (1), 39-45, 2023

    <p>1型糖尿病は,注射によるインスリン療法が唯一の治療である.近年の1型糖尿病診療は,新しい薬剤や血糖測定のデバイスの進歩が著しい.それでも,インスリン療法に加えて日々の生活の中で最も重要な食生活と運動の管理を生涯継続しなければならない.血糖管理が不十分な場合,糖尿病合併症の発生頻度は非常に高く,生命予後を悪化させる.小児思春期に多く発症する1型糖尿病では,血糖管理が不十分になりやすく,患者指…

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  • プライマリケアにおける心療内科医の糖尿病診療の取り組み

    久我原 明朗, 佐藤 幸恵, 吉田 大祐 心身医学 63 (1), 33-38, 2023

    <p>糖尿病の療養指導も問題解決型思考で行われることが多い.つまり「高血糖が持続することにより将来の合併症発生リスクが高まる(問題がある),だから今の生活を望ましい方向に変えましょう(解決行動を促す)」という論理である.しかし,一部にはそれだけでは前進しないこともある.糖尿病罹患による対象喪失体験という心理的課題を抱えたり,治療指標の達成の先にある生活目標にフォーカスしないとモチベーションが維持…

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  • 慢性疼痛にまつわる集学的学びの軌跡

    細井 昌子 心身医学 63 (2), 124-131, 2023

    <p>医学部卒業から心身医療を志して35年以上を経過した一人の心療内科医として,その研修・研究の軌跡を振り返り,達成できたこと・できなかったこと,今後の課題,および若手医師に伝えたいことをまとめた.心身医療は「人は変わることができる」喜びを患者とともに享受できる醍醐味があり,そのおもしろさをより多くの若者に実感していただきたい.</p>

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  • 地域医療の中の心身医療

    伊澤 敏 心身医学 63 (2), 132-137, 2023

    <p>筆者は1990~1991年の1年間,勤務していた佐久総合病院から派遣され,九州大学心療内科に研究生として在籍した.佐久総合病院は地域医療の実践で知られる病院である.自院に戻った後,心療内科と精神科の診療を担当し,病院の管理業務にも携わりながら今日に至る.</p><p>本稿では九州大学心療内科で学んだことを振り返り,佐久総合病院の地域医療のかたちを作った若月俊一の思想の一端を紹介したうえで地…

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  • 心身医学の原点とその展開

    河合 啓介 心身医学 63 (2), 98-104, 2023

    ...<p>心身医学はドイツで発祥し,その後,米国で発展した.ドイツでは心身医学講座が各大学にある.米国ではリエゾン精神医学,基礎研究,行動医学を中心に発展した.日本は米国から心身医学を取り入れたが,目指す方向はドイツ心身医学に近い.2005年以降,日本心身医学会の会員数は減少傾向にあるが,これは大学の心身医学講座に属さなくても,標準的な心身医学を学ぶ機会が増加したことの表れかもしれない.筆者は,以下のテーマ...

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  • 歯科心身症の概要と新概念への展望

    和気 裕之, 澁谷 智明, 石垣 尚一, 依田 哲也, 小見山 道, 山口 泰彦, 佐々木 啓一, 松香 芳三, 築山 能大, 角 忠輝, 岡安 一郎, 島田 淳, 玉置 勝司, 宮岡 等, 窪木 拓男, 宮地 英雄, 菅沼 岳史 日本口腔顔面痛学会雑誌 15 (1), 1-11, 2023

    ...<br><b>目的と方法</b>:歯科心身症の明確な概念や定義が確立していないため,歯学部教育では教員が独自の解釈で講義を行っているものと思われる.一方,臨床では,歯科医師は歯科心身症を判断する情報が少ない状況で診療に当たっており,医療連携においても支障をきたすことが危惧される.そこで,今回,歯科心身症を概説した後,日本心身医学会の心身症の定義(1991),ICD-10(F54),および米国精神医学会...

    DOI 医中誌

  • 縁起思想における人間(私)

    田中 典彦 心身医学 63 (3), 202-207, 2023

    <p>移り変わりながら現れていて(無常),不変な本質をもち合わさない(無我)ものの在り方をしているのかを示したのが縁起説である.縁起とは「およそ存在するものは皆,種々の要素(条件)が相関わり合いながら生起している状態としてある」という意味である.すべては状態としてあるととらえるのが仏教の特質であるといえる.時間的因果,空間的因果など,種々の縁起理解が展開されている.</p><p>人間(私)も縁起…

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  • 身体因性偽神経症へのチーム医療の取り組み

    志和 悟子, 永田 勝太郎, 大槻 千佳, 前川 衛, 大木 和子 心身医学 63 (3), 251-259, 2023

    <p><b>目的</b>:身体因性偽神経症はフランクル(Frankl)が提唱した概念である.身体的病態が潜在しているが,精神疾患と誤認してしまうことである.本来の身体的病態を治療するか,心理的反応のみに目を奪われて向精神薬を多用するか,医師のidentityが問われ,患者の予後が大きく変わってしまう.チームでの取り組みを報告したい. …

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  • 脳神経内科領域における心理職の役割

    内山 佳代子 心身医学 63 (4), 322-327, 2023

    <p>脳神経内科では認知症や脳卒中などの疾患を対象としている.病態は身体症状に加え,認知機能の低下,心理・行動面の変化が生じる.診断の際には,血液や脳画像検査などに加えて神経心理学検査による認知機能の査定が実施され,薬物療法やリハビリテーションが導入される.経過は進行性で予後が深刻な場合や,治療法が未確立の疾患もある.2020年の公認心理師の活動報告によると,登録者の中で医療保健領域に所属する心…

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  • 小児・思春期の慢性頭痛

    藤田 光江 心身医学 63 (5), 430-435, 2023

    <p>子ども(小児・思春期を含む)の頭痛の多くは,片頭痛,緊張型頭痛と診断される.片頭痛は月2~4日程度の中等度~重度の頭痛発作で,発症時刻はまちまちであり治療薬も有効である.緊張型頭痛は,頭痛の治療薬が効かず,ときに慢性化し,学校欠席の理由となることがある.頭痛が月15日以上,3カ月以上持続すれば,慢性連日性頭痛(CDH)といわれる.CDHの子どもは学校のある朝,強い頭痛を訴え,起きられずとき…

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  • 内分泌・代謝疾患にともなう抑うつ,不安

    浅野 麻衣 心身医学 63 (6), 532-537, 2023

    <p>抑うつ・不安と内分泌・代謝疾患の関連は数多く指摘されている.甲状腺機能亢進症は古典的心身症の1つで,ストレスがバセドウ病の治療経過に影響することは広く知られるようになった.抑うつや不安もバセドウ病の治療経過に影響し,寛解率の低下と関連していることが示されている.糖尿病と抑うつは密接に関連し,糖尿病患者におけるうつ病の合併は多い.抑うつは,生理学的機序と行動医学的機序の両者を介して糖尿病患者…

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  • 身体疾患にともなう抑うつ,不安

    三輪 裕介, 富岡 大, 三輪 (三田村) 裕子, 穂坂 路男 心身医学 63 (6), 538-542, 2023

    <p>関節リウマチには一定の割合でうつ病を合併することが報告され,7~75%とばらつきが多い.その大半はSDS,CES-D,HADS,BDI,PHQ-9,HAM-Dなどの質問紙による調査であり,統一されていない.どの質問紙が最適か,cut off値をどこに設定するのが適切か,精神科医師による構造化面接との比較による質問紙法による妥当性はどの程度あるのか不明である.研究対象の背景の違い(時代,国,…

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  • 1型糖尿病の診療における治療者の役割

    波夛 伴和 心身医学 63 (1), 27-32, 2023

    <p>この10年間で,九州大学病院心療内科を受診する1型糖尿病をもつ人の主訴は大きく様変わりした.以前は,過食やインスリンオミッションを伴う摂食障害を併発した人が受診者の大半を占めていた.一方,近年では,摂食障害併発例の紹介は減り,器質的な異常を認めない身体症状が主訴の人が増えている.当然のことであるが,受診者それぞれに病態は異なり,それに応じて治療法も異なる.本稿の前半では,病態を考えるうえで…

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  • 青年は荒野を目指したか?

    金光 芳郎 心身医学 63 (2), 120-123, 2023

    <p>私が心療内科を志した理由は「心身医学は未開の荒野だから」というものであった.心療内科は格好の新しい世界の入り口に思われた.卒業後すぐに心療内科に入り,初年研修では深町建先生のもとで摂食障害の治療の指導を受けた.九州大学心療内科研修では,心身症の治療に苦労した.長門記念病院では塵肺症の心身症治療を経験した.大学院では神経免疫調節系の研究を行い,ストレス負荷による脳内サイトカイン発現定量のため…

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  • デジタルテクノロジーは精神科医療を変えるか

    木下 翔太郎, 岸本 泰士郎 心身医学 63 (3), 208-216, 2023

    <p>多くの精神疾患は,その診断や重症度評価に有用なバイオマーカーが存在しない.このことは,診断の不一致,治療効果の判定の不分明さ,治験の失敗など,多くの問題につながっている.こうした精神科領域特有の課題解決に向けたアプローチの1つとして,デジタルテクノロジーを活用した症状モニタリング,症状定量技術,あるいは治療技術の開発が世界的に活発化している.また,COVID-19によるパンデミックは世界の…

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  • ヨガ

    岡 孝和 心身医学 63 (3), 265-269, 2023

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  • iPS細胞を用いたパーキンソン病の病態解析と創薬

    赤松 和土 心身医学 63 (4), 317-320, 2023

    <p>パーキンソン病は60歳以上では100人に約1人が発症する神経変性疾患であるが,症例の9割を占める孤発性症例は,臨床症状からその原因が多様な集団と予測され,各症例の層別化と病態解明が効果的な治療法開発に必須と考えられる.われわれはこれまでさまざまなタイプのパーキンソン病のiPS細胞の樹立・解析を進めてきたが,最近,ミトコンドリアクリアランス異常を示す家族性パーキンソン病患者由来iPS細胞より…

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  • 大学病院における心理職の居場所づくりと今後に向けて

    古井 由美子 心身医学 63 (4), 344-349, 2023

    <p>1988年に病院初の心理職として医療相談室に入職し,身体科から依頼される心理検査や心理相談を担当し,そこで心身医学の原点と思われる2事例を体験した.そこでは,心身相関の視点を学び,身体疾患についての知識のなさ,心理職としての専門性の未熟さを痛感することになった.数年後,社会的に臨床心理士の知名度が上がるのに伴い,院内での職域が拡大していった.そしてさまざまな人の支えがあり,2012年に中央…

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  • 緊張型頭痛の病態と治療に関する私見

    北見 公一 心身医学 63 (5), 436-444, 2023

    <p>緊張型頭痛(TTH)は,背景に上位頸神経・三叉神経伝導路(CTR)持続刺激という生物学的基本病態をもち,その上に個別の要素が加わり病像を形成している.CTR刺激はTTH診断基準を満たすすべての頭痛にみられる同一の生物学的背景であり,各個人の遺伝的体質,心理社会的背景や性格特性の違いなどにより臨床像が修飾されるが,CTR刺激それ自体が慢性頭痛に特有の性格特性をも生み出し,痛みの表出に影響を及…

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  • 循環器疾患とディストレス(うつ・不安),そしてトラウマの関連性

    豊田 英嗣 心身医学 63 (6), 525-531, 2023

    <p>循環器疾患は心理的ディストレスを高率に誘発する.心理的ディストレスとはうつと不安を含む個人が経験する不快な主観的状態である.ディストレス,とりわけうつは心血管疾患の罹患と死亡率にも関連する.心血管疾患とうつの間には生物学的メカニズム,行動学的メカニズム,そして喪失体験などの要因が介在することが知られており,両者はお互い持続的に影響し絡み合う病態である.さらに,心血管疾患とトラウマとの間にも…

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  • 心理療法は呼気一酸化窒素濃度(FeNO)に影響を与えるか?

    久徳 重和 心身医学 62 (2), 146-150, 2022

    <p>気管支喘息に心理的要因が関与することは古くから知られている.小児重症難治性喘息の領域においては,よく計画された心理療法が優れた対症療法として機能するとの報告は数多くなされているが,現在においてもEBMに基づいた心理療法の確立には至っていないのが現状である.</p><p>筆者は小児喘息患児の性格特性と呼気一酸化窒素濃度(FeNO)の関連について簡便な方法による横断的な調査を行い,概略下記のよ…

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  • 自閉スペクトラム症における「こころ」と「身体」と「行動」

    岡本 百合 心身医学 62 (3), 235-239, 2022

    <p>自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder:ASD)は,その名のとおり,カテゴリー的なものではなく連続的に移行するスペクトラム概念でとらえられるようになった.最近の大規模疫学調査では2%程度にみられるという報告もあり,コモンディジーズととらえる傾向にある.社会性の乏しさ,コミュニケーションの困難さから孤立しやすい,強いこだわりや柔軟性の乏しさから環境変化に適応しに…

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  • コミュニケーションロボットの存在と臨床応用への可能性

    坂田 信裕 心身医学 62 (4), 296-300, 2022

    <p>高齢化社会の進展や,Society 5.0への移行を見据え,さまざまなロボットの開発や活用検討が進んできている.国などの施策などによる開発支援も進められ,介護領域においても,次第にロボット活用に対する認識が広がりつつある.今回の学会講演では,介護領域でも活用・検討が行われている,「コミュニケーション」が可能なロボットの「存在感」や「存在」について,人との関わりの位置づけなどについて考察を行…

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  • 「社会医学」の視点から求める「心身医学」

    中尾 睦宏 心身医学 62 (6), 459-465, 2022

    <p>心身医学はbio-psycho-social modelに立脚した臨床・実践活動を基本としている.ところが, 心身医学においては今まで心身相関に焦点を当てた研究・教育が主流であったため, socialの位置づけについては十分な議論が尽くされていなかった.そこで, 心身医学の社会的側面についてさらに考えるために本シンポジウムを企画した.「社会医学」は非常に幅広い分野を有するため, …

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  • 慢性疼痛の神経炎症を中心とした生物学的基盤

    藤本 晃嗣, 細井 昌子 心身医学 62 (1), 50-56, 2022

    <p>器質的疾患を指摘できない慢性疼痛において,近年その生物学的基盤が明らかになりつつある.特に注目を浴びているのが,神経炎症である.視神経脊髄炎スペクトラム障害などの脱髄疾患を中心として神経炎症との関連が明らかになるにつれ,病態に基づいた治療が実臨床に導入されつつある.慢性疼痛においても炎症メディエーターやミクログリアの関与が知られているが,近年グリア細胞の活性を<i>in …

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  • 過敏性腸症候群における脳腸相関と腸内細菌叢

    佐藤 研 心身医学 62 (1), 45-49, 2022

    <p>近年,腸内細菌がさまざまな疾患に大きな影響を及ぼしていることが解明されてきている.過敏性腸症候群(irritable bowel syndrome:IBS)においても,腸内細菌が大きく関与していることが明らかになってきた.腸内細菌の変化は,腸管における粘膜透過性亢進や微小炎症の原因となり,信号は脊髄の感覚神経を介して中枢神経に伝達され,さらに脳内プロセッシング異常により,IBS症状をきたす…

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  • 神経性やせ症の患者本人が語る発症から寛解までの心理的プロセス

    三村 千春 心身医学 62 (2), 156-166, 2022

    <p>本研究では神経性やせ症(AN)の自己物語に着目しながら発症から寛解までの心理的プロセスについて検討することを目的とし,寛解に至った4名のAN患者にインタビューを行った.質的研究法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(Grounded Theory Approach:GTA)を参考とした分析を行い,発症から悪化までと,悪化から軽快,寛解までの心理的プロセスについて理論的モデル図を作成し…

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  • Dupilumab導入によるうつ症状への影響

    奈良本 駿, 小屋 俊之, 長谷川 隆志, 木村 陽介, 島 賢治郎, 青木 亜美, 林 正周, 酒井 菜摘, 田中 健太郎, 坪川 史人, 筒井 裕一, 新堀 香織, 佐々木 崇暢, 堀井 新, 村松 芳幸, 真島 一郎, 村松 公美子, 菊地 利明 心身医学 62 (2), 139-145, 2022

    <p>気管支喘息および慢性副鼻腔炎におけるうつ症状の合併は知られている.しかしながら治療に伴う精神症状の改善についての報告は少ない.今回は,抗IL-4受容体抗体であるdupilumabを導入した好酸球性副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhino-sinusitis:ECRS)合併喘息症例に対して,導入前後のうつ症状の変化を解析した.ECRS合併喘息患者にdupilumabを導…

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  • 卒前卒後の医学教育における心身医学教育の現状と課題

    岡田 宏基 心身医学 62 (2), 119-125, 2022

    <p>卒前卒後の医学教育での種々の修得目標から心身医学教育に関係したものを抜粋し,それらと実際の教育の現状について紹介した.また,内科学教科書での心身医学に関係した記載を比較した.卒前教育では,医学教育モデル・コア・カリキュラム,共用試験学修・評価項目,医学教育分野別評価,および医師国家試験出題基準から心身医学教育に関連した事項を抜粋した.これらの中では,医師国家試験出題基準で最も多くの項目が含…

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  • 子育て中の乳がん患者の不安および抑うつに影響する要因の検討

    照井 みのり, 佐藤 菜保子, 村椿 智彦, 佐藤 章子, 石田 孝宣, 福土 審 心身医学 62 (3), 248-262, 2022

    <p>子育て中の乳がん患者の不安・抑うつの程度には,子育てに関連する要因が影響することを明らかにすることを目的とした.20歳以上で,診断から10年以内,0~18歳の同居している子が少なくとも1人以上いる患者に質問紙調査を行った.HADS,BCWI,FACT-Gを用いて,quality of life(QOL)や心配,不安・抑うつの程度を調査し,子どもとの関わりについて独自質問尺度を用意した.不安…

    DOI Web Site 医中誌

  • 健康の社会的決定要因に対するアプローチ

    堤 明純 心身医学 62 (6), 466-470, 2022

    <p>政治的な選択(制度)や,所属している集団の文化や規範によって影響を受ける社会的な構造(収入,教育,職業など)が,健康の格差を生む最大の要因として注目されており,健康の社会的決定要因と呼ばれる.個人の力では対応しきれない「原因の原因」と健康障害が発生するメカニズムは,bio-psycho-socialモデルに基づいて,その科学的検証と対策が図られており,現代における,社会医学の最大の課題の1…

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  • 関節リウマチにおけるオキシトシンと抑うつについて

    三輪 裕介, 穂坂 路男, 三田村 裕子 心身医学 62 (1), 65-69, 2022

    <p>関節リウマチ患者では約15%にうつ病が合併することが報告され,合併症の中では最多である.オキシトシンは幸福ホルモンといわれ,うつ病,統合失調症,自閉症,摂食障害,発達障害,心的外傷後ストレス障害などさまざまな精神疾患において関連することが報告されている.しかし,関節リウマチをはじめとする自己免疫性疾患での報告は少なく,関節リウマチでは,血清オキシトシン濃度と直接関連のある因子は報告されてい…

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  • 呼吸器疾患(気管支喘息・COPD)の心身相関

    真島 一郎, 菊地 利明 心身医学 62 (1), 29-36, 2022

    <p>気管支喘息(喘息)と慢性閉塞性肺疾患(COPD)は呼吸器心身症であり,身体的因子の疾患への影響が大きい場合,まずは「身から心へ」の心身医学的アプローチが必要である.喘息の心身相関において,特に難治性重症喘息患者については,身体的治療の強化が心理的安定につながり,ひいては慢性のストレス反応を軽減するものと思われる.気管支サーモプラスティ治療・分子標的薬治療は,重症喘息において抑うつ・QOLを…

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  • 内分泌系の心身症における心身相関

    山下 真, 髙倉 修 心身医学 62 (1), 57-64, 2022

    <p>本稿では,内分泌系の心身症の中でも神経性やせ症(AN)を取り上げ,その病態および心身相関について最新の知見を交え概説する.視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸は,ストレスシステムの主要な構成要素であるが,ANにおいても主として飢餓の影響から,HPA軸が活性化されている.また,視床下部-下垂体-性腺軸,成長ホルモン-インスリン様成長因子1軸の異常をきたす.さらに,摂食調節ホルモン,サイトカイン…

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  • 極度の低体重で受診した35年間のひきこもりを背景にもつ女性への生物心理社会的アプローチ

    塚野 佳世子, 山﨑 千佳, 津久井 要, 佐貫 一成 心身医学 62 (2), 167-175, 2022

    <p>長期間社会との関係をもたない「ひきこもり」は,現在大きな問題となっている.医療におけるその支援過程に関する報告はいくつかあるが,親と死別している症例で,生物心理社会的アプローチを統合的に論じた報告は,われわれの知る限りない.今回,35年間自宅にひきこもっていた49歳女性が,母親の死後,極度の低体重をきたし心療内科を受診し,入院治療の後,地域生活につながった症例を経験した.背景には自閉スペク…

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  • 抑うつ状態を呈する喫煙者のTokyo University Egogram New Ver. Ⅱ(新版TEG Ⅱ)の特徴と喫煙気管支喘息患者の性格特徴の考察

    須賀 俊介, 竹内 武昭, 橋本 和明, 中村 祐三, 都田 淳, 小山 明子, 柊 未聖, 村崎 舞耶, 端詰 勝敬 心身医学 62 (2), 127-131, 2022

    <p>喫煙は性格特徴の影響を受ける行動様式の1つであり,喘息死の要因でもある.したがって,喫煙に関連する性格特徴に焦点を当てた禁煙介入は,気管支喘息の死亡リスクの減少に寄与するといえる.しかし,喫煙に関連する性格特徴の先行研究では,統一された結果が得られていない.</p><p>抑うつは,喫煙行動と相互に増強し合う関係にあり,気管支喘息の増悪因子でもある.さらに,抑うつはその病態の形成に性格特徴が…

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  • 摂食障害の精神療法

    野間 俊一 心身医学 62 (3), 215-219, 2022

    <p>摂食障害の治療は容易ではないが,その精神病理を理解し適切に診立てることで,患者に応じた精神療法を行うことができる.摂食障害の症状の本質は「こだわり」であり,その背景には自己存在の不確かさに由来する「完璧主義」が認められる.症状が慢性化しやすい理由としては,摂食障害が「嗜癖」という側面をもっていることと,他者からの評価を過剰に意識する「自己過敏傾向」が存在することが挙げられる.診立てるために…

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  • 摂食障害における「こころ」と「身体」と「行動」

    水原 祐起 心身医学 62 (3), 230-234, 2022

    <p>摂食障害はその診断基準に「こころ」と「身体」と「行動」のすべての項目が含まれており,発症から回復まで,心身相関の中で病態が変化していく.その病型を越えて,完全主義,自己評価の低さ,感情不耐性といった「こころ」の病理が認められる.また,拒食によって引き起こされる低体重では,るい痩,浮腫,ホルモン異常,代謝障害などの「身体」症状を呈し,生命危機に陥ることも少なくない.過食・嘔吐や下剤乱用により…

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  • うつ病患者の「こころ」「身体」「行動」

    宮岡 等, 宮岡 佳子 心身医学 62 (3), 221-224, 2022

    <p>・ヒトを「こころ」「身体」「行動」という視点からみるとき,行動の評価は慎重にする必要がある.行動の多くは思考,知的能力などの精神症状に起因することが多い.</p><p>・BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)では行動のみから異常と判定される面があり,行動評価における不適切な概念といえるかもしれない.</p><p>・うつ…

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  • 「脳」と「身体」と「行動変容」

    関口 敦, 菅原 彩子, 勝沼 るり, 寺澤 悠理 心身医学 62 (3), 225-229, 2022

    <p>近年,心身相関の認知科学的な背景の1つとして「内受容感覚」が注目されてきた.内受容感覚とは,呼吸・心拍・腸管の動きなど身体内部の生理的な状態に対する感覚を指し,ホメオスタシスの維持に必要な機能と考えられている.内受容感覚の障害はさまざまなストレス関連疾患で認められており,「脳」と「身体」をつなぐメカニズムでもある.</p><p>Damasioらの研究により,リスク行動を選択する際には危険を…

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  • 遺族ケアの立場からみたアドバンス・ケア・プランニング

    四宮 敏章 心身医学 62 (4), 321-325, 2022

    <p>アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は自己決定支援である.患者の思い,希望を大事にすることは当然だが,ご家族,さらには医療者の思いもACPに組み入れる必要がある.なぜなら,彼らは,患者さんが亡くなった後も生きていかなくてはならないからである.また遺族には,心的外傷後成長ができる人であるという視点も,われわれは知らなければならない.</p>

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  • サイコオンコロジスト(精神腫瘍医)に求められるもの

    所 昭宏 心身医学 62 (4), 302-306, 2022

    <p>第3期がん対策推進基本計画で『「精神腫瘍医」とは,がん患者,家族,医療従事者の心に及ぼす影響を熟知し,臨床・実践活動でがんに伴って生じる精神心理的な苦痛の軽減に取り組む精神科医又は心療内科医のことをいう』と明記された.保険診療における「精神症状の緩和を担当する医師」は,心療内科医であっても差し支えないと発出された.</p><p>一方,がん医療,緩和ケアチーム診療において,患者さん,ご家族や…

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  • 子どものインターネットゲーム障害の背景因子と外来治療経過

    増田 彰則, 山下 協子, 松本 宏明, 平川 忠敏, 胸元 孝夫 心身医学 62 (4), 326-340, 2022

    <p>インターネットゲーム障害と診断された小・中・高校生107例の背景因子と外来治療経過について検討した.家族背景では,一人親家庭が46例(43.0%)と多く,44例(41.1%)に逆境体験があった.発達障害といじめられた体験をもつ例がそれぞれ38例(35.5%)であった.睡眠では入眠障害が63例(58.9%),昼夜逆転が39例(36.4%)いた.学校生活では不登校45例(42.1%),部分登校…

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  • 精神科医の立場から

    井上 真一郎 心身医学 62 (4), 315-320, 2022

    <p>緩和ケア研修会の研修プログラムにおいて,「気持ちのつらさ」「せん妄」「コミュニケーション(一部)」の3セッションは,いずれもe-learningとなっている.本稿では,e-learningだけでは伝えきれない実践的内容について,精神科医の立場から,筆者自身の臨床経験を踏まえて具体的に解説した.まず「気持ちのつらさ」では,うつ病の過剰診断および過少診断に対する警鐘,そして非専門家でも抗うつ薬…

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  • 慢性疼痛と新型/現代型うつ

    加藤 隆弘, 藤本 晃嗣, 細井 昌子 心身医学 62 (5), 394-400, 2022

    <p><b>背景</b>:うつ病と慢性疼痛の関連は以前より示唆されているが,新型/現代型うつ(以下MTD)と慢性疼痛との関連を検討した研究はない. <b>目的</b>:MTDに関連する心理特性と精神科受診者の慢性疼痛との関連性を検討した論文(FujimotoらFront Psychiatry 2021)を紹介する. …

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  • ヒト末梢血誘導型ミクログリア細胞技術を用いた慢性疼痛研究

    扇谷 昌宏, 加藤 隆弘, 細井 昌子 心身医学 62 (5), 390-393, 2022

    <p>脳細胞の一種であるミクログリアは,微小な環境変化に敏速に反応し,貪食やサイトカイン産生などを行うことで脳内免疫応答の中心として機能している.また,その機能不全や異常活性化がさまざまな病態に関与していることが示唆されている.慢性疼痛は,単なる痛みだけの疾患ではなく,人間(ヒト)に特有の多面的な疾患ともいえる.このヒト特有の疾患を研究するためには,当然ながらヒトの細胞を用いて実験する必要がある…

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  • 仕事の心理社会的要因とメンタルヘルス

    島津 明人 心身医学 62 (6), 471-475, 2022

    <p>本稿では,労働者のメンタルヘルスについて,特にワーク・ライフ・バランスに注目して言及する. 従来の労働者のメンタルヘルス対策,特に第1次予防対策では,職場環境や働き方に焦点を当て,管理監督者教育,職場環境の改善,セルフケアの支援などが行われてきた.しかし,労働者のメンタルヘルスのあり方は,職場環境や働き方だけでなく,ワーク・ライフ・バランスや休み方など,仕事外の要因によっても影響を受ける.…

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  • 身体活動の推進とBio-Psycho-Social Model

    井上 茂, 薫 一帆, 天笠 志保 心身医学 62 (6), 476-481, 2022

    <p>身体活動の効果は誰もが知るところだが,その習慣化は難しい.これまで,身体活動推進のために行動心理学的な方法が用いられてきたが,2000年頃より身体活動支援環境に関する研究が盛んになった.例えば,地域の住居密度,用途地域の混在度,道路ネットワークなどと身体活動,肥満との関連には多くのエビデンスがある.これらの研究成果に基づいて,健康日本21では「運動しやすいまちづくり・環境整備に取り組む自治…

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  • 心臓病の患者のメンタルヘルス

    伊藤 弘人, 村松 公美子 心身医学 62 (1), 37-44, 2022

    <p>心臓病の患者のメンタルヘルスについて,うつ(depression,うつ状態と大うつ病性障害)の観点から,冠動脈疾患,心不全,心筋症と不整脈の領域での研究の到達点を概説した.心臓病の患者はうつを高頻度に併発し,併発すると生命予後が悪化する.両者の間には,行動特性とともに,自律神経機能,血小板凝集能亢進,血管内皮機能不全や炎症などの生物学的な要因が介在していると考えられている.2008年にアメ…

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  • 気管支喘息と副腎機能低下症

    灰田 美知子 心身医学 62 (2), 132-138, 2022

    <p>気管支喘息(以下,喘息)は心理社会的要因の影響が多い疾患であるが,そのさまざまな不定愁訴は心理社会的要因のみならず背景に存在する副腎機能低下症(adrenal insufficiency:AI)の関与も否定できない.本来の喘息の重症度に加え,過去の副腎皮質ホルモン使用による続発性のAIがあれば,それは不定愁訴の関与因子として疑う必要がある.AIは個人差も大きく実臨床での確定診断は困難である…

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  • 喘息マネジメントにおけるdysfunctional breathingの重要性

    丸岡 秀一郎 心身医学 62 (2), 151-155, 2022

    <p>Dysfunctional breathing(DB)は,呼吸困難感,胸部圧迫感などを呈する呼吸パターン異常の病態である.喘息に併存し,quality of lifeの低下,重症化に関与していることから,DBを早期診断し,治療介入することは,喘息マネジメントにおいて非常に重要である.DBをスクリーニングするナイメーヘン質問票(Nijmegen …

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  • 心臓リハビリテーション患者のストレスコーピングにおける自己効力感

    岡本 恵, 名越 泰秀, 佐藤 豪 心身医学 62 (3), 240-247, 2022

    <p>心臓リハビリテーション患者のストレスコーピングにおける自己効力感(coping self-efficacy:CSE)の検討を行った.65歳以上の心臓リハビリテーションに参加した入院中の患者群(122名)と地域在住の健常群(115名)に,CSEと感情についての質問紙調査を行った.その結果,高齢者のCSEとして,認知,回避,問題解決,気分転換の4因子が抽出された.また,患者群は健常群に比べて認…

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  • 最新のがん診療とそれによって変わったがん薬物療法と緩和医療との関係

    辻 晃仁 心身医学 62 (4), 307-313, 2022

    <p>がん診療の進歩は目覚ましく,がんゲノム医療が普及し,Precision Medicineが注目されるようになった.中でも分子標的薬や第4世代の免疫療法である免疫チェックポイント阻害剤などの新規抗がん薬の登場は,がん治療における新時代の幕開けをもたらした.従来であれば有効な治療法がなかった患者さんや,緩和医療を受けていた終末期の患者さんが,がんを克服する事例も増えてきている.</p><p>こ…

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  • 愛着関連障害と愛着アプローチ

    岡田 尊司 心身医学 62 (5), 379-383, 2022

    <p>In recent decades, an increasing number of new psychotic and psychosomatic disorders have affected patients and therapists. These include chronic depression, borderline personality disorder, …

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  • インターネット上の情報収集と痛みの破局的思考の関連

    冨田 千景, 塩﨑 麻里子 心身医学 62 (5), 401-409, 2022

    <p>本研究の目的は,治療法がなく,心理的支援がQOL向上に不可欠である複合性局所疼痛症候群(CRPS)患者がウェブ上の情報収集を行う際,痛みの破局的思考がどのように影響を及ぼしているのかを明らかにすることであった.CRPS患者4名(29-46歳,女性3名,どちらでもない1名)を対象に情報収集時の破局的思考の心理的プロセスに関する半構造化インタビューを実施した.Steps for Coding …

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  • 動物モデルを用いた心理社会的ストレスと痛みの科学的理解へのアプローチ

    齊藤 秀俊 心身医学 62 (5), 385-389, 2022

    <p>痛みは身体的要因のみならず社会的要因や精神的要因が互いに複雑に影響し合っている.げっ歯類を用いた基礎研究の積み重ねは,疼痛病態形成機序概念における身体的要因に関する理解を進歩させ,さまざまな医薬品開発に貢献してきた.しかし,人類にとって重要な精神活動や心理社会的環境と疼痛の相互作用メカニズムに関しては,より複雑な基礎実験の構築が必要であり,いまだ明確な研究スキームがないため,日々新たなアプ…

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  • 腸内細菌と精神神経疾患からみる腸脳相関

    本郷 道夫 心身医学 62 (6), 451-457, 2022

    <p>腸内細菌は,多種にわたり大量に腸管内に存在する.腸管粘膜は,上皮細胞間のタイトジャンクションにより緊密に結合し,表面は粘液により被覆される.粘液はその物理的性状,粘液中に分泌されるs-IgAおよび抗菌蛋白により免疫学的に管腔内物質の生体への侵入を予防し,上皮内の樹状細胞,上皮下の免疫細胞およびs-IgAによってより強固な防御機構を形成する.加齢や心理社会環境ストレスは粘液産生低下および免疫…

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  • 小児におけるストレスの毛髪による生体評価と主観評価

    芦谷 道子, 大平 雅子 心身医学 62 (6), 482-489, 2022

    <p>近年,毛髪コルチゾール濃度(HCC)が中長期的なストレス評価指標として注目を浴び,主観的評価ではとらえられない客観的な心理的指標となる可能性が指摘されている.本研究では,前思春期~思春期の時期にある一般的な小児を対象に,毛髪に蓄積したHCCおよび抗ストレス指標であるDHEA,レジリエンス指標であるDHEA/HCC比を測定し,性差や発達差について検討し,生体指標と主観指標の関連性を調べた.そ…

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  • 神経性やせ症に対する治療を振り返る

    松林 直, 武田 由美, 松原 明弘, 中武 伸元, 荻原 莉穂, 三坂 奈津子, 原 健 心身医学 61 (1), 52-56, 2021

    <p>神経性やせ症の治療において極度にやせているにもかかわらず, 食事を拒否する場合は難しさを覚える. 極度のやせと体重減少に関連した低血糖に代表されるような身体疾患の併発や廃用症候群, 食事開始に関連する再栄養症候群の存在は長期のリハビリテーションを必要とし, 治療期間が大幅に延長する. 身体合併症などのため, …

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  • 中枢神経感作病態としての心身相関

    端詰 勝敬 心身医学 61 (2), 172-176, 2021

    <p>医学的に説明のつかない症状をもつ患者は多い. これらは, medically unexplained symptomsと呼ばれ, 身体的な症状はfunctional somatic syndromesとされている. 近年, functional somatic syndromesと似た概念として, 中枢感作性症候群が提唱されている. 中枢性感作は, 疼痛, 頭痛, 腹痛, 倦怠感, …

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  • 箱庭療法の基礎と臨床事例について

    松田 真理子 心身医学 61 (2), 139-145, 2021

    <p>箱庭療法は心理療法の一形態であり, 主に教育領域や医療領域で使用されている. 箱庭療法のもとになったのは子どものための心理療法として1929年にLowenfeldが創始した世界技法であり, Jungに子どものセラピストとしての才能を認められたKalffがユング心理学の理論を用いて箱庭療法として発展させた. 箱庭は1つひとつの作品を個別にみるのではなく, …

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  • 肥満の心身医学領域のトピック

    山崎 允宏, 菊地 裕絵 心身医学 61 (3), 242-248, 2021

    <p>肥満は, 発症および経過にさまざまな心理社会的因子が関わる, 代表的な 「心身症」 である. 肥満に対してはこれまで行動療法を含むさまざまな治療が試みられてきたが, 治療からの脱落や減量した体重の維持が大きな問題となっている. 治療からの脱落や減量した体重の維持に影響を及ぼす肥満患者に特有の認知的特性が明らかになってきており, 肥満に対する認知行動療法 (personalized …

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  • 過敏性腸症候群に対する力動的精神療法・ストレスマネジメントの実際

    藤井 靖, 小林 加奈 心身医学 61 (4), 321-329, 2021

    <p>過敏性腸症候群 (IBS) に対する力動的精神療法では, 症状の根源には対人関係の葛藤があると想定されており, そのことと情動や腹部症状との関連について洞察を得ることを目的としている. これまでにさまざまな効果測定, 実践研究が行われているが, 治療が奏効すれば症状の改善のみならず日常生活全体や人生にもよい影響が波及する可能性が指摘される一方で, 属人性が高く, 治療が長期にわたる, …

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  • 甲状腺ホルモン多量服薬を契機に全体性の回復が促された無痛性甲状腺炎患者の1例

    深尾 篤嗣, 辻野 達也, 岸原 千雅子, 富士見 ユキオ, 岡本 泰之 心身医学 61 (4), 371-379, 2021

    <p>心身症患者では失感情症のため心身相関の気づきが得られにくい例が多い. プロセス指向心理学 (以下, POP) は多様なチャンネルから介入して心身相関の気づきを促す. <b>症例</b> : 30歳代女性, 保健所職員. X−1年6月, 子宮頸がん治療後より微熱, 全身疼痛, イライラ, 振戦, 倦怠感持続. X年10月A甲状腺クリニック受診して無痛性甲状腺炎と診断. …

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  • 過敏性腸症候群に対する自律訓練法の実際

    篠崎 雅江, 福土 審 心身医学 61 (4), 335-340, 2021

    <p>過敏性腸症候群 (irritable bowel syndrome : IBS) の発症および増悪にストレスが関与することはよく知られている. 心理的異常と比例してIBSが重症化するので, 重症度に応じた心理療法の適応が必要である. IBS診断治療ガイドラインでは, 第2段階で簡易精神療法, 第3段階で専門的な心理療法の施行を推奨している. 自律訓練法 (autogenic …

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  • 緩和ケア領域における国際的な学術交流

    松岡 弘道, 吉内 一浩 心身医学 61 (5), 421-425, 2021

    <p>心身医学は, 病気のある人もない人も含めて, 人々の幸福を促進するための重要な分野であろう. また, 心身医学は, 緩和・支持療法やサイコオンコロジーとも密接な関係がある. しかし, 日本の心身医学は, 海外では十分に認知されているとはいえない. したがって, 今後, 日本の心身医学の研究者が, 緩和・支持療法やサイコオンコロジーの分野で, …

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  • 日本の心身医学の国際的展開

    福土 審 心身医学 61 (5), 443-450, 2021

    <p>日本の心身医学の国際的展開を海外への発信と交流を含めて論述した. 第一に, 国際心身医学会の参加経験を示した. 最も重要な学会は2005年に日本の神戸で開催された国際心身医学会である. この学会には天皇皇后両陛下をお迎えした. 特に, 天皇陛下のご挨拶は, 真に心身医学の重要性を理解していなければ成し得ない深い内容であったため, 各国の専門家に強い印象を残した. …

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  • 摂食障害における国際的な学術交流

    安藤 哲也 心身医学 61 (5), 416-420, 2021

    <p>摂食障害分野の国際交流は必須である. 筆者の過去から現在までの国際的な学術交流のうち, 摂食障害の遺伝子研究と, 摂食障害の認知行動療法改良版について述べたのち, 心身医学を発信するための提案や次世代のメッセージを伝える.</p>

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  • 「身心医学」の可能性

    深尾 篤嗣, 村川 治彦, 岸原 千雅子, 富士見 ユキオ, 中井 吉英 心身医学 61 (6), 507-515, 2021

    <p>Dosseyは医学・医療を歴史的に,第一段階の身体医学・医療,第二段階の心身医学・医療,スピリチュアリティの介在を認める第三段階の医学・医療に分類している.一方,池見は,東洋の伝統を背景にもつ日本の心身医学を「身心医学」とも呼んでおり,Engelのモデルを改良してbio-psycho-socio-eco-ethical medical …

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  • 長期事例を通して見たヨーガ,アドラー心理学,エネルギー療法の効果

    鎌田 穣 心身医学 61 (6), 535-539, 2021

    <p>長期にわたり関わった1事例を通して,そこで実施した各種技法の統合的利用について考察した.アドラー心理学に基づくカウンセリングとサイコセラピーは対人関係調整に役立ち認知的変化も生じたが,内面での癒しが不足していた.ハタ・ヨーガは身体面への一義的効果にとどまった.ヨーガ療法は心身両面に効果を示したが,アプローチとして身体面と心理面での乖離がみられ,新たな「べき思考」が形成された.クリパル・ヨー…

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  • フォーカシングと〈からだ〉

    平野 智子, 池見 陽 心身医学 61 (6), 528-534, 2021

    <p>本稿は,米国の哲学者であり心理療法家でもあるGendlinが提唱した「フォーカシング」と〈からだ〉について論じたものである.フォーカシングは,ある特定の問題や状況について〈からだ〉に感じられる漠然とした意味の感覚――フェルトセンス――に焦点を当て,それを言い表すことで新しい意味を創出するという体験との特徴的なかかわり方である.フォーカシングで注目する〈からだ〉,すなわちフェルトセンスは常に…

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  • 大学生におけるLGBT

    岡本 百合 心身医学 61 (7), 624-628, 2021

    <p>性的マイノリティの若者は,うつ病などの気分障害,不安障害,心的外傷後ストレス障害,アルコールの使用と乱用,自殺念慮と自殺企図が多いことが報告されている.さらに,メンタルヘルスの悪化や自殺のリスク因子として,家族との葛藤やスティグマ,差別が挙げられる.大学生においてLGBT学生への支援の充実が望まれている現在,保健管理センターに来談したLGBT学生の事例を紹介し,大学生活における課題や支援の…

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  • トランスジェンダー(性同一性障害/性別違和/性別不合)と産婦人科医としての対応

    中塚 幹也 心身医学 61 (7), 608-615, 2021

    <p>ジェンダークリニックにおける性同一性障害/性別違和/性別不合のチーム医療の中で,産婦人科医は,精神科医,泌尿器科医,形成外科医などとともに診療を行っている.産婦人科医は,診察や検査により生物学的性(身体の性)を確定することで診断に関わるとともに,トランス女性(MTF当事者)への女性ホルモン治療やトランス男性(FTM当事者)への子宮・卵巣の切除術(性別適合手術)を行う.さらに,性別適合手術が…

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  • LGBT問題をどう考えるか

    北仲 千里 心身医学 61 (7), 616-623, 2021

    <p>「何が社会的に許容されない行為や感情であり,何が異常であるか」は社会の人々が決めているものであり,時代や国によって変わっていくものである.現代社会では,分業や権力構造など強固な性別による社会構造が作られているため,その人がどちらの性別に属するのかは重要な指標として扱われる.そして,そこからはみ出すLGBT当事者は否定,拒絶される存在である.最近の社会学研究では,「男女は2つしかない」という…

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