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検索結果 15,645 件

  • 潰瘍性大腸炎による外科手術後に重度サルコペニア状態に至った症例への理学療法

    神田 孝祐, 北村 亨, 山本 浩貴, 福岡 弘崇, 石橋 雄介, 森安 博人 奈良理学療法学 16 (0), 14-22, 2024-03-18

    ...<p>目的:重度サルコペニア状態にあった潰瘍性大腸炎患者に対する血液学的所見・栄養状態に留意した理学療法の経過について報告する。症例紹介:60歳代男性。理学療法開始時のGeriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI)は65.9点で,重度栄養障害リスクに該当した。...

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  • 非小細胞肺がんに対するdurvalumab単剤療法中に発症した後天性血栓性血小板減少性紫斑病

    島田 翔太郎, 黒岩 魁, 成田 雛子, 岡村 玲子, 上杉 由香, 佐々木 陽平, 綿貫 めぐみ, 荒井 奈々, 川口 有紀子, 藤原 峻, 柳沢 孝次, 服部 憲路 臨床血液 65 (1), 24-29, 2024

    <p>免疫チェックポイント阻害薬(ICIs)の有害事象として免疫性血球減少症は報告されているものの,血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を発症した症例は限られている。79歳女性。2021年5月非小細胞肺がんと診断。局所放射線療法併用抗がん化学療法で部分奏効が得られたのち,維持療法としてdurvalumabを投与され4週後にTTPを発症した。血漿交換とステロイド療法で軽快し,12ヶ月以上経過した現在…

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  • 抗レトロウイルス療法による免疫再構築により消失したHIV関連EBV陽性粘膜皮膚潰瘍

    有馬 直佑, 藤崎 真由, 中別府 聖一郎, 島 晃大, 林田 真衣子, 鎌田 勇平, 中村 大輔, 吉満 誠, 橋口 照人, 東 美智代, 谷本 昭英, 大島 孝一, 石塚 賢治 臨床血液 65 (1), 13-17, 2024

    <p>症例は24歳男性。倦怠感や体重減少の精査のため実施した下部消化管内視鏡検査で回盲部潰瘍を認め,生検でびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された。その後の精査中にニューモシスチス肺炎を併発し,後天性免疫不全症候群(AIDS)の合併が判明した。回盲部潰瘍以外に明確な病変はなく,生検組織の<i>in situ</i> hybridization法により腫瘍細胞はEpstein-Barr …

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  • <i>U2AF1</i>遺伝子の重複変異を認めた原発性骨髄線維症

    前山 桂子, 永春 圭規, 伊野 和子, 杉本 由香, 俵 功, 川上 恵基 臨床血液 65 (1), 30-34, 2024

    <p>症例は47歳,女性。皮下出血班を主訴に受診し,血液検査で白赤芽球症を伴う白血球増多,貧血,血小板減少を認め,骨髄生検所見から原発性骨髄線維症(aaDIPSS, DIPSS plus:中間-IIリスク)と診断した。末梢血<i>JAK2,CALR,MPL</i>遺伝子変異はいずれも陰性で,骨髄生検検体で実施したターゲットシークエンスで<i>U2AF1</i>遺伝子変異(Q157R,S34V)を…

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  • 多発髄外腫瘤を伴った<i>IgH::MYC</i>陽性多発性骨髄腫

    佐々木 勇杜, 市川 聡, 櫻井 一貴, 中村 嘉詞, 猪倉 恭子, 小野寺 晃一, 福原 規子, 大西 康, 横山 寿行, 張替 秀郎 臨床血液 65 (3), 147-152, 2024

    <p>症例は41歳女性。右肩痛の精査中,CTにて溶骨を伴う多発腫瘤病変,血液検査にてIgA-λ型M蛋白が認められた。骨髄flow cytometryではCD38・CD138陽性,Igλ≫κの細胞集団を1.4%ほど認めるのみだったが,G-bandにて46,XX,t(8;14),(q24;q32)を20細胞中4細胞で認めた。髄外腫瘍の生検では異型形質細胞の密な増殖を認め,FISH法で<i>IgH::…

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  • ホモ接合性先天性プロテインC欠乏症小児の骨折に対する周術期管理

    土橋 里美, 奥野 はるな, 川島 淳, 大和 玄季, 小川 孔幸, 内山 由理, 松本 直通, 滝沢 琢己 臨床血液 65 (3), 164-168, 2024

    <p>先天性プロテインC(PC)欠乏症は遺伝性血栓症の1つである。遺伝性血栓症は周術期血栓症ハイリスク群であるが,統一した管理は確立されていない。今回,ホモ接合性先天性PC欠乏症小児の骨折に対する周術期管理を経験したため報告する。症例は3歳男児,生下時に先天性PC欠乏症と診断されていた。外傷性に右上腕骨顆上骨折を来し,緊急手術を行った。骨折観血的固定術に際し,warfarinを中止し,ビタミンK…

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  • ミトコンドリア代謝と赤血球分化

    藤原 亨 臨床血液 65 (3), 183-187, 2024

    <p>転写因子GATA-1は赤血球分化に関わる遺伝子の発現制御において重要な役割を担っている。近年,GATA-1の新規標的遺伝子としてミトコンドリア内膜蛋白質をコードする<i>FAM210B</i>を同定した。FAM210Bの意義を明らかとする目的で,ヒトiPS細胞由来赤芽球細胞株(HiDEP-1)においてFAM210B欠損細胞株を樹立し,OP9細胞との共培養により分化誘導すると,FAM210B…

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  • 骨髄系腫瘍におけるDNA脱メチル化薬の分子作用機構

    藪下 知宏, 北村 俊雄, 合山 進 臨床血液 65 (4), 209-221, 2024

    <p>DNA脱メチル化薬とされているdecitabine(DAC)の作用機序・耐性機構の本質を明らかにするためにMDS/AML細胞株を用いて,全ゲノムCRISPR-dCas9 activationスクリーニングを行った。その結果,DACの治療抵抗性には有糸分裂制御が関与すること,DACは複数の骨髄系腫瘍細胞株に対して臨床的に達成可能な低濃度で高度な有糸分裂異常を誘導することが明らかになった。また…

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  • ミトコンドリア断片化による骨髄異形成症候群の発症機構

    林 嘉宏 臨床血液 65 (4), 249-254, 2024

    <p>骨髄異形成症候群(MDS)は,造血幹細胞に生じた遺伝子異常に起因して発症し,無効造血に伴う骨髄不全症を主病態とする難治性造血器腫瘍である。この10年ほどの間に,MDSクローンにおける自然免疫応答シグナル経路異常が同定され,それに伴う慢性炎症機構が,MDS病態形成において中心的役割を担うことがわかってきた。しかし,多様な遺伝子型のもとで,どのようにしてMDSの病態が生じるのかについての解明は…

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  • 性別不一致移植におけるGVHD/GVLのエビデンス

    仲宗根 秀樹 臨床血液 65 (4), 265-271, 2024

    <p>同種造血細胞移植は血液悪性疾患の治療法として確立されているが,移植患者は移植片対宿主病(GVHD)など様々な合併症のリスクを背負う。移植後後期に問題となる慢性GVHDは,末梢血幹細胞移植の他,女性ドナーと男性患者間(F→M)での性別不一致移植でもリスクが増加することが知られている。F→M移植の合併症は,男性患者のY染色体上のマイナー抗原(HY抗原)に対する同種免疫応答も一因と考えられる。実…

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  • 非血縁同種骨髄移植後の再発に対しtucidinostatが有効であった成人T細胞白血病・リンパ腫

    森木 朝子, 伊東 慎市, 堀北 風花, 堤 豊 臨床血液 65 (1), 18-23, 2024

    <p>成人T細胞性白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia-lymphoma, ATL)のaggressive type(急性型,リンパ腫型,および予後不良因子を有する慢性型)は予後不良で同種造血幹細胞移植により予後の改善が見込まれるが再発が多い。2021年6月からヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるtucidinostatが再発又は難治性ATLに使用可能となった。当院で同種…

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  • 同種造血幹細胞移植により長期寛解を得た<i>CLEC16A::IL2</i>融合遺伝子を有するT細胞前リンパ球性白血病

    百瀬 春佳, 栗田 尚樹, 錦井 秀和, 遊佐 希, 横山 和明, 清水 英吾, 井元 清哉, 南木 融, 丸山 ゆみ子, 坂本 竜弘, 横山 泰久, 加藤 貴康, 松岡 亮太, 小原 直, 坂田(柳元) 麻実子, 千葉 滋 臨床血液 65 (1), 35-40, 2024

    <p>64歳女性。両上肢の巧緻運動障害を契機に受診,頭部MRIで延髄に造影効果を伴う病変を指摘された。末梢血および骨髄にblebを伴う異常リンパ球を認め,フローサイトメトリーでCD4<sup>+</sup>/CD8<sup>+</sup>二重陽性T細胞集団を検出した。同細胞由来DNAを用いた全エクソンシークエンスで<i>CLEC16A::IL2</i>融合遺伝子を同定し,さらに異常リンパ球にTC…

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  • 手術時第VIII因子製剤投与後に生じたインヒビターに対し免疫抑制療法が奏効した女性血友病A

    山口 真紀, 髙木 友輔, 山崎 嘉孝, 大屋 周期, 中村 剛之, 森重 聡, 青山 一利, 毛利 文彦, 高瀬 隆太, 松尾 陽子, 大崎 浩一, 長藤 宏司, 岡村 孝 臨床血液 65 (2), 90-94, 2024

    <p>62歳,女性。卵巣腫瘍術前検査にて血友病A保因者(第VIII因子活性35%)と診断。周術期に遺伝子組み換え型第VIII因子製剤計35,600単位を投与。術後95日目に皮下血腫を形成。APTT 66秒,第VIII因子(FVIII)活性3%,インヒビター1 BU/m<i>l</i>の結果よりprednisoloneによる免疫抑制療法を開始。経過中,関節内出血の合併のため入院・止血治療を必要とし…

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  • Azacitidine・venetoclax併用「7+7療法」の安全性と有効性についての検討

    長田 有生, 金井(須藤) 光, 水木 太郎, 田野崎 栄, 鈴木 謙 臨床血液 65 (3), 135-141, 2024

    <p>急性骨髄性白血病は強力化学療法を実施できない患者においては予後不良な疾患である。Azacitidineとvenetoclax併用療法は,強力化学療法を行えない患者においても高い奏効率と寛解率が報告されている。しかし,治療後に骨髄抑制が遷延することが多く,感染症を合併することも珍しくない。骨髄抑制が強い場合は,用量漸減することが多いが,その方法などについてはまだ明確となっていない。当院では,…

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  • Prednisolone単独治療により組織線維化の改善を認めたTAFRO症候群

    柏木 貴雄, 柏木 祐希, 鈴木 知秀, 新宮 愛美, 柏木 明香, 平田 珠希, 堀 順子, 宮田 恵吉, 武地 美保, 来住 稔, 大西 隆仁, 片山 義雄, 岩井 正秀, 松井 利充 臨床血液 65 (4), 237-242, 2024

    <p>【症例】48歳,男性。【主訴】体重減少。【現病歴】2022年9月から倦怠感,体重減少が出現し,近医にて高ALP血症,貧血,血小板減少,腎機能障害を指摘され,発熱も認め同年11月当院へ紹介。CTにて肝脾腫,胸腹水と左腋窩リンパ節腫大を認め,骨髄は過形成で巨核球の増加,骨髄細網線維化を認めた。腋窩リンパ節生検ではCastleman病様所見を認め,肝生検では細網線維の増生を認めた。以上よりTAF…

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  • 3回の同種造血幹細胞移植後の末期腎不全に対し生体腎移植を施行したPhiladelphia染色体陽性急性リンパ芽球性白血病

    西島 暁彦, 新谷 直樹, 太田 哲人, 須田 潔子, 尾本 和也, 石田 信也, 吉岡 康介, 黒澤 修兵, 日野 裕太郎, 妹尾 寧, 五十嵐 愛子, 押川 学, 濵村 貴史, 遠矢 嵩, 清水 啓明, 名島 悠峰, 小林 武, 原口 京子, 奥山 美樹, 大橋 一輝, 土岐 典子 臨床血液 65 (1), 7-12, 2024

    <p>18歳男性。Ph染色体陽性急性リンパ性白血病の再発に対し,同種骨髄移植(BMT)を実施された。初回移植から3ヶ月後に再発し,2回目のBMTを施行された。2回目のBMTの4ヶ月後に再発し,20歳3ヶ月時に父からのHLA半合致(ハプロ)移植を実施された。ハプロ移植後day29には分子学的寛解を確認し,以後再発は認めていない。移植後3年2ヶ月に血栓性微小血管障害症に伴う末期腎不全で透析導入となっ…

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  • 同種造血幹細胞移植後に真菌性脳動脈瘤破裂を認めた成人T細胞白血病・リンパ腫

    厚井 聡志, 清水 啓明, 貞賀 泰孝, 近藤 花織, 加藤 千賀, 酒井 知史, 神原 康弘, 小沼 亮介, 熱田 雄也, 島袋 将志, 神宮寺 敦史, 細田 譲, 尾内 大志, 濱村 貴史, 新谷 直樹, 遠矢 嵩, 名島 悠峰, 小林 武, 松澤 祐一, 新井 秀雄, 関谷 紀貴, 原口 京子, 奥山 美樹, 土岐 典子 臨床血液 65 (2), 84-89, 2024

    <p>63歳男性。成人T細胞白血病・リンパ腫に対して,HLA遺伝子型一致非血縁ドナーより同種骨髄移植を行った。移植後17日目に両肺下葉に結節影を認め,侵襲性肺アスペルギルス症を疑い,liposomal amphotericin Bで治療を開始し,28日目のCTで肺病変の改善を確認した。腎機能障害が進行し,52日目より抗真菌薬はvoriconazoleに変更した。61日目に意識障害と左上下肢麻痺が…

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  • 同一リンパ節内にKaposi肉腫を合併したHIV陰性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

    中島 詩織, 大原 慎, 今井 唯, 中野 裕史, 内田 智之, 井上 盛浩, 萩原 政夫 臨床血液 65 (2), 74-77, 2024

    <p>症例はサイパン在住の80歳日本人男性。傍大動脈リンパ節,左鼡径リンパ節を含む全身性のリンパ節腫大を認めた。左鼡径リンパ節より生検を施行しびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断,さらに同一リンパ節内にHHV-8陽性Kaposi肉腫合併の併発を認めた。なおHIVは陰性,リンパ腫細胞のHHV-8は陰性であった。R-THP-COP療法(rituximab 375 …

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  • Philadelphia染色体陰性急性リンパ芽球性白血病の晩期再発に対するinotuzumab ozogamicinおよびCAR-Tのsequential療法

    水谷 陽, 草壁 信輔, 福島 健太郎, 村上 拓, 濱田 雅隆, 長谷川 千紘, 水田 惠美子, 山口 優太, 中井 りつこ, 倉重 隆明, 日野 彬央, 上田 智朗, 藤田 二郎, 宮村 能子, 保仙 直毅 臨床血液 65 (2), 78-83, 2024

    <p>症例は25歳女性,約10年前にB細胞性急性リンパ芽球性白血病治療後経過観察中であったが,末梢血芽球出現のため紹介となった。骨髄検査と合わせ,再発と診断された。白血病は化学療法抵抗性であり,キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法(tisagenlecleucel, Tisa-cel)を行う方針としてリンパ球採取を実施した。その後ブリッジング療法として2サイクルのinotuzumab …

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  • 急性骨髄性白血病に対するFLT3阻害薬治療中に発症した劇症型<i>Clostridioides difficile</i>感染症

    山本 丈太郎, 渡部 音哉, 酒匂 崇史, 髙木 伸介, 梶 大介, 田矢 祐規, 西田 彩, 山本 久史, 森 有紀, 山本 豪, 荒岡 秀樹, 内田 直之 臨床血液 65 (3), 153-157, 2024

    <p>症例は80歳男性。<i>FLT3-TKD</i>変異陽性急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia, AML)に対してvenetoclax/azacitidine(Ven/Aza)併用療法による地固め療法中に再発し,サルベージ療法としてgilteritinibを開始した。開始翌日に発熱性好中球減少症を認め,抗菌薬開始後に速やかに解熱した。抗菌薬終了後5日目に発熱と1日1…

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  • 骨端線閉鎖前にチロシンキナーゼ阻害薬を中止し低身長の改善を認めた小児慢性骨髄性白血病

    福井 渉, 小倉 妙美, 安積 昌平, 緒方 瑛人, 川口 晃司, 高地 貴行, 堀越 泰雄, 上松 あゆ美, 嶋田 博之, 渡邉 健一郎 臨床血液 65 (3), 175-179, 2024

    <p>初診時3歳男児。脾腫を主訴に当院紹介受診,白血球数増多を認め,骨髄血の<i>major BCR::ABL1</i>キメラ遺伝子が陽性であったことから,慢性骨髄性白血病と診断した。不耐容のためimatinib,dasatinib,nilotinibとチロシンキナーゼ阻害薬を変更し分子遺伝学的奏効を達成したが,12歳時に129.3 cm(−3.3 …

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  • Gilteritinibが奏効した中枢神経浸潤を伴う急性骨髄性白血病

    小山 玄太郎, 川口 岳晴, 佐藤 匠, 濱田 千洋, 原 暁 臨床血液 65 (4), 231-236, 2024

    ...以降はgilteritinibのみで血液学的寛解を達成し,中枢神経症状も改善した。【考察】中枢神経浸潤を伴うAMLの治療においては,髄腔内注射の効果が示唆されているが,論拠に乏しい。他方gilteritinibは中枢神経浸潤を伴う<i>FLT3</i>変異陽性AMLに奏効したとの報告があり,本症例における中枢神経病変の寛解維持は同剤の中枢神経への移行を示唆するものと考える。</p>...

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  • VEXAS症候群に合併する骨髄異形成症候群の臨床的・遺伝的特性

    國本 博義 臨床血液 65 (4), 255-264, 2024

    <p>VEXAS症候群は血液細胞の細胞質空胞,E1ユビキチン活性化酵素をコードする<i>UBA1</i>遺伝子の体細胞変異,X連鎖性発症様式と自己炎症症状の存在を特徴とする新しい疾患概念であり,約30~50%の例にMDSを合併する。VEXAS症候群に合併するMDSの臨床的・遺伝的特性について我々は自験例を含めた解析を行い,芽球比率が低く白血病への移行が稀な低リスクMDSが多いこと,孤発性MDSに…

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  • 移植後cyclophosphamideを用いたGVHD予防法の新時代

    杉田 純一 臨床血液 65 (4), 272-281, 2024

    <p>移植片対宿主病(GVHD)予防のための移植後cyclophosphamide(PTCy)はHLA半合致移植に革命をもたらした。PTCyは優れたGVHD抑制効果に加え,安価かつ投与に特殊な技術や機器を必要としないことから急速に普及した。近年,PTCyはHLA半合致移植以外のGVHD予防にも有効である可能性が注目されており,BMT CTN …

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  • Tリンパ芽球性リンパ腫の臍帯血移植後に見られた高度意識障害

    中村 直和, 水本 智咲, 杉本 曉彦, 藤本 正数, 綾木 孝, 高折 晃史 臨床血液 65 (1), 47-51, 2024

    <p>Tリンパ芽球性白血病/リンパ腫(T-ALL/LBL)は急性白血病・悪性リンパ腫の中でも予後不良の疾患として知られている。Nelarabineは再発難治性T-ALL/LBLに対し良好な臨床成績が報告される治療選択肢の一つである一方で,神経障害の合併症に注意を要する。今回,T-LBL移植後早期再発に対しnelarabine単剤で完全寛解を達成し臍帯血移植を行ったが,高度意識障害を来し多臓器不全…

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  • 発症時に骨髄線維化を伴い自家幹細胞移植後に急速な髄外再発を来した多発性骨髄腫

    児玉 洋資, 佐分利 益穂, 河野 克也, 浦勇 慶一, 高田 寛之, 宮崎 泰彦, 和田 純平, 卜部 省悟, 大塚 英一 臨床血液 65 (1), 1-6, 2024

    <p>66歳,男性。貧血,血小板減少,腎障害,左第6肋骨腫瘤を契機に症候性多発性骨髄腫(IgG-λ型)と診断された。骨髄はdry tapであり,骨髄線維化grade 2を認めた。Bd療法(bortezomib, dexamethasone),VRd(bortezomib, lenalidomide, dexamethasone)にて部分奏効となり,自家末梢血幹細胞移植(autologous …

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  • Philadelphia染色体陽性急性リンパ芽球性白血病寛解導入療法後に調節卵巣刺激で発症した卵巣過剰刺激症候群

    大曾根 快, 片桐 誠一朗, 荒井 勇弥, 山田 晃子, 勝呂 多光子, 赤羽 大悟, 古屋 奈穂子, 藤本 博昭, 小野 政徳, 後藤 明彦 臨床血液 65 (2), 69-73, 2024

    <p>症例は27歳女性。Philadelphia染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)に対しdasatinib(dasa)とprednisoloneによる寛解導入療法を開始。診断時より強い妊孕性温存希望があり,卵子凍結保存を計画した。Progestinにて月経を抑制,血球回復後に調節卵巣刺激を行い,十分量の卵子を採卵した。卵巣刺激症候群(OHSS)の予防としてcabergolineとl…

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  • 再発時に<i>PTPN11</i>変異によるクローン交代を認めた<i>FLT3</i>-ITD変異陽性急性骨髄性白血病

    栗原 一也, 貞任 大地, 名島 悠峰, 平間 千津子, 原口 京子, 加藤 可那, 近藤 花織, 貞賀 泰孝, 加藤 千賀, 酒井 知史, 神原 康弘, 奈邊 愛美, 手島 航, 浅野 雄哉, 神宮寺 敦史, 島袋 将志, 大内 史彦, 稲井 一貴, 厚井 聡志, 新谷 直樹, 遠矢 嵩, 清水 啓明, 小林 武, 大保木 啓介, 原田 浩徳, 奥山 美樹, 原田 結花, 土岐 典子 臨床血液 65 (2), 63-68, 2024

    ...寛解導入療法,地固め治療を行いながら同種造血幹細胞移植の準備を行ったが,移植前の骨髄検査で血液学的再発を来し,コンパニオン診断薬で<i>FLT3</i>-ITD変異陽性が確認された。Gilteritinib単剤療法を開始して再度寛解を得たため,非血縁者間骨髄移植を実施した。移植後1年で再発を来し,gilteritinib投与を再開したが増悪した。...

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  • 新生児期より血小板減少を反復し成人になって診断された先天性血栓性血小板減少性紫斑病

    吉野 明久, 栗山 拓郎, 内海 紗江, 嶋川 卓史, 南 満理子, 林 正康, 松尾 弥生, 小亀 浩市, 中村 恵理子, 松本 雅則, 衛藤 徹也, 谷口 修一 臨床血液 65 (3), 142-146, 2024

    <p>27歳女性。新生児期に特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura, ITP)と診断されフォローされていたが,悪心・嘔吐,紫斑,意識障害が出現し,血小板1万/µ<i>l</i>まで低下を認め,精査加療目的に当院に入院した。繰り返す血小板減少や意識障害から先天性血栓性血小板減少性紫斑病(congenital thrombotic …

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  • 寛解導入療法中に静脈-静脈体外式膜型人工肺によりcapillary leak syndromeから回復した急性骨髄性白血病

    岡村 雅, 村田 祥吾, 宮本 恭兵, 太根 美聡, 岡部 友香, 武田 里美, 田畑 翔太朗, 小浴 秀樹, 堀 善和, 山下 友佑, 蒸野 寿紀, 細井 裕樹, 園木 孝志 臨床血液 65 (3), 169-174, 2024

    <p>症例は44歳女性。<i>RUNX1::RUNX1T1</i>を伴う急性骨髄性白血病に対して,寛解導入療法(IDR+AraC)を開始した。Day 17に呼吸不全,血圧低下が出現し,肺炎と薬剤アレルギーによるcapillary leak syndromeと診断して,気管挿管を行った。人工呼吸管理下でも呼吸状態は増悪し,day 18にvenovenous-extracorporeal …

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  • 後天性鉄芽球性貧血におけるRNAスプライシング異常の意義

    大地 哲朗 臨床血液 65 (4), 222-230, 2024

    <p>鉄芽球性貧血はミトコンドリアへの異常な鉄沈着により生じる環状鉄芽球(ring sideroblast, RS)を伴う貧血の総称である。後天性鉄芽球性貧血である骨髄異形成症候群におけるRS増加は<i>SF3B1</i>変異と強く関連するが,変異型SF3B1によるRS形成機序は不明である。筆者らは変異型SF3B1を導入した赤芽球系前駆細胞株HUDEP-2細胞を用いて<i>in …

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  • ラット骨髄由来細胞の採取方法の検討

    小林 健一, 小林 沙穂, 柏木 裕呂樹 労働安全衛生研究 16 (2), 209-213, 2023-09-30

    ...<p>労働現場における産業化学物質の中には,ばく露により労働者の健康に障害を生ずるおそれのあるものがあるため,その予防措置に向けて毒性機序の把握が必要である.血液毒性を誘発する物質は化学物質,薬物等で知られており,毒性実験を行う際に一般的に行われる血液学的検査と併せて骨髄由来細胞の性状を調べることは,より詳細な血液毒性の情報を取得し,リスク評価に有用なものになると考えられる.本稿ではラット大腿骨から...

    DOI Web Site 参考文献3件

  • 当院で経験した重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の8症例

    山谷 由香里, 清重 篤志, 佐々木 瞳, 大井 幸子, 吉岡 豊道, 和田 進 医学検査 72 (3), 374-381, 2023-07-25

    ...しかしながら,重症例及び軽症例の血液学的検査所見を比較するも,有意な差は認めなかった。確定診断は地方衛生研究所に依頼するため,SFTS疑い患者発生時に迅速に対応できるように,対応マニュアルを分かりやすく改訂した。</p>...

    DOI Web Site 医中誌

  • Successful azacitidine therapy for myelodysplastic syndrome associated with VEXAS syndrome

    片岡, 阿沙美, 水本, 智咲, 諫田, 淳也, 岩﨑, 惇, 櫻田, 麻希, 岡, 知美, 藤本, 正数, 山本, 洋介, 山下, 浩平, 南谷, 泰仁, 小川, 誠司, 髙折, 晃史 International Journal of Hematology 117 (6), 919-924, 2023-06

    VEXAS (vacuoles, E1 enzyme, X-linked, autoinflammatory, somatic) syndrome is caused by UBA1 somatic mutations and is characterized by late-onset systemic autoimmune inflammation and blood …

    HANDLE

  • COVID-19患者に対するECMO管理中の出血性合併症とThromboelastographyの関連:単施設後方視研究

    山﨑 慎太郎, 城尾 和司, 山内 和也, 鳩本 広樹, 秋吉 浩三郎, 星野 耕大, 仲村 佳彦, 石倉 宏恭 日本集中治療医学会雑誌 30 (2), 113-119, 2023-03-01

    ...未分画ヘパリン(unfractionated heparin, UFH)投与量,血液学的所見,TEGの測定結果と出血リスクの関連を検討した。【結果】除外項目に合致した測定を除き,167回の測定日で検討を行った。出血は17回認め,ΔCK-R.CKH-Rは有意な判別能を認めた(OR 1.03,95%CI 1.01〜1.05,<i>P</i><0.01)。...

    DOI Web Site 医中誌 参考文献20件

  • Genetic landscape of chronic myeloid leukemia

    越智, 陽太郎 International Journal of Hematology 117 (1), 30-36, 2023-01

    Chronic myeloid leukemia (CML) is a myeloproliferative neoplasm caused by the BCR::ABL1 fusion gene, which aberrantly activates ABL1 kinase and promotes the overproduction of leukemic cells. CML …

    HANDLE

  • 初発時にCMVとHHV-6の再活性化と頭蓋内多発腫瘤を認めた成人T細胞白血病リンパ腫

    堀, 太貴, 安井, 沙耶, 細木, 美苗, 山上, 紘規, 乙田, 敏城, 湯浅, 智之, 粟飯原, 賢一, 滝下, 誠, 安倍, 正博, 中村, 信元 臨床血液 64 (4), 283-289, 2023

    症例は55歳,男性。1ヶ月前からの咽頭痛の精査目的で紹介された。意識障害と項部硬直,口腔内の多発性有痛性潰瘍,全身に米粒大の紅斑を認めた。白血球数7,910/μL (異常リンパ球2%),LDH 203U/L,補正カルシウム11.2mg/dL,可溶性IL-2受容体11,800U/mL,サイトメガロウイルス抗原(C10,C11)43/49。末梢血や骨髄,皮膚にCD4,25陽性の異常リンパ球あり,末梢…

    機関リポジトリ Web Site 医中誌

  • 特異な画像所見を呈したprimary mediastinal large B-cell lymphoma, spindle cell variant

    大野 沙耶香, 田中 宏明, 林 清人, 清水 亮, 桑野 秀規, 鈴木 良夫 臨床血液 64 (1), 30-34, 2023

    <p>症例は40歳女性。前縦隔腫瘤を指摘されて紹介。画像所見上,辺縁不整で著明な浸潤傾向がみられる腫瘤で一部石灰化が混在していた。悪性リンパ腫よりは胸腺がんないし高グレードの浸潤性胸腺腫が疑われ,超音波気管支鏡ガイド下針生検,CTガイド下針生検を施行したが診断に至らず,胸腔鏡下縦隔腫瘍生検により紡錘形細胞を呈する縦隔原発大細胞型B細胞リンパ腫(PMBL)の診断となった。針生検検体を後ろ向きに検討…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 高度な骨髄線維化を認めたリンパ形質細胞性リンパ腫

    宝田 亜矢子, 百瀬 春佳, 栗田 尚樹, 松岡 亮太, 中村 直哉, 坂本 竜弘, 加藤 貴康, 服部 圭一朗, 末原 泰人, 横山 泰久, 錦井 秀和, 丸山 ゆみ子, 小原 直, 千葉 滋, 坂田(柳元) 麻実子 臨床血液 64 (1), 54-59, 2023

    <p>61歳女性。汎血球減少と発熱性好中球減少症により発症。入院時のCT検査では肝脾腫は軽度であり,リンパ節腫大はみられなかった。骨髄検査では,広範な線維化を認めた。小型から中型で核にくびれを認めるCD3<sup>−</sup>,CD10<sup>−</sup>,CD20<sup>+</sup>,BCL-2<sup>+−</sup>,CD138<sup>+−</sup> …

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 日本人発作性夜間ヘモグロビン尿症患者におけるravulizumabおよびeculizumabの選択

    石山 謙, 臼杵 憲祐, 池添 隆之, 後藤 明彦, MYREN Karl-Johan, TOMAZOS Ioannis, 下野 明彦, 二宮 治彦, 櫻井 政寿, 中尾 眞二, 西村 純一 臨床血液 64 (1), 9-17, 2023

    <p>Ravulizumabは,発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として承認された長時間作用型補体阻害薬である。補体阻害薬未治療のPNH患者に対するALXN1210-PNH-301試験と,eculizumab投与歴のある患者に対するALXN1210-PNH-302試験において,eculizumabからravulizumabへの切り替えを経験した23例を対象に治療の選好性を評価した。PN…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • Obinutuzumab併用CHOP療法が有効であった白血化を伴った濾胞性リンパ腫

    長内 聡子, 大嶋 祥子, 糸井 覚, 加藤 豊, 竜崎 理子, 飯塚 有希, 田中 紀奈, 石山 みどり, 篠原 明仁, 吉永 健太郎, 志関 雅幸, 鬼塚 裕美, 長嶋 洋治, 田中 淳司 臨床血液 64 (2), 119-124, 2023

    <p>56歳,女性。B症状,全身リンパ節腫大,肝脾腫,白血球増多(167,200/µ<i>l</i>,異常リンパ球91.5%)で発症した。リンパ節生検でfollicular lymphoma(FL)と診断されたが,リンパ節と異なり末梢血腫瘍細胞のCD10が陰性化しているのが特徴的であった。腫瘍崩壊症候群を回避するため抗CD20抗体を併用せずCHOP療法単独投与を行ったが,末梢血腫瘍細胞は残存した…

    DOI 医中誌

  • 初回化学療法後に膵液瘻と腹膜炎を発症したびまん性大細胞型B細胞リンパ腫

    香月 健吾, 中嶋 ゆき, 穐本 昌寛, 佐久間 敬之, 松村 彩子, 宮崎 拓也, 前田 晃樹, 澤住 知枝, 藤澤 信, 中島 秀明 臨床血液 64 (2), 125-129, 2023

    <p>59歳女性。体重減少と腹痛を契機に行ったCTで,後腹膜に20 cm大の巨大腫瘤を認め,生検でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した。75%CHP療法施行後に急性腹症を発症し,CTで汎発性腹膜炎と診断した。腹水中のアミラーゼは高値であり,治療開始前のCTで膵臓への浸潤が疑われており,腫瘍縮小による膵液瘻が考えられた。腹水培養で腸内細菌が検出され,消化管穿孔の合併も示唆された。治療抵抗性で…

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  • 難治性食道狭窄を来した同種造血幹細胞移植後の食道粘膜類天疱瘡

    藤田 菜々子, 山下 鷹也, 阿部 史人, 奈良 美保, 吉岡 智子, 古賀 浩嗣, 石井 文人, 高橋 直人 臨床血液 64 (2), 107-112, 2023

    <p>40代女性。AML再発に対し血縁者間HLA半合致移植を施行。移植後day59に食道狭窄症を発症した。GVHDと診断し免疫抑制療法中は定期的な食道拡張術で安定していたが,AML再々発に伴い免疫抑制剤を中止すると食道狭窄の増悪を認めた。食道粘膜は易出血性・易剥離性であり,生検組織で剥脱した重層扁平上皮と上皮下の肉芽組織との離開を認めた。蛍光抗体直接法で基底膜部へのIgGとIgAの線状沈着を認め…

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  • Tisagenlecleucel治療を受けたびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者におけるCAR-Tの短期的な体内動態と治療成績

    葉名尻 良, 古川 勝也, 中島 麻梨絵, 牛島 洋子, 島田 和之, 石川 裕一, 寺倉 精太郎, 村田 誠, 清井 仁 臨床血液 64 (3), 167-174, 2023

    <p>キメラ抗原受容体遺伝子導入T細胞(CAR-T)療法後1ヶ月以内の短期的なCAR-Tの体内動態と治療成績の関係は解明されていない。今回,tisagenlecleucel療法を行った再発難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者13例において,CAR-T輸注後1ヶ月までのCAR-Tの体内動態をフローサイトメトリー法と定量PCR法を用いて定量的に測定し,治療成績との関係について解析した。CAR-T…

    DOI 医中誌

  • 同種臍帯血移植後の消化管重症急性移植片対宿主病治療中に合併した腸管気腫症

    河村 優磨, 福島 庸晃, 藤井 智基, 沼田 将弥, 伊藤 真, 森川 しおり, 後藤 実世, 河野 彰夫, 尾関 和貴 臨床血液 64 (3), 218-223, 2023

    <p>症例は62歳女性。再発難治性血管免疫芽球性T細胞リンパ腫に対して同種臍帯血移植後109日目にstage4の消化管移植片対宿主病(graft-versus-host disease, GVHD)を発症した。ステロイド(mPSL 1 mg/kg)投与により4週間後にはGVHDの寛解を得たが,同時期から腹部膨満感が出現した。移植後158日目にCTで全結腸に腸管粘膜下と漿膜下の気腫を認め,腸管気腫…

    DOI 医中誌

  • 形質芽球性骨髄腫と類似した臨床像を呈した形質芽球性リンパ腫

    中谷 綾, 長手 泰宏, 戸田 淳, 山下 勇大, 廣瀬 由美子, 森 清, 柴山 浩彦 臨床血液 64 (4), 260-264, 2023

    <p>症例は多発頭部腫瘤と圧迫骨折を主訴に来院した75歳男性。血液検査でIgG上昇を認め,免疫固定法でIgGκ型M蛋白を同定した。骨髄検査で形質細胞は1.2%であり形態学的に異常細胞を認めなかったが,PET/CTでは多発性骨病変が認められ,頭部腫瘤の生検標本から,形質芽球性リンパ腫(PBL)と診断した。PBLは,B細胞抗原の発現を欠きながら形質細胞の表現型を示すアグレッシブB細胞性リンパ腫である…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 急性骨髄性白血病に対する分子標的治療

    石川 裕一 臨床血液 64 (5), 345-354, 2023

    <p>急性骨髄性白血病(AML)は様々な染色体異常,遺伝子異常の蓄積がその病態形成と治療経過に深く関わっている非常に多様性に富んだ疾患である。近年,AMLの分子異常に基づく疾患細分化,それらを標的とする治療法の開発が進められてきた。米国では2017年以降,数多くの新規薬剤が承認され,FLT3阻害薬midostaurinと強力化学療法の併用療法は,予後不良とされてきた<i>FLT3</i>-ITD…

    DOI PubMed

  • 免疫性血小板減少症の病態と治療

    柏木 浩和 臨床血液 64 (5), 397-405, 2023

    <p>ITPの病態は免疫的機序による血小板破壊の亢進と血小板産生の抑制である。血小板破壊はマクロファージにおけるFc受容体を介した血小板貪食の亢進が中心であるが,補体の関与,血小板膜蛋白の脱シアル化などの関与も明らかにされてきている。また血小板貪食および自己抗体産生の分子メカニズムが明らかにされてきたことから,それらの分子を標的とした新規治療薬が続々と開発され,その有効性が示されてきている。特に…

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  • 血栓性血小板減少性紫斑病診療ガイド2023

    厚生労働科学研究費補助金 難治性疾患政策研究事業 「血液凝固異常症等に関する研究班」TTPグループ, 松本 雅則, 宮川 義隆, 小亀 浩市, 上田 恭典, 和田 英夫, 日笠 聡, 八木 秀男, 小川 孔幸, 酒井 和哉, 宮田 敏行, 森下 英理子, 藤村 吉博 臨床血液 64 (6), 445-460, 2023

    DOI Web Site PubMed ほか1件 被引用文献1件

  • 溶血性貧血に対する新たな抗補体治療

    西村 純一 臨床血液 64 (6), 466-473, 2023

    <p>2007年に初の抗補体薬として抗C5抗体eculizumabが,溶血性貧血である発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)に対して承認された。Eculizumabの適応が他疾患に拡大する一方で,新規抗補体薬の開発がさまざまな疾患において精力的に展開されている。PNHにおいては,eculizumabの改良版である抗C5リサイクル抗体ravulizumabが開発され,投与間隔が2週間から8週間に延長…

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  • びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の中枢神経系再発リスク評価および対策

    宮崎 香奈 臨床血液 64 (6), 490-496, 2023

    <p>びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の予後はrituximab導入により劇的な改善をもたらした。しかしながら中枢神経系(CNS)再発をきたすと極めて予後不良であることから,CNS再発をいかに低減させることができるか,重要なclinical questionが残っている。CNS再発予後予測モデルとしてCNS-International Prognostic …

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  • <i>ZNF384</i>再構成と<i>MEF2D</i>再構成を有する小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病の臨床像の特徴

    平林 真介, 真部 淳, 大木 健太郎, 清河 信敬 臨床血液 64 (7), 633-638, 2023

    <p>小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病(BCP-ALL)は,染色体や遺伝子の異常によるサブタイプに分けられ,その多くは予後と相関することが示されてきた。近年の網羅的解析により,各国から<i>ZNF384</i>再構成をもつ白血病や<i>MEF2D</i>再構成をもつ白血病が特徴的なサブタイプであることが報告された。本邦から主導して小児BCP-ALLの国際共同研究が行われ,<i>ZNF384</…

    DOI PubMed

  • 好酸球増多と器質化肺炎を呈したder(1;7)(q10;p10)を伴う骨髄異形成症候群

    小村 綾, 廻 勇輔, 松原 千哲, 藤原 英晃, 湯川 椋也, 林野 健太, 中村 真, 吉田 親正, 山本 和彦, 松岡 賢市, 藤井 伸治, 前田 嘉信, 今城 健二 臨床血液 64 (7), 619-625, 2023

    <p>不均衡転座der(1;7)(q10;p10)は骨髄異形成症候群(MDS)における特徴的な染色体異常の一つである。症例は63歳男性で,発熱と肺炎を呈して当院を受診し,46,XY,+1,der(1;7)(q10;p10)を持つMDSと診断された。肺炎は気管支鏡検査により器質化肺炎(OP)と診断した。第30病日には好酸球39%に上昇し,発熱や呼吸困難が増悪し,好酸球増多に伴う全身性紅斑が出現した…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 低血糖を合併したGAPDH高発現びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

    平野 志帆, 岩越 朱里, 今橋 伸彦, 酒井 晃太, 平野 大希, 鈴木 康裕, 足立 達哉, 永井 宏和, 飯田 浩充 臨床血液 64 (7), 608-613, 2023

    <p>症例は69歳男性。低血糖,脾腫,傍大動脈リンパ節腫脹の精査目的に当科紹介となり,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma, DLBCL)と診断された。入院後,遷延性低血糖の治療に難渋したが,リンパ腫に対し化学療法を施行したところ低血糖が改善した。この経過からリンパ腫に関連した低血糖が疑われたため,その機序を解明するために,解糖系酵素であるグ…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • EBV陽性リンパ増殖性疾患の診断と管理

    新井 文子 臨床血液 64 (8), 764-771, 2023

    <p>Epstein-barr virusはB細胞のみならず,T, NK細胞の不死化の原因となり,かつ遺伝子変異導入を誘導することでリンパ系腫瘍(EBV-positive lymphoproliferative disorders, EBV-LPDs)の発症に寄与する。B細胞性EBV-LPDs(B-EBV-LPDs)は免疫不全を背景に発症する。一方,T, NK細胞性EBV-LPDs(T, …

    DOI PubMed

  • 白血病関連遺伝子<i>ASXL1</i>によるパラスペックル制御

    山本 圭太 臨床血液 64 (8), 719-730, 2023

    <p><i>ASXL1</i>は骨髄増殖性疾患において高頻度に変異が認められる遺伝子である。<i>ASXL1</i>変異により変異型ASXL1蛋白質が発現する。私たちは野生型ASXL1が相分離を引き起こす蛋白質であり,膜のないオルガネラ(membraneless organelles, MLOs)であるパラスペックルの形成に関与することを明らかにした。骨髄系腫瘍で認められる変異型ASXL1は相分…

    DOI PubMed 医中誌

  • 骨髄球系造血の制御機構と疾患

    平位 秀世 臨床血液 64 (9), 853-860, 2023

    <p>生体防御に関わる好中球に代表される顆粒球や,単球のような単核貪食細胞を産み出す骨髄球系造血では,造血幹細胞および前駆細胞における増殖や分化が高度に制御されており,定常状態のみならず,微生物感染や組織損傷による炎症惹起時にも,需要に応じた適正な細胞供給が行われる。このような骨髄球系造血の制御にはC/EBPαやC/EBPβなどC/EBPファミリーに属する転写因子が中心的な役割を果たしており,骨…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 骨髄不全の免疫病態

    細川 晃平 臨床血液 64 (9), 908-915, 2023

    <p>骨髄不全とは,骨髄機能の低下によってすべての血球が減少する状態であり,その中には特発性再生不良性貧血(aplastic anemia, AA),骨髄異形成症候群(MDS),発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)などが含まれる。AAは,汎血球減少と骨髄低形成を特徴とするが,その多くが細胞傷害性T細胞を主体とした自己免疫的な機序によって造血幹細胞が傷害される結果発症する。AAにおけるゲノム異常は…

    DOI PubMed

  • AMLに対する免疫細胞療法

    中沢 洋三 臨床血液 64 (9), 942-948, 2023

    <p>近年,急性骨髄性白血病(AML)を適応症とする低分子薬の新規承認または適応拡大が相次いでいる。これらの低分子薬はAMLの治療選択肢を大幅に向上させ,予後の延長に貢献するが,長期使用による薬剤耐性が不可避であるため,AMLの長期的予後の改善に貢献しうる別の殺細胞機序を有する新規モダリティの開発が望まれる。キメラ抗原受容体(CAR)発現T細胞を用いた免疫細胞療法は,血液がんに対する最も有望な次…

    DOI PubMed

  • <i>TP53</i>変異骨髄異形成症候群/急性骨髄性白血病の病態と臨床

    小島 研介 臨床血液 64 (9), 955-961, 2023

    <p>急性骨髄性白血病(AML)に対する治療の中心は,長年anthracyclineとcytarabineに代表される併用化学療法(通常抗がん剤治療)であった。化学療法は多くの患者に治癒をもたらした一方で,薬剤耐性化や再発,二次発がんの原因にもなってきた。近年の分子標的治療の進歩により,骨髄異形成症候群(MDS)/AMLではazacitidine単独療法がMDS治療に,venetoclaxとaz…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 移植適応多発性骨髄腫の治療戦略

    塚田 信弘 臨床血液 64 (9), 1066-1073, 2023

    <p>新規薬剤およびモノクローナル抗体の登場により未治療多発性骨髄腫(MM)の治療成績は劇的に向上した。Bortezomib,lenalidomideを含む3剤併用の寛解導入療法が主流となっている現在においても,up-frontの自家末梢血幹細胞移植併用大量melphalan療法(HDM/ASCT)が無増悪生存期間(PFS)の延長に寄与することが複数の臨床試験で示されており,維持療法の継続により…

    DOI PubMed

  • 同種造血幹細胞移植におけるHLA不適合の臨床的意義

    諫田 淳也 臨床血液 64 (9), 1158-1165, 2023

    <p>臍帯血移植に加えて,抗胸腺細胞グロブリンや移植後のcyclophosphamide投与によるGVHD予防法の開発・改良によりHLA不適合移植件数が急速に増加している。HLA適合度と移植成績の関連に関しては,移植ソース毎に異なるため,HLA不適合の意義に関して解釈に注意が必要である。さらに,評価する遺伝子座,適合レベル(抗原・アレル),不適合方向(移植片対宿主方向や宿主対移植片方向),不適合…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 再発・難治性多発性骨髄腫治療の最適化

    伊藤 薫樹 臨床血液 64 (9), 1074-1082, 2023

    <p>新規治療薬の登場により多発性骨髄腫の予後は改善しているが,ほとんどの患者は再発し治療抵抗性となり,さらなる治療が必要となる。再発難治性骨髄腫の治療成績向上には,各治療期において最良の治療効果を得ることが必要である。現在,プロテアソーム阻害薬,免疫調節薬,抗CD38抗体薬といった3つのクラスの薬剤に抵抗性となった場合には極めて予後不良であり,その後の最適な治療レジメンは不明である。本邦では,…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • ITP病態に基づく診断と治療

    加藤 恒 臨床血液 64 (9), 1106-1115, 2023

    <p>免疫性血小板減少症(ITP)は,抗血小板自己抗体による血小板破壊の亢進と骨髄巨核球の血小板産生障害により血小板減少をきたす疾患である。病態の中心となる抗血小板自己抗体はGPIIb/IIIa,GPIbなど異なる血小板膜糖蛋白を認識するが,自己抗体の違いがもたらす血小板破壊メカニズムの違い,自己抗体非依存性の血小板破壊などITP病態の詳細はまだ明らかではない。特異的検査法を持たないITPでは他…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 小児急性リンパ性白血病サバイバーの神経認知機能

    飯島 真由子 臨床血液 64 (9), 1227-1234, 2023

    <p>近年リスク層別化による治療強化や支持療法の向上に伴い,小児急性リンパ性白血病(ALL)の5年寛解生存率は80~90%に及ぶ。長期サバイバーの増加に伴い,彼らの治療後の生活の質を担保することが重要な課題となっている。彼らの生活の質は晩期合併症の有無に大きく左右されることがわかっている。ALLの治療において,予防的全脳照射(CRT)の撤廃は二次がんや内分泌障害といった晩期合併症の改善に大きく寄…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

  • 造血器悪性腫瘍に合併する血栓症の予防と治療

    池添 隆之 臨床血液 64 (9), 1137-1143, 2023

    <p>造血器悪性腫瘍,特に急性骨髄性白血病では血小板減少に加え,線溶亢進型の播種性血管内凝固を合併することで出血による死亡リスクが高くなる。一方で,造血器腫瘍には血栓塞栓症も少なからずの割合で合併して予後不良に繋がることも知られているが,これまで抗凝固薬による血栓予防や治療についてあまり議論されてこなかった。今回,急性白血病をはじめ,代表的な造血器悪性腫瘍に合併する血栓塞栓症の発症予測因子やその…

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  • 造血細胞移植後の侵襲性カンジダ症

    木村 俊一 臨床血液 64 (9), 1176-1183, 2023

    <p>カンジダ属は,造血細胞移植後の侵襲性真菌症の原因の内訳で,アスペルギルス属に次いで多い真菌である。生着前期では,好中球減少と,移植前処置や中心静脈カテーテル留置による粘膜・皮膚障害が,侵襲性カンジダ症の主なリスク因子となる。同種移植においては,生着後も移植片対宿主病(GVHD)や副腎皮質ステロイドの使用によりそのリスクが高まる。造血細胞移植においてカンジダ症に対する抗真菌予防は標準治療とな…

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  • <i>EVI1</i>再構成を伴う骨髄性腫瘍における<i>SF3B1</i>変異合併の意義

    田中 淳 臨床血液 64 (10), 1258-1265, 2023

    <p>3番染色体の逆位または転座に代表される<i>EVI1</i>再構成を伴うAMLはEVI1の高発現を特徴とする予後不良な病型である。我々は<i>EVI1</i>再構成を伴う骨髄性腫瘍において高頻度に合併する遺伝子変異の中でも<i>SF3B1</i>変異に着目し,忠実なマウスモデルの解析を通じて両異常が協調して白血病発症を誘導することを示した。さらに興味深いことに,<i>SF3B1</i>変異…

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  • 成人B細胞性急性リンパ芽球性白血病に対するCAR-T療法

    後藤 秀樹 臨床血液 64 (11), 1432-1439, 2023

    <p>成人のB細胞性急性リンパ性白血病(B-cell acute lymphoblastic leukemia, B-ALL)は,初期治療に反応する症例がいる一方で全体としては再発・難治例が多いことが知られている。新規薬剤(blinatumomab,inotuzumab ozogamicin等)による治療や同種造血幹細胞移植が行われるも,依然として再発・難治例の予後は不良である。近年,CD19を…

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  • 小児急性リンパ芽球性白血病に対するCAR-T療法

    坂口 大俊 臨床血液 64 (11), 1440-1446, 2023

    <p>小児から若年成人世代にかけてのB細胞性急性リンパ性白血病の治療成績は,リスク因子による層別化およびリスクに応じた治療強度の適正化によって,過去半世紀で大きく改善し,その長期生存率は90%に達している。一方で,再発難治例は存在し,従来の化学療法と同種造血細胞移植に加えて,抗体免疫製剤やキメラ抗原受容体T細胞療法が併用されるようになり,その治療開発が進んでいる。Tisagenlecleucel…

    DOI PubMed

  • der(1;7)(q10;p10)陽性骨髄異形成症候群の特徴

    奥田 瑠璃花 臨床血液 64 (12), 1519-1522, 2023

    <p>der(1;7)(q10;p10)は,DNA複製時に生じる1番染色体と7番染色体の不均衡転座である。初めてder(1;7)(q10;p10)が血液疾患で報告されたのは1980年と40年以上も前であり,3症例の骨髄繊維症(myelofibrosis)と骨髄化生(myeloid metaplasia)において同定された。現在では,この不均衡転座は骨髄異形成症候群でしばしば認められる特徴的な異常…

    DOI PubMed 医中誌

  • ラットにおけるリン酸誘発性腎糸球体障害に与える静脈内投与速度の影響の検証

    加藤 奈菜, 梅屋 直久, 西村 直恵, 栃谷 智秋, 国遠 かおり, 臼井 亨, 宮脇 出 日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P1-014E-, 2023

    ...</p><p>【方法】雌ラットにリン酸緩衝液をリン酸として2.8, 17.5及び35 mg/kg/日の投与量で11日間反復静脈内急速投与又は30分持続投与し、一般状態観察、体重及び摂餌量測定、眼科学的検査、尿検査(腎毒性バイオマーカー測定を含む)、血液学的検査、血液生化学的検査(無機リン及びカルシウム濃度の経時測定を含む)、器官重量測定、剖検並びに病理組織学的検査を実施した。...

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  • 臨床検査におけるmiRNA測定の有用性検討

    米澤 豊, 衣斐 彼方, 大田 汐莉, 藤田 優香, 水口 恵理, 中野 匠 日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P3-251-, 2023

    ...投与1、2、6、及び24時間後にイソフルラン麻酔下で腹大動脈より採血し(n=3/時点)、血液学検査、血液生化学検査、心筋トロポニン測定及び血漿中miRNA(miR-1、miR-133等)測定を実施した。また、心臓病理組織学的検査を実施した。...

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  • ラットにおける気管内投与による反復投与毒性試験のための背景データ

    星野 真範, 涌生 聖, 内田 光俊, 佐々木 淳, 山本 大 日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P3-261-, 2023

    ...</p><p>【結果】血液学的検査,血液生化学的検査,BALFの生化学的検査および器官重量では,明らかな変化は認められなかった.BALFの検査では,セボフルラン麻酔下の投与群において総細胞数が増加する傾向が認められた.病理組織学的検査の結果,セボフルランまたはイソフルランの麻酔により,肺の血管および気管支周囲への好酸球浸潤が認められ,この変化は,DWまたはPBSの気管内投与により増強した.DW投与群...

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  • MYCとBCL2発現を有し<i>MYD88<sup>L265P</sup></i>変異を伴ったCD5陽性CD10陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

    佐々木 陽平, 村井 聡, 岡村 玲子, 上杉 由香, 島田 翔太郎, 綿貫 めぐみ, 藤原 峻, 川口 有紀子, 荒井 奈々, 柳沢 孝次, 本間 まゆみ, 矢持 淑子, 服部 憲路 臨床血液 64 (1), 42-48, 2023

    <p>症例は75歳,男性。全身倦怠感,全身のリンパ節腫脹が出現し,当院に入院した。頸部リンパ節生検を施行し,CD5陽性CD10陽性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)と診断し,MYCとBCL2発現を認めた。臨床病期はIV期,国際予後指標は高リスクと診断した。また<i>MYD88<sup>L265P</sup></i>変異を認めた。R-THP-COP療法6コース施行後,部分奏効となったが4…

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  • 同種造血幹細胞移植における低カリウム血症とカリウム補充療法

    川島 一郎, 日向 英人, 中楯 礼人, 細川 恵理子, 坂本 勇磨, 鈴木 潤, 熊谷 拓磨, 輿石 めぐみ, 鈴木 愛, 山本 健夫, 中嶌 圭, 桐戸 敬太 臨床血液 64 (2), 83-90, 2023

    <p>同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation, allo-HCT)時には低K血症を高頻度に認め,非再発死亡(non-relapse mortality, NRM)との関連も報告されている。しかし,日本のK注射製剤の添付文書を厳格に遵守すると,補正が困難な場合が多い。今回我々はallo-HCTにおける低K血症とK補充…

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  • ヘモグロビン円柱による尿細管障害性急性腎障害を併発した自己免疫性溶血性貧血

    力武 隼平, 垣内 誠司, 高樹 郁真, 影林 真理, 冨田 弘道, 吉田 俊子, 原 重雄, 岩田 暢子, 亀崎 豊実 臨床血液 64 (2), 91-96, 2023

    <p>62歳男性。貧血(Hb 8.2 g/d<i>l</i>)で精査入院。溶血性貧血を認め,試験管法直接クームス試験を施行し陰性であった。しかし依然として自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が疑われたため,カラム法直接クームス検査,赤血球結合IgGの高感度法定量を施行し温式AIHAの確定診断を得た。また,来院時より急性腎障害(AKI)を併発しており,補液のみでは改善に乏しかったため腎生検を施行した。…

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  • 強い催奇形性を有する医薬品の適正な安全管理手順における前向き介入クラスターランダム化非劣性比較研究

    鈴木 憲史, 藤井 知行, 入山 高行, 佐藤 泰憲, 川﨑 敏克, 林 邦彦, 遠藤 一司 臨床血液 64 (3), 175-186, 2023

    <p>Thalidomide系薬剤の安全管理手順で用いられている「定期確認票」による確認間隔の長短によって,当該手順に対する患者の遵守意識に差異があるかを検討した。男性患者および妊娠の可能性のある女性患者が対象で,実施は31施設,参加者は215名であった。被験者は従来の確認間隔で定期確認票を用いる患者群と,確認間隔を4ヶ月もしくは6ヶ月間に延長する患者群に行った。2回目の理解度調査票において,行…

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  • COVID-19を合併した発作性夜間ヘモグロビン尿症

    篠 将広, 飯塚 浩光, 福島 英人, 竹安 将, 鴨田 吉正, 木田 理子, 市川 幹, 穴澤 梨江, 櫻井 隆之, 臼杵 憲祐 臨床血液 64 (3), 224-229, 2023

    <p>発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は,活性化された補体によって補体制御因子を欠損した赤血球が血管内溶血をきたす疾患である。感染症の合併により急激に溶血が進行する可能性があることや血栓症の合併に注意が必要である。これまでPNHのCOVID-19合併について,本邦からの報告はない。今回我々はPNHに対して抗C5抗体による治療中にCOVID-19を発症した症例を5例経験した。3例はravuli…

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  • 初発時にCMVとHHV-6の再活性化と頭蓋内多発腫瘤を認めた成人T細胞白血病リンパ腫

    堀 太貴, 安井 沙耶, 細木 美苗, 山上 紘規, 乙田 敏城, 湯浅 智之, 粟飯原 賢一, 滝下 誠, 安倍 正博, 中村 信元 臨床血液 64 (4), 283-289, 2023

    <p>症例は55歳,男性。1ヶ月前からの咽頭痛の精査目的で紹介された。意識障害と項部硬直,口腔内の多発性有痛性潰瘍,全身に米粒大の紅斑を認めた。白血球数7,910/µ<i>l</i>(異常リンパ球2%),LDH 203 U/<i>l</i>,補正カルシウム11.2 mg/d<i>l</i>,可溶性IL-2受容体11,800 …

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  • 低用量tirabrutinibによる治療導入が有効であった高齢者リンパ形質細胞性リンパ腫

    安見 正人, 白石 貫馬, 上條 公守, 釜江 剛, 烏野 隆博 臨床血液 64 (4), 245-249, 2023

    <p>症例は93歳女性。貧血の精査のため当院受診し,末梢血に腫瘍細胞増加を伴ったリンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)と診断された。8ヶ月後には貧血が進行し,末梢血腫瘍細胞が66%と増加した。副作用によるQOL低下の懸念から,tirabrutinibを80 mg/日の低用量で開始した。治療開始3週間後には輸血依存から離脱し,末梢血腫瘍細胞も減少した。その後,tirabrutinibに対して忍容性がみ…

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  • 慢性骨髄性白血病のクローン進化と臨床的意義

    越智 陽太郎 臨床血液 64 (5), 369-375, 2023

    <p>慢性骨髄性白血病(CML)は,t(9;22)(q34;q11)により形成されるPhiladelphia(Ph)染色体を特徴とする造血器腫瘍である。Ph染色体上の<i>BCR::ABL1</i>融合遺伝子によってABL1チロシンキナーゼが恒常的に活性化し,白血病細胞の著しい増殖に至る。典型的には臨床症状の乏しい慢性期に診断され,数年以内に急性転化期へと進展して致死的となる。CMLではしばしば…

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  • von Willebrand病における治療の進歩

    中山 享之 臨床血液 64 (5), 389-396, 2023

    <p>VWDは,VWFの量的・質的異常により出血傾向を呈する遺伝性疾患である。重症例や,軽症でも重篤な出血や中大手術施行の際には,VWFを補充せねばならない。日本では長らく血漿由来第VIII因子/VWF複合製剤のみが,実際的な治療選択肢であった。しかし,潜在的な病原体伝播,アレルギー,第VIII因子を含むことによる血栓等のリスクが存在した。それを解決すべく,遺伝子組換えVWF製剤であるvonic…

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  • 新たな輸血治療開発に向けた赤血球人工生産の現状

    栗田 良 臨床血液 64 (6), 482-488, 2023

    <p>近年,試験管内における赤血球大量生産法を確立し,新しい血液製剤として開発しようとする試みが国内外で行われている。赤血球の人工生産ソースとしては,造血幹/前駆細胞,多能性幹細胞,不死化赤血球前駆細胞株,の3つが候補として挙げられており,いずれの細胞ソースを用いた場合でも,機能を有する赤血球の生産が可能となっている。すでに海外では,造血幹/前駆細胞から人工生産した赤血球について臨床研究が行われ…

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  • 古典的ホジキンリンパ腫

    蒔田 真一 臨床血液 64 (6), 504-513, 2023

    <p>古典的ホジキンリンパ腫(classic Hodgkin lymphoma, cHL)は,欧米においては比較的高頻度に認められるリンパ腫であるが,日本におけるその発症頻度は欧米の約1/3であり,悪性リンパ腫全体の5~7%程度を占めるまれな組織型である。過去50年の間に多剤併用化学療法と放射線治療の臨床開発により,cHLは最も予後良好な悪性腫瘍と言われるまでに治療成績は向上した。一方で,長期生…

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  • 成人T細胞白血病・リンパ腫の病態理解と治療の進歩

    吉満 誠 臨床血液 64 (6), 497-503, 2023

    <p>成人T細胞白血病・リンパ腫(adult T-cell leukemia/lymphoma, ATL)は極めて難治性の末梢性T細胞リンパ腫である。近年初発ないしは再発難治ATLを対象にいくつかの新規薬剤が承認されたが,十分に予後の改善を実感できていない。ATLにおいても次世代シークエンスをはじめとした技術革新により,網羅的なゲノム解析を中心に病態解明が飛躍的に進歩している。本稿では最近の病態…

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  • 同種造血幹細胞移植後の維持療法

    吉本 五一, 宮本 敏浩 臨床血液 64 (6), 533-546, 2023

    <p>同種造血幹細胞移植(allo-HSCT)は疾患再発のリスクの高い患者の生存率向上に寄与している。しかしながら,allo-HSCT後に疾患が再発した場合,従来の化学療法やドナーリンパ球療法を行っても十分な治療成績が得られず,治療不成功・死亡の主な要因となっている。allo-HSCTの疾患再発を減らすために,微小残存病変に基づいた先制治療や,再発リスクの高い患者に対する維持療法は有望な治療戦略…

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  • 移植後合併症

    森 康雄 臨床血液 64 (6), 524-532, 2023

    <p>近年,分子標的薬や新規の抗体製剤・抗体薬剤複合体に加え,免疫細胞療法が次々と臨床現場に登場し,同種造血細胞移植前後に使用可能な状況が整いつつある。これらの新規薬剤を用いて移植前の原疾患コントロールを一層強化し,可能な症例においては移植後に維持療法を継続することで,再発率の低減ひいては移植成績の向上が期待されている。さらに一部の新規薬剤は,依然として同種移植後の致死的合併症の一つであるステロ…

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  • Factor V異常に伴う抗凝固機能異常の解明とそのスクリーニング手法の開発

    下西 成人, 野上 恵嗣 臨床血液 64 (7), 654-660, 2023

    <p>凝固第V因子(FV)は,向凝固と抗凝固の相反する機能を有する。FV遺伝子変異にて発症する先天性FV欠乏・異常症は,FVが向凝固機能を担うため一般的には出血傾向を呈する。一方,活性化プロテインC(APC)抵抗性として発見されたFV-R506Q(FV<sub>Leiden</sub>)変異は,有名な血栓性素因の一つである。これまでFV<sub>Leiden</sub>を含むFV分子異常症に起因…

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  • ATLの長期寛解を目指したTax標的樹状細胞ワクチン療法

    末廣 陽子 臨床血液 64 (7), 670-677, 2023

    <p>成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は,ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-1)感染者の約5%に長い潜伏期を経て発症する末梢性T細胞腫瘍である。ATLの病態として免疫不全および抗がん剤抵抗性が特徴的であり,多剤併用化学療法による生存期間は1年前後と極めて予後不良である。近年,分子標的薬などの異なる機序を有する新規薬によりATLの治療成績は向上しているが,治癒に至る症例は未だに限られてい…

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  • 再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫に対するPola-BR療法

    森田 侑香, 八木 悠, 金政 佑典, 佐々木 友希, 伊志嶺 賢人, 林 雄大, 美野 真乃, 大東 杏, 田村 太一, 中村 翔平, 奥屋 俊宏, 清水口 卓也, 新谷 直樹, 遠矢 嵩, 清水 啓明, 名島 悠峰, 小林 武, 原口 京子, 土岐 典子, 奥山 美樹, 大橋 一輝, 下山 達 臨床血液 64 (7), 586-595, 2023

    <p>Pola-BR療法(polatuzumab vedotin,bendamustine,rituximab)は,relapsed/refractory diffuse large B-cell lymphoma(R/R DLBCL)に対して承認されているが,本邦での有効性・安全性の報告は限られている。当院でPola-BR療法を施行したR/R DLBCL 29例(chimeric …

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  • 免疫抑制療法後のeltrombopag追加投与が有効であった小児再生不良性貧血

    久保田 力, 永澤 俊, 中川 緑, 山田 愛, 木下 真理子, 上村 幸代, 下之段 秀美, 盛武 浩 臨床血液 64 (8), 741-745, 2023

    <p>輸血依存性の中等症以上の小児再生不良性貧血では,HLA一致血縁ドナーが不在の場合,免疫抑制療法の適応となるが30%は不応である。成人領域ではeltrombopagの併用が検討されているが,小児領域は有用性と安全性がまだ確立されていない。今回,我々は免疫抑制療法に反応の乏しかった再生不良性貧血にeltrombopagを併用し造血細胞移植を回避できている3症例を経験した。1例は投与から1ヶ月で…

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  • 免疫チェックポイント阻害薬の血液系合併症と管理

    赤塚 美樹 臨床血液 64 (8), 782-790, 2023

    <p>T細胞上のCTLA-4やPD-1等の免疫チェックポイント(IC)分子は自己組織に対する不適切な免疫反応の抑制に関わっている。近年のIC阻害薬(ICI)の出現はがんの免疫療法を根本から変えた。かなりの進行がん患者がこの治療に反応し,一部では治癒も認められる。このような効果は,腫瘍微小環境内の腫瘍や周辺細胞とT細胞間のCD80/CTLA-4・PD-L1/PD-1間の阻害で得られる。しかしIC分…

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  • 結核性肩関節炎に対し人工肩関節置換術を施行した1例

    渡邊 能, 菊川 和彦, 出家 正佳 肩関節 47 (1), 226-229, 2023

    ...結核感染により破壊された肩関節に対し人工肩関節置換術を行い,良好な成績を得た1例を経験したので報告する.症例は72歳女性,3年前から右肩痛を自覚,疼痛・可動域制限が徐々に増悪し受診された.右肩可動域は屈曲60° ,外転40° ,外旋10° ,内旋大転子部に制限され,JOAスコアは29点であった.単純X線・CT検査で上腕骨頭の破壊像を,MRI検査で骨頭内に複数の嚢腫様病変を認めた.血液学的検査は概ね正常...

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  • 理事長経験者として学会設立10周年を迎えて申し上げておきたいこと

    檜山 英三 日本小児血液・がん学会雑誌 60 (3), 179-185, 2023

    ...</p><p>一つ目は,学会自体の成長であり,日本小児がん学会と日本小児血液学会の合併,NPO法人化から一般社団法人への変更,厚生労働省の委託事業特に小児・AYA世代のがんの長期フォローアップに関する研修事業(LCAS)の運用さらに日本医学会分科会への承認の経緯を示した.この点では,学会の経済基盤の安定化,多領域の医師を取り込める体制づくり:小児科,小児外科以外の領域,医師以外のメディカルスタッフを...

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  • 高齢化社会における栄養性貧血の診断と治療

    小船 雅義 臨床血液 64 (9), 900-907, 2023

    <p>最近,栄養性貧血が増加してきている。特に難治性鉄欠乏性貧血を経験することが多くなってきた。高齢者に多く見かけるが,比較的若年者で認められることがある。また併存疾患として慢性炎症性疾患,消化管疾患および慢性腎疾患が合併していると診断や治療に難渋することもある。多くの場合,適切な治療に変更することで貧血は改善する。また,鉄と同様に,銅および亜鉛は上部消化管粘膜のトランスポーターから吸収されるこ…

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  • 輸血合併症・副反応の理解と対応

    藤原 実名美 臨床血液 64 (9), 925-931, 2023

    <p>輸血療法は現代医療を支える重要な支持療法であり,頻用されている。溶血性副反応防止のためには交差適合試験が実施されるが,血漿に含まれる成分にも個体差があり,非溶血性副反応は今のところ予測が困難である。頻度の多い蕁麻疹や発熱反応以外は,実際経験することが稀で十分認知されておらず,特に輸血関連循環過負荷に関してはさらなる周知が必要と考えられている。輸血後GVHDは20年以上みられないが,未照射血…

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  • シングルセル解析による血液学研究

    坂田(柳元) 麻実子 臨床血液 64 (9), 1047-1052, 2023

    ...昨今,血液学領域では,分野を問わず,多くの研究にシングルセル解析技術が取り入れられている。本稿では,シングルセル解析技術の概要を紹介するとともに,これを用いた血液学研究の成果についても解説する。</p>...

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  • 後天性TTPの新たな治療戦略

    松本 雅則 臨床血液 64 (9), 1124-1130, 2023

    <p>血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は,全身の微小血管にvon Willebrand因子(VWF)と血小板を中心とした血小板血栓が形成される予後不良疾患である。後天性TTPでは,VWF切断酵素であるADAMTS13に対する自己抗体が産生され,ADAMTS13活性が著減する。1991年に新鮮凍結血漿を置換液とした血漿交換が後天性TTPに有効であることが報告されて以降,血漿交換と副腎皮質ステロイ…

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  • 骨髄腫の骨髄微小環境における免疫抑制系細胞の役割

    志村 勇司 臨床血液 64 (9), 1099-1105, 2023

    <p>従来から多発性骨髄腫では微小環境と病態との関連が注目されていたが,近年の免疫チェックポイント阻害薬の成功に伴い,微小環境,特に免疫細胞の状態について注目が集まるようになった。多発性骨髄腫の骨髄微小環境においては,腫瘍細胞の免疫原性低下,免疫チェックポイント分子の発現亢進に加え,制御性T細胞,骨髄由来抑制細胞,腫瘍関連マクロファージなどの免疫抑制系細胞が,腫瘍細胞や周囲の微小環境から分泌され…

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  • CAR-T細胞療法における副作用マネジメント

    後藤 秀樹 臨床血液 64 (9), 1203-1212, 2023

    <p>再発難治性の血液悪性疾患に対する新たな治療として,免疫チェックポイント阻害薬,二重特異性抗体,キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor, CAR)T細胞療法などの免疫細胞療法が登場している。CAR-T細胞療法は,抗がん剤で疾患コントロールが得られない症例に対して治癒もしくは長期的に疾患コントロールが得られる可能性がある治療法として,その注目度は大きい。一方で,サ…

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  • ゲノム医療における倫理

    山田 崇弘 臨床血液 64 (9), 1235-1242, 2023

    <p>近年の医療においては遺伝情報を利用することが日常的となっている。医療倫理の原則に基づいてさまざまな場面でその活用について検討してゆくことが求められる。また,その運用においては遺伝情報の特性を理解した上で,研究や臨床における各種ガイドライン等を遵守した医療を行う必要がある。これから主流となる網羅的な遺伝情報を活用するゲノム医療においては,意図せずに得られる二次的所見の適切な取り扱いを十分理解…

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  • リンパ腫診療におけるリキッドバイオプシーの有用性

    冨田 章裕 臨床血液 64 (9), 1053-1065, 2023

    <p>悪性リンパ腫各病型に蓄積する遺伝子変異が同定されている。変異の同定は疾患の確定診断のみならず,適切な標的治療薬の選択,微少残存病変解析などにおいて,今後ますます重要性が増すことが予想される。しかし悪性リンパ腫の臨床現場におけるDNA検体の採取は時に困難であり,また病勢進行や寛解時における検体の経時的な確保は,白血病診療に比べると極めて困難である。リキッドバイオプシーは,患者の血漿や脳脊髄液…

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  • 急性リンパ性白血病に対するCD19-CAR-T細胞療法

    高橋 義行, 西尾 信博 臨床血液 64 (9), 1184-1191, 2023

    <p>キメラ抗原受容体遺伝子導入T(CAR-T)細胞療法は,2017年に米国で,2019年に本邦でCD19抗原を標的とするCAR-T細胞が再発・難治の急性リンパ性白血病に対して承認された。その優れた有効性にも関わらずCAR-T細胞療法後に半数程度が再発することが報告されており,再発予測因子の検討や,CAR-T細胞療法後の再発を減らす目的でどのような症例で造血細胞移植を行うべきは重要な課題となって…

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  • 急性骨髄性白血病患者に対する非血縁者間骨髄移植後に発症したトキソプラズマ脳症

    平手 友章, 北澤 宏展, 坂口 大俊, 秋田 直洋, 長谷川 千尋, 山元 佳, 忽那 賢志, 三木田 馨, 森 毅彦, 濱 麻人, 吉田 奈央 臨床血液 64 (10), 1275-1279, 2023

    <p>症例は16歳男性。急性骨髄性白血病の第2寛解期に,非血縁者間骨髄移植を行った。重度の口腔粘膜障害を認め,sulfamethoxazole/trimethoprim(ST)合剤を含む内服が困難となった。移植後35日目に生着したが,60日目頃より霧視および頭痛が出現し,眼底検査で網膜出血および黄斑浮腫を,頭部MRI検査で左被殻に結節性病変を認めた。前房水の検索はできなかったが,髄液PCR検査で…

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  • 慢性好中球性白血病/慢性好酸球性白血病

    川島 一郎, 桐戸 敬太 臨床血液 64 (10), 1326-1334, 2023

    <p>慢性好中球性白血病(chronic neutrophilic leukemia, CNL)は好中球を中心とした骨髄系細胞の腫瘍性増殖を認める疾患であり,近年では<i>CSF3R</i>(<i>colony stimulating factor 3 receptor</i>)T618I変異が高頻度で陽性となることが報告されている。治療薬として,JAK阻害薬であるruxolitinibが注目さ…

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  • 多発性骨髄腫に対するCAR-T療法

    李 政樹 臨床血液 64 (11), 1456-1464, 2023

    <p>再発・難治性多発性骨髄腫の治療において,BCMA抗原を標的とした免疫・細胞療法が精力的に開発されている。CAR-T細胞療法は,再発・難治症例に対する優れた治療法として報告され,2つのBCMA標的CAR-T細胞製品のイデセルとシルタセルは,前治療数の多い再発・難治性骨髄腫に対して優れた奏効効果を示し,我が国では3剤(プロテアソーム阻害薬・免疫調節薬・抗CD38抗体薬)既治療の再発・難治症例の…

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  • CAR-T療法における副作用マネージメント

    新井 康之 臨床血液 64 (11), 1465-1469, 2023

    <p>キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法は,強い効果とともに,特徴的な合併症を有する。CAR-T細胞療法後の副作用としては,サイトカイン放出症候群(CRS)と免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS)が最も特徴的であろう。CRSやICANSの派手な臨床像の影に隠れてしまうものの,管理上重要な副作用が他にも多く存在する。本稿では,CAR-T投与後に留意すべき副作用に関して,実経験に…

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  • Busulfanを含む造血幹細胞移植前処置中に生じた重度精神障害

    井本 直人, 藤原 慎二, 渡邉 実紀, 鈴木 祐太朗, 川口 拓哉, 伊藤 理恵, 堺 寿保, 倉橋 信悟 臨床血液 64 (11), 1415-1420, 2023

    <p>症例1は66歳男性。骨髄異形成症候群に対しfludarabine/busulfan(BU)を前処置とした非血縁者間同種末梢血幹細胞移植を予定した。Day−3のBU 3日目の投与後より幻覚を訴え,day−2のBUは中止したが,同日幻覚悪化に続き昏睡・呼吸抑制を来した。Day−1以降症状は消失した。症例2は69歳男性。マントル細胞リンパ腫の中枢神経再発に対し,thiotepa(TT)/BUを前…

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  • 悪性リンパ腫に対するCAR-T療法

    下山 達 臨床血液 64 (11), 1447-1455, 2023

    <p>本邦において2019年に再発/難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(R/R DLBCL)に対して,CAR-T細胞療法(tisagenlecleucel)が承認された。それ以降DLBCLの治療戦略に大きなパラダイムシフトがおき,現在では3種類のCAR-T製剤が保険承認され,国内45施設(2023年5月現在,各社HP調べ)で治療が可能となっている。2022年には再発/難治性濾胞性リンパ腫が,…

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  • 白血病キメラスクリーニング検査が陰性であったtype I <i>CBFB::MYH11</i>を有する急性骨髄性白血病

    内海 紗江, 島 隆宏, 久原 千愛, 仙波 雄一郎, 林 正康, 瀧川 健, 吉野 明久, 南 満理子, 松尾 弥生, 栗山 拓郎, 赤司 浩一, 前田 高宏, 谷口 修一, 衛藤 徹也 臨床血液 64 (12), 1503-1507, 2023

    <p>27歳女性。汎血球減少を認め入院,骨髄検査でmyeloperoxidase陽性芽球を52.2%認め急性骨髄性白血病と診断した。白血病キメラスクリーニング検査で<i>CBFB::MYH11</i>を含むキメラ遺伝子は検出されなかったがG-band法による染色体分析でinv(16)(p13.1q22)を認め,fluorescence <i>in situ</i> …

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  • 結晶子径6nmの酸化チタンナノ粒子のラットにおける90日間反復経口投与毒性試験

    赤木 純一, 水田 保子, 赤根 弘敏, 畝山 瑞穂, 豊田 武士, 小川 久美子 日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P2-158-, 2023

    ...死亡例はなく、体重、尿検査、血液学、血清生化学、臓器重量において、投与に関連した毒性影響は観察されなかった。病理組織学的検査では、消化管内腔、鼻腔、気管、回腸のパイエル板、頸部および縦隔リンパ節、気管支関連リンパ組織に黄褐色の物質の沈着が認められたが、その周辺には免疫応答などの生体反応は観察されなかった。...

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  • ラットを用いた各種媒体の反復気管内投与による影響

    堀田 佳資, 今井 則夫, 土井 悠子, 河部 真弓, 青木 豊彦 日本毒性学会学術年会 50.1 (0), P2-183-, 2023

    ...投与後、一般状態観察及び体重測定を実施し、実験開始8日後及び7日間の回復期間終了後に剖検し、血液学的検査、血液生化学的検査、器官重量、肺胞洗浄液の検査並びに病理組織学的検査を実施した。</p><p>【結果】実験期間を通して動物に死亡はみられず、一般状態観察においては、sham群を除くすべての投与群で投与後一過性に捻髪音がみられた。また、体重は各媒体群に影響はみられなかった。...

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  • 神経浸潤による末梢神経障害を合併した原発性マクログロブリン血症

    法岡 菜月, 栗田 尚樹, 加村 雄哉, 坂本 竜弘, 加藤 貴康, 横山 泰久, 錦井 秀和, 小原 直, 坂田(柳元) 麻実子, 高橋 華, 中馬越 清隆, 石井 亜紀子, 松岡 亮太, 南木 融, 玉岡 晃, 千葉 滋 臨床血液 64 (1), 18-22, 2023

    <p>51歳男性。3年以上の経過で徐々に進行する手袋靴下型のしびれを契機に受診した。IgM型M蛋白血症と形質細胞様B細胞の骨髄浸潤を認め,リンパ節腫大と脾腫を伴っており,原発性マクログロブリン血症(Waldenström’s macroglobulinemia, WM)と診断した。神経伝導検査で脱髄主体の神経障害を認めた。血清抗ミエリン関連糖タンパク質(MAG)抗体は陰性であった。腓腹神経生検で…

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  • 免疫抑制療法後に<i>ASXL1</i>変異クローンで造血が回復した重症再生不良性貧血

    清水 百萌, 錦井 秀和, 飯塚 正, 松岡 亮太, 栗田 尚樹, 坂本 竜弘, 横山 泰久, 加藤 貴康, 末原 泰人, 服部 圭一朗, 丸山 ゆみ子, 南谷 泰仁, 小川 誠司, 坂田(柳元) 麻実子, 千葉 滋, 小原 直 臨床血液 64 (1), 49-53, 2023

    <p>再生不良性貧血(AA)は自己免疫に伴う造血不全症であるが,次世代シークエンス技術の発展により,AAの病態には遺伝子変異を有するクローン性造血が関わっていることが明らかとなってきた。今回我々は,治療中に造血巣が<i>ASXL1</i>変異を有するクローン造血で置換された症例を経験したので報告する。症例は慢性糸球体腎炎にて維持透析中に汎血球減少を認めた58歳の男性。骨髄は著明な低形成性骨髄でM…

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  • 血液疾患に合併した新型コロナウイルスオミクロン株感染症の転帰

    萩原 政夫, 林 泰儀, 中島 詩織, 今井 唯, 中野 裕史, 内田 智之, 井上 盛浩, 宮脇 正芳, 池田 啓浩, 小沼 亮介, 熱田 雄也, 田中 勝, 今村 顕史 臨床血液 64 (1), 3-8, 2023

    <p>新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)オミクロン株流行期において,当院血液内科外来通院中に感染し,発症した11症例について報告する。化学療法が施行中の5例中4例が中等症-II以上となり,内2例はその後重症化し死亡に至った。一方で未施行の6例では1例のみが中等症-IIに進行するも重症化は免れ,残り5例は軽症から中等症-Iに留まった。モノクローナル抗体治療薬が発症から8日以内に投与された4…

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  • 再発時に異なる組織型を示したmethotrexate関連リンパ増殖性疾患

    加藤 丈晴, 今泉 芳孝, 糸永 英弘, 佐藤 信也, 安東 恒史, 澤山 靖, 一瀬 邦弘, 三好 寛明, 大島 孝一, 宮﨑 泰司 臨床血液 64 (2), 97-101, 2023

    <p>症例は55歳,女性。1993年に関節リウマチ(RA)を発症した。2004年にmethotrexate(MTX)の投与が開始され,2006年にはinfliximab(IFX)が追加された。2007年に持続する発熱,全身リンパ節腫脹,肝臓の結節性病変が出現した。2008年に鼠径部リンパ節と肝病変の生検を施行し,古典的ホジキンリンパ腫の病理所見を認め,MTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)…

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  • 慢性播種性血管内凝固症候群の経過中に発症した自己免疫性凝固第V/5因子欠乏症

    石森 紀子, 若林 睦, 桜井 健二, 須田 明, 惣宇利 正善, 尾崎 司, 一瀬 白帝 臨床血液 64 (2), 113-118, 2023

    <p>83歳男性。大動脈弁閉鎖不全症,胸腹部大動脈瘤,慢性骨髄性白血病,慢性腎臓病のため他院にて加療されていた。腰椎圧迫骨折のため当院整形外科に入院中,下血を認め当科紹介となった。凝固検査でPT-INR 7.1,aPTT>200秒と著明な異常所見を認め,自己免疫性凝固因子欠乏症と判断しprednisoloneによる免疫抑制療法を開始した。血液凝固第V/5因子(FV/5)活性≤3%,FV/5インヒ…

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  • Azacitidineによる橋渡しで2回の同種造血幹細胞移植を行った再発若年性骨髄単球性白血病

    大城 登喜子, 百名 伸之, 阿部 仁美, 浜田 聡, 中西 浩一 臨床血液 64 (3), 187-192, 2023

    <p>若年性骨髄単球性白血病(JMML)は造血幹細胞移植が唯一の根治療法とされているが,移植成績の向上に寄与する前治療について未だ優位性を示す方法は示されていない。近年,移植までの橋渡しとしてメチル化阻害薬であるazacitidine(AZA)の有効性が報告されており,本邦でも2021年7月より前方視的臨床研究が開始されている。今回,初回移植前および再発時にAZA療法にて橋渡しを行い,2回の移植…

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  • 同種造血幹細胞移植後の抗MDA5抗体陽性急速進行性間質性肺疾患に有効であった3剤併用免疫抑制療法

    中村 侑平, 川村 俊人, 松見 信平, 松本 和久, 田中 里奈, 石川 拓斗, 松岡 あかり, 米野 友啓, 河村 匡捷, 竹下 絢子, 吉野 望, 吉村 一樹, 三﨑 柚季子, 後明 晃由美, 岡田 陽介, 玉置 雅治, 楠田 待子, 赤星 佑, 亀田 和明, 和田 英則, 木村 俊一, 仲宗根 秀樹, 賀古 真一, 伊達 洋至, 神田 善伸 臨床血液 64 (4), 250-254, 2023

    <p>34歳男性。KMT2A-MLLT1陽性急性骨髄性白血病の第1寛解期で,busulfan/高用量cyclophosphamideを前処置としてHLA適合の妹より同種末梢血幹細胞移植を施行した。Day14に生着し以降は寛解を維持した。重篤な移植片対宿主病も認めなかったが,経口cyclosporin(CsA)10 …

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  • BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチン接種後に発症したEBウイルス関連リンパ増殖性疾患

    田中 茜, 川口 岳晴, 今留 謙一, 原 暁 臨床血液 64 (4), 277-282, 2023

    <p>【背景】EBウイルス関連リンパ増殖性疾患(EBV-LPD)はEBウイルスが感染したリンパ球が体内で増殖する疾患の総称であり,稀少かつ難治性の疾患である。【症例】79歳男性。2021年6月にBNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンを接種し,翌日に発熱し,2週間以上持続したため当院受診した。血液検査で肝酵素上昇,汎血球減少,凝固異常,フェリチン,sIL-2R高値を認め,全身CTで肝…

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  • 後天性血友病Aに対するthromboelastographyによるモニタリングの経験

    王 碩林, 永春 圭規, 鈴木 和貴, 蜂矢 健介, 西村 廣明, 松本 剛史, 俵 功 臨床血液 64 (5), 338-342, 2023

    <p>後天性血友病Aは第VIII因子に対する自己抗体の産生とそれによる出血症状を呈する重篤な疾患である。近年,後天性血友病における総合的な凝固能評価としてthromboelastography(TEG)の有用性が報告されつつあるが実臨床での報告は少ない。症例は35歳男性。腹部手術後の遷延する腹腔内出血を契機に後天性血友病Aと診断されバイパス止血療法および免疫抑制療法による治療が行われた。経過中に…

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  • 血友病診療の現状とこれから

    柏倉 裕志, 大森 司 臨床血液 64 (5), 377-388, 2023

    <p>血友病は,X染色体連鎖型の先天性出血性疾患である。血友病の治療は,致死的な出血の制御に加え,生活の質に影響を及ぼす合併症である血友病性関節症の発症抑制を目的とした,凝固因子製剤の定期補充療法が基本となっている。しかし,凝固因子製剤の半減期は極めて短いため,小児期からの頻回にわたる静脈内注射は患者にとって負担が大きい。半減期延長型凝固因子製剤は,タンパク質の薬物動態を改善することで治療の負担…

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  • 多発性骨髄腫における細胞遺伝学異常の温故知新

    塚本 拓 臨床血液 64 (5), 411-417, 2023

    <p>多発性骨髄の病態形成や治療抵抗性の獲得には,染色体・ゲノム不安定性を背景とした多数の染色体・ゲノム異常が関与する。なかでも染色体異常に関する情報は,患者毎の予後因子として重要であるのみならず,治療戦略の選択の指標ともなる点で重要であり,日常診療のみならず新規治療開発における評価項目としても不可欠である。近年,われわれは新たな染色体異常の診断技術を開発した。一つはイメージングフローサイトメー…

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  • ピギーバックトランスポゾンを用いたメモリー機能の高いCAR-T細胞の作製

    柳生 茂希 臨床血液 64 (5), 418-426, 2023

    <p>遺伝子改変型キメラ抗原受容体T細胞療法(CAR-T療法)は,B細胞性腫瘍から骨髄性腫瘍や固形腫瘍への応用が進んでいるものの,その有効性は限定的であり,その基礎的メカニズムの解明と克服に向けて様々な研究が行われている。最近の研究成果から,CAR-T細胞の形質,特に,メモリー機能を有し,投与後も体内で疲弊せずに持続的に増幅するCAR-T細胞形質が,臨床効果と密接に関わっていることが明らかとなっ…

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  • 骨髄不全症におけるクローン性造血の臨床的意義と病型境界

    鈴木 隆浩 臨床血液 64 (6), 474-481, 2023

    <p>再生不良性貧血(AA)は自己免疫による造血幹細胞の傷害によって成熟血球の産生障害をきたす疾患であるが,一部の症例には遺伝子変異を伴うクローン性造血が潜在する。<i>PIG-A</i>変異や<i>BCOR/BCORL1</i>変異,HLAクラスIアリルの異常を伴う症例は,免疫抑制療法が奏効しやすく予後良好とされているが,<i>DMNT3A</i>や<i>ASXL1</i>変異などMDS関連変…

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  • HLA半合致移植

    杉田 純一 臨床血液 64 (6), 515-523, 2023

    <p>移植後cyclophosphamideを用いたHLA半合致移植(PTCyハプロ)は世界的に増加しており,日本では2020年についにハプロ移植の件数が血縁者間HLA適合移植を上回った。日本のレジストリーデータを用いた後方視的研究ではPTCyハプロはHLA一致の非血縁者移植や臍帯血移植と同等の成績であることが示され期待がもたれる。PTCyハプロは当初,骨髄非破壊的前処置後の骨髄移植で開発された…

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  • 疾患登録と前方視的観察研究の現状と課題―造血器腫瘍―

    多賀 崇, 齋藤 明子 日本小児血液・がん学会雑誌 60 (2), 109-112, 2023

    ...とした臨床研究の実施に際し,症例の病態を正確に把握するための中央診断/検査体制や,試料の二次利用を念頭においたバンキング体制の構築を,「日本小児がん研究グループ血液腫瘍分科会(JPLSG)における小児血液腫瘍性疾患を対象とした前方視的研究(CHM-14)」のもとで行っている.一方,疾患名や転帰などを継続的に収集し,疾患発生数や死亡数,及びその年次推移などを明らかにする疫学調査が,2006年から日本小児血液学会...

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  • サルベージ療法後にpegfilgrastimを投与した再発/難治性悪性リンパ腫患者における外来管理の安全性と実施可能性

    岩﨑 浩己, 山崎 聡, 門脇 賢典, 南 満理子, 額田 智幸, 高瀬 謙 臨床血液 64 (7), 596-607, 2023

    <p>目的:日本人の再発・難治性悪性リンパ腫患者を対象に,救援療法後にpegfilgrastim(PEG-G)を投与し,外来管理の安全性と実施可能性を探索的に検討した。方法:本研究は,単一施設,非盲検,非ランダム化,前向き介入研究である。外来患者群は外来管理基準を満たした患者を組み入れ,第2サイクル以降の化学療法のために入院し,各サイクルの終了2日後に単回皮下注射でのPEG-G投与後に退院した。…

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  • 造血器腫瘍におけるRNAスプライシング異常

    吉田 澪奈, 山内 浩文, 佐久本 真梨夢, 吉見 昭秀 臨床血液 64 (7), 646-653, 2023

    <p>様々な腫瘍においてスプライシング因子をコードする遺伝子の変異が繰り返し見られ,グローバルなミススプライシングを受けた遺伝子が新規の蛋白質アイソフォームの産生やRNA分解による蛋白質喪失を通して発がんにつながる機序が近年の研究で一部明らかになってきた。ミススプライシングを受けた遺伝子の一部は,その発現の変化を通して発がんに関わるシグナル伝達や細胞内プロセスに影響を与え,また他の遺伝子発現制御…

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  • 「血液専門医」と「臨床検査専門医」

    山﨑 悦子 臨床血液 64 (8), 799-802, 2023

    ...<p>第84回日本血液学会学術集会では「血液女子,夢を語る」と題した女性医師キャリアシンポジウムが開催された。1人の医師として,血液専門医の選択,そして血液専門医キャリアを継続しつつ,検査専門医キャリアへと歩んでいる私のキャリアパスおよびその時々の夢が少しでも誰かの参考になればと紹介させていただくこととした。...

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  • 骨髄異形成症候群と関連する免疫病態と治療

    中島 秀明 臨床血液 64 (8), 753-763, 2023

    <p>骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndromes, MDS)は造血幹細胞のゲノム変異を基盤に発症するクローン性造血不全であり,血球減少を主徴とする低リスクMDSと白血病への進展を特徴とする高リスクMDSに分類される。低リスクMDSでは以前から炎症や免疫活性化が病態形成に深く関与していることが報告され,近年の研究で自然免疫系を介した炎症経路活性化とそれによる細胞死亢進が疾…

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  • 難治性小児白血病の分子病態の研究

    滝田 順子 臨床血液 64 (8), 810-815, 2023

    <p>近年の集学的治療の進歩により,小児がんの治癒率は,全体として約70%となっている。最も顕著な治療成績の向上は,急性リンパ性白血病であり,約50年前には10%程度であった治癒率は,現在,約90%に手が届いている。しかし,一方で,小児白血病の再発・難治例は依然として予後不良であり,多くの場合,標準治療は存在しない。またたとえ救命し得たとしても,成長障害,内分泌障害などの重篤な晩期合併症が深刻な…

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  • 日本小児血液・がん学会10周年をお祝いして

    細井 創 日本小児血液・がん学会雑誌 60 (3), 186-191, 2023

    ...<p>財団法人がんの子供を守る会(当時表記)の「医療者情報交換セミナー」から1985年に結成された小児がん研究会が母体となり設立された日本小児がん学会と1960年に設立された日本小児血液学会とが,思いを一つにし,設立された本学会の10周年をお祝いするとともに,今後益々の発展を祈念いたします....

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  • IRAK1/4阻害によるCML幹細胞を標的とした新規治療戦略

    田中 洋介, 北村 俊雄 臨床血液 64 (9), 1007-1018, 2023

    <p>慢性骨髄性白血幹細胞(CML幹細胞)は細胞周期が静止期,チロシンキナーゼ阻害薬抵抗性という特性からCML再発の原因となる。したがって,その根絶はCML根治に重要である。筆者らはimatinib抵抗性の静止期CML幹細胞では炎症シグナルを介してNF-κBが活性化していることを見出した。この炎症シグナルの阻害薬(IRAK1/4阻害薬)とimatinibとの併用はCML幹細胞を効果的に排除でき,…

    DOI Web Site PubMed ほか1件

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