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検索結果 259 件

  • カンフーマスターの老い

    雑賀 広海 映画研究 18 (0), 42-64, 2023-12-09

    黄金期が過ぎた香港映画では、監督や俳優の高齢化が産業の衰退との関連で問題視されてきた。しかし、香港人アイデンティティが1970年代ごろから定着しはじめたものであれば、老いた香港人は2000年代以降に描かれはじめた新しいイメージである。とりわけ身体を酷使するカンフー映画のアクション俳優にとって、老いはスター・イメージの維持において否定的に作用しやすい。本論文は黄金期香港映画を代表するアクション・ス…

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  • The Art of Subtext

    森本 光 映画研究 18 (0), 26-41, 2023-12-09

    This article examines the dialogue in <i>Sweet Smell of Success</i> (1957), with a particular focus on the use of subtext. Although director Alexander Mackendrick admits it as a box-office flop, …

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  • 「日本初の女性脚本家」再考

    森宗 厚子 映画研究 18 (0), 4-25, 2023-12-09

    1924 年から 1930 年に日活で尾上松之助作品など 22 本を手がけた脚本家・林義子を再評価する。当時「日本最初の女流ライター」と称されたが、日本映画史の通説では看過され、先行研究もみられない。林のフィルムやシナリオは散逸しているため、現存する雑誌、新聞広告、映画館プログラムなどの資料を通して、作品内容を明らかにした。全て時代劇ながら当時の潮流に呼応した幅広い題材を扱い、松之助の …

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  • 隠喩としての刺繍

    石田 由希 映画研究 17 (0), 46-64, 2022-12-10

    アリ・アスター監督の長編フォーク・ホラー映画『ミッドサマー』では、人身御供を行うスウェーデン人の集団が、刺繍入りの華やかな民族衣装を着る。刺繍が加害性と隣り合わせる光景は、アスターが本作以前に監督した短編映画『ミュンヒハウゼン』や長編ホラー映画『ヘレディタリー/継承』にも見受けられる。本論の目的は、上記ふたつの先行作品で刺繍が権威的な女性性の隠喩であり、こうした含みを持つ手芸モチーフが『ミッドサ…

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  • 鍵をかける女

    大黒 優子 映画研究 17 (0), 22-44, 2022-12-10

    本稿は1970年代の作品、ミロス・フォアマン(Milos Forman)監督の『カッコーの巣の上で』をテキストに、70年代に銀幕に登場した女性像を欲望と暴力との関係、支配の構造を通して考察する試みである。この映画と原作小説との本質的な違いは、映画でのブロムデンの語りの不在である。この語りの不在を女性主人公である看護婦長ラチェッド(以下婦長)の主観ショット(POV)で補っていることに立脚しながら議…

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  • The Men Who Talked Too Much

    Morimoto Hikari 映画研究 17 (0), 4-21, 2022-12-10

    This article analyzes the function of dialogue in Alfred Hitchcock’s perfect crime films. From the earliest days of film to the present, many directors and critics have regarded cinema as a purely …

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  • 増村保造の動物的身体

    中島 晋作 映画研究 16 (0), 28-51, 2021-12-04

    本稿は、増村保造の映画『痴人の愛』(1967年)における身体表象に着目し、原作小説との比較を通して、60年代以降の増村映画に顕著に現れる「動物性」の諸相を明らかにしようとするものである。構成としては、はじめに谷崎潤一郎による小説『痴人の愛』が、谷崎の 西洋偏重的な思想を色濃く反映させた作品であることを確認する。ここで議論の中心となるのが、小説のヒロイン、ナオミの身体性である。次に、…

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  • 母性幻想とレズビアン感性

    徐 玉 映画研究 16 (0), 4-26, 2021-12-04

    本稿は、久我美子が主演した文芸映画『挽歌』と『女であること』における疑似母娘関係に着目し、原作小説とも比較しながら、〈母性〉を介した女同士の親密な関係の映画的表現の特色を考察した。また、久我美子のスター・ペルソナとこれらの作品の関係を探った。『挽歌』については、怜子という新しい女性像、および怜子のヴォイス・オーヴァーをはじめとする女たちの「声」の分析などを通して、怜子とあき子の…

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  • 文化大革命後における香港左派映画の戦略

    雑賀 広海 映画研究 15 (0), 74-95, 2020-12-05

    本論文は、香港の左派映画に注目する。香港映画史における左派映画とは、冷戦期に中国共産党を支持していた映画会社とその作品を意味する。対する右派は国民党を支持し、世界中の広い市場を射程にしていた。第二次世界大戦後しばらくは順調に映画製作をしていた左派は、中国で文化大革命が起きると、その影響で苦境に立たされる。文革が終結して改革開放路線に変わると、左派は中国各地に遠征して、右派には撮影できない中国の風…

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  • 「美しい四姉妹」の生成と変容

    森 年恵 映画研究 15 (0), 28-50, 2020-12-05

    本論は、阿部豊監督作品(1950年、新東宝)、島耕二監督作品(1959年、大映)、市川崑監督作品(1983年、東宝)の三作の『細雪』を、『アダプテーションの理論』(ハッチオン)、『映画リメイク』(Verevis)による「リメイク/翻案」の概念拡大を参照しつつ検討することを目的とする。阿部作品は原作への忠実を旨としながら妙子に焦点を当て、島作品は阿部作品の基本構造を採用してメロドラマ化しつつ雪子と…

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  • 日本占領下の上海における日中合作映画の製作経緯

    朱 芸綺 映画研究 15 (0), 52-73, 2020-12-05

    太平洋戦争開戦がもたらした政策の転換によって、日本映画界では日中両国の提携による合作映画が要請されることになった。1942年から1944年にかけて、日本国内の三大映画製作会社は、相前後して日本占領下の上海へ渡り、合作映画の道を模索していたが、最終的に実現できたのは『狼火は上海に揚る』一作だけであった。本稿はこの戦時中における日中合作映画の製作経緯を解明するものである。本稿では、日中映画合作の背景…

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  • 女を見る女のまなざし

    徐 玉 映画研究 15 (0), 4-26, 2020-12-05

    本稿は、増村保造の映画『華岡青洲の妻』(1967年)における女同士の欲望や絆の描き方に注目し、有吉佐和子による原作小説と比較しながら、その映画的表現の特色を考察する試みである。まず、この映画において、加恵と於継の心理や欲望が、二人のまなざしのやりとりと連動していることを検証した。続いて、欲望の三角形の概念を援用しながら、青洲、加恵、於継の三者関係を考察し、加恵の青洲への愛や献身は、於継のそれの模…

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  • Adapting Ambiguity, Placing (In)visibility

    藤城 孝輔 映画研究 14 (0), 72-98, 2019

        This paper identifies the sociopolitical aspects of adaptation evident in <i>Burning</i> (Lee Chang-dong, 2018), a South Korean-Japanese co-production based on Murakami Haruki’s 1983 short story …

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  • 若松孝二の団地

    今井 瞳良 映画研究 14 (0), 50-70, 2019

    本稿は、団地を舞台とした『壁の中の秘事』(1965年)と『現代好色伝 テロルの季節』(1969年)の分析を通して、若松孝二の「密室」の機能を明らかにすることを目的とする。若松の「密室」は、松田政男が中心となって提唱された「風景論」において、「風景(=権力)」への抵抗として重要な地位を与えられてきた。「風景論」における「密室」は、外側の「風景」に相対する「個人=性」のアレゴリーであり、「密室…

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  • 岡本喜八『日本のいちばん長い日』の天皇表象を読む

    羽鳥 隆英 映画研究 14 (0), 4-27, 2019

      本論は橋本忍の脚本を岡本喜八が監督した映画『日本のいちばん長い日』における昭和天皇表象の研究である。初めに 2019年現在の研究状況や岡本の作家的な経歴における天皇の問題を確認した上(第 I節)、劇中に張り巡らされた様々な水準のコミュニケーションに着目しつつ『日本のいちばん長い日』の長大な物語を整理した(第II …

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  • 戦間期におけるパテ・シネマ社の小型映画産業とその興亡

    福島 可奈子 映画研究 14 (0), 28-49, 2019

        第一次から第二次世界大戦までの戦間期にフランスで発売された、パテ・シネマ社製小型映画の産業技術的特徴とその経営戦略について論じる。パテ・シネマ社は、第一次世界大戦直前まで生フィルム製造販売事業で世界的覇者だったが、大戦後の大不況によってアメリカのコダック社に覇権を奪われた。その結果在庫フィルムを無駄なく再利用することで新規開拓を目指し、パテ・ベビー(9ミリ半映…

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  • 香港の新派武侠映画における日本映画の影響とその後の新たな発展

    鄺 知硯 映画研究 13 (0), 30-49, 2018

    本稿は、1960年代前後の香港映画業界がいかに日本映画から技術を吸収したのかという経緯を踏まえ、ワイヤーアクションという技術に着目し映画の内容的な側面からこの技術吸収の意味と貢献を考察していく。1950年代から邵氏によって次第に日本から香港映画に輸入された、イーストマン・カラー、シネスコ、照明、ワイヤーアクションなどの技術的助けを得た香港北京語映画は急速に「現代化」の道を歩んで行った。 …

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  • 成龍の初期作品における父子関係の転倒と自作自演の視線

    雑賀 広海 映画研究 13 (0), 4-28, 2018

     本論文は、成龍が主演デビューしてから初監督作品『笑拳怪招』(1979) を手掛けるまでの1970年代香港映画に着目する。成龍に関する先行研究は、監督と主演を兼任する、いわゆる自作自演という点については十分に論じていない。本論文は、『笑拳怪招』を中心とする議論を通して、監督と俳優の関係、または作品内における父と子の関係がどのように描かれているか考察する。<br> …

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  • 玩具映画の受容における視覚性と触覚性

    雑賀 広海 映画研究 12 (0), 4-25, 2017

    本論文が着目するのは、玩具映画と呼ばれるメディアである。玩具映 画とは、戦前の日本でこどもの玩具として販売された簡単な映写機と短 い 35mm フィルムのことを指す。これを用いてこどもたちは家庭で映画を 上映していた。本論文は、玩具映画で遊ぶこどもの視覚性に、映画館 の観客のそれとは異なり、触覚性が介入してくることを明らかにした。 …

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  • 黒澤明『八月の狂詩曲』の対位法にみる和解と狂気の技法

    片岡 佑介 映画研究 12 (0), 44-66, 2017

    本稿の目的は、黒澤明の『八月の狂詩曲』(1991)における対位法の意義を、原爆映画史および黒澤の過去作品での音楽演出との比較によって検討することにある。その際、本稿が着目したのは、この対位法演出に も看取できる聖母マリアの修辞である。原爆映画史において聖母マリアのモチーフは、特に長崎を舞台とする作品で度々用いられてきた。聖母マリアは爆心地・浦上地区のカトリック信仰を象徴する無垢な被爆者表象として…

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  • 団地映画音響論

    今井 瞳良 映画研究 12 (0), 26-43, 2017

    本稿は映画音響と団地という空間に着目して、『クロユリ団地』(中田 秀夫監督、2013 年)の人間と幽霊の境界を論じていく。日本映画史に おいて、団地のコンクリートの壁は物理的な境界として、視覚的に遮る ことはできるが、聴覚的には透過性が高いという特徴を持ってきた。こ れは、音響と物語空間の問題であるとともに、フレームの問題でもある。 …

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