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林 貴啓 いのちの未来 2 53-72, 2017-02-18
本論文の目的は、環境倫理における想像力の役割を探り、その不可欠の次元として想像力を導入することである。道徳的想像力は、メタファーやプロトタイプ、物語、フレームといったさまざまな想像的資源をとおして倫理的な思考と行為の背景・文脈を提供することで、倫理の基本的な条件をなしている。自然や他種の生物、未来世代といった遠隔のものに対する私たちの行いの影響が問われる環境倫理の事柄は、倫理における想像力の不可…
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駒田 安紀 いのちの未来 2 18-36, 2017-02-18
本稿は、慢性の病いにおける素人の病因帰属に関する実証的な研究に焦点を当て、その発展 および動向を考察するものである。素人の知識が着目され始めた1980 年代より、2014 年に至 るまでの社会学における英文文献をWeb of Knowledge Core Collectionにて収集し、47件の論文を対象とした。1980年代はその数は少ないが、1990年代より徐々に増加し、素人の病因帰属に関する…
Skrivanic Peter いのちの未来 2 84-105, 2017-02-18
This article invokes the longstanding anthropological distinction between ‘gifts’ and ‘commodities’ to explore some of the diverse ways in which contemporary practitioners of complementary and …
奥井 遼 いのちの未来 2 1-17, 2017-02-18
本稿は、近年の身体論的現象学の知見を参照しながら、「暗黙」であるとされている「身体的主体」の経験を把捉することを目指すものである。身体が学ぶ「知」は、理解すること・実行することが一つにまとまった「行為的知識」であるとして、近年、教育学において注目が集ま っている。例えばチェスやテニスのプレーヤーといったエキスパートは、抽象的な表象や、単純な反射に頼らずに、状況の差異を鋭く識別することで複雑な動作…
山本 佳世子 いのちの未来 2 120-140, 2017-02-18
今日、「死生観の空洞化」という事態において、死生観を育むための「生と死の教育」の必要性が指摘されている。学校での「生と死の教育」が期待される一方で限界も指摘されており、地域や家庭での取り組みも改めて期待される。では、死やいのちの理解の発達段階に応じて、「この世ならぬ世界」「この世ならぬ存在」への理解を含む死生観はどのように形成され、そうした死生観を育むためにどのような働きかけが有効なのだろうか。…
山崎 浩司 いのちの未来 2 106-119, 2017-02-18
本稿の目的は、長野県松本地方で、研究者と地域住民が「共感の倫理」に根ざしつつ協働 し、死別体験者が生活するコミュニティを、彼らにとって共感的で互助的なものに変化させていくまちづくりの実践について、報告し考察することである。第1 節では実践の背景と目的を説明する。第2節では実践の方法論的参照枠である参加型アクションリサーチについて解説する。続いて第3節では、松本地方における地域協働的な死別体験者支…
福島 智子 いのちの未来 2 73-83, 2017-02-18
本稿では、現代イタリアにおける高齢者施設での死について先行研究を中心に論じる。英米を中心とした高齢者施設における死にゆく過程についての研究では、予後診断が難しい認知症高齢者の場合、死にゆく者の役割を担うことができず、自らの死を主宰する権利をはく奪された高齢者の現状が指摘されている。一方、イタリアの高齢者施設においてSDM(共同意思決定)やAD(事前指示書)の欠如が指摘されているものの、その詳しい…
近藤 (有田) 恵 いのちの未来 2 37-52, 2017-02-18
What is the focus of Death-and-Life Studies? (In Japan, we use the English term “Death-and-Life Studies” rather than “Thanatology, ” for the field covers not only “death, ” but concerns both “life” …
Skrivanic Peter いのちの未来 1 193-216, 2016-01-15
社会科学において、アジアの医療は、一方的な「西洋化」で画一化するグローバル化の初期モデルに対する有力な応答として出現してきた。それとともに、そうした医療は、グローバルな文化的流動が多方面にわたっていること、また「西洋の残り」という枠組みのもとに同化され得なかったことが証明されている(Hsu and Hoeg 2002; Scheid …
サヴァレスキュ ジュリアン, 澤井 努 いのちの未来 1 100-114, 2016-01-15
今では、体外受精や着床前診断を利用することで優生学的に胚を選別できるようになっている。着床前診断は、一般に染色体異常や遺伝的異常を見つけるために用いられているが、原理的には例えば髪の色や目の色などの遺伝形質を検査するために用いられることも考えられる。遺伝学的研究は知能のような複雑な形質の遺伝学的基盤を解明するまでに急速に発展しており、ある家族に見られる犯罪行動に影響する遺伝子が特定されてきている…
株本 千鶴 いのちの未来 1 75-99, 2016-01-15
本稿の目的は、欧米社会における「ホスピスの医療化」を扱った先行研究において「ホスピスの医療化」がどのように理解されているかを考察し、日本の「ホスピスの医療化」の実態を探求するにあたっての示唆を導き出すことである。社会学の「医療化」概念をもとに「ホスピスの医療化」を扱った先行研究を「専門化」、「制度化」、「商業化」に分類し、「ホスピスの医療化」がどのように理解されているかを考察した。その結果、研究…
ベッカー カール いのちの未来 1 1-1, 2016-01-15
Danely Jason いのちの未来 1 170-192, 2016-01-15
本稿では、現代の都市化された社会において家族の高齢者介護の実践や「語り」をより良く理解するために、人類学、哲学、心理学、宗教学で用いられる「思いやり(compassion)」、「ケア(care)」、「共感(empathy)」などの概念を援用する。思いやりは、時に心身ともに疲れ果てた状態において積極的に求められるものであり、ケアの倫理実践や共感的想像力を必要とする。両者は、日本人の持つ思いやりがい…
林 貴啓 いのちの未来 1 129-146, 2016-01-15
「道徳的想像力」は、日本ではまだ認知度がきわめて低いが、英語圏の倫理学では特に注目を集めており、一般の論議でも使用されている概念である。本論考は、この道徳的想像力の実践・理論双方に対する示唆を探ってゆくことを目的とする。背景には、主流の合理主義的な倫理学に対する反省がある。実践的な意思決定の場面で倫理を実効あるものにするために欠かせない能力として、想像力の意義が注目されているのである。代表的な理…
赤塚 京子 いのちの未来 1 34-55, 2016-01-15
本稿の目的は、デザイナー・ベビー議論における「開かれた未来への権利」の検討を通じて、新優生学思想の背景にある「自由」の一端を明らかにすることである。親の自己決定を推奨し、生殖補助技術を通じて「望ましい」子どもを持つことを擁護する新優生学であるが、生まれてくる子どもの自由にも一定の配慮を示している。具体的には、J. Feinberg …
山崎 浩司 いのちの未来 1 3-3, 2016-01-15
千石 真理 いのちの未来 1 115-128, 2016-01-15
内観心理療法は、不安神経症や強迫神経症、アルコール依存症や摂食障害等に適用され、その有効性が検討されてきた。いくつかの先行研究では、内観療法によって近親者に対する否定的な認知が肯定的に変化し、自己中心的な生き方が変容して、他人や社会のためにお返しをしようという意識が生まれ、その結果として、種々の症状や問題行動が改善されるとされる。そこで、本研究では、1 週間の「集中内観」を体験した46 …
澤井 努 いのちの未来 1 4-33, 2016-01-15
本稿の目的は、ヒトiPS 細胞研究の道徳的共犯性の議論が、日本のヒトiPS 細胞研究にいかなる示唆を与えるのかを検討することにある。研究手順としては、第1章(「1.」)で本研究の背景と目的を描いた後、第2章(「2.」)でヒト胚の道徳的地位に関する三つの立場を紹介し、それぞれの立場におけるヒトES 細胞研究への含意を確認する。続いて第3章(「3.」)では、ヒトiPS …
林 貴啓 いのちの未来 1 2-2, 2016-01-15
Benedict Timothy O. いのちの未来 1 147-169, 2016-01-15
本論文では1995年に起きた阪神・淡路大震災以後に普及した心理的サポートを指す「心のケア」という用語について考察をする。方法としては、震災の前後に『読売新聞』と『朝日新聞』に掲載された心のケアに関する記事を分析し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)との関係性を検討した後、心のケアがホスピスの文脈から語られるものから、トラウマの意味を含むものへと拡大したことを示す。また、心のケアへの社会的認識の高…
駒田 安紀 いのちの未来 1 56-74, 2016-01-15
アトピー性皮膚炎にて教育入院中の患者の経験を明らかにするため、T 病院の教育入院患者9 名を対象にインタビュー調査を行った。教育入院には、症状悪化のみならず、可視性や同居家族への負担など、精神的苦悩も強い契機となっていた。治療の面では、(1)ステロイド使用への抵抗感の持続、(2)食事の質への満足と量への不満、院内の人間関係について、(3)スタッフの関わり方に対する高い評価、(4)周囲の患者との相…
龍谷大学アジア仏教文化研究センター 2014年度 研究報告書 91-, 2015-03-31
機関リポジトリ
駒田 安紀, 近藤(有田) 恵, 赤澤 千春, 中嶋 文子, カール ベッカー 看護管理 24 (4), 382-386, 2014-04-10
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伊藤 雅之 宗教研究 84 (1), 186-192, 2010
記事種別: 書評
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人環フォーラム 25 2009-11-02
<巻頭言>星空を眺めながら真夜中の語るを聴く
HANDLE
カール ベッカー 「エコ・フィロソフィ」研究 別冊 = Eco-philosophy Supplement 1 15-25, 2007-03
DOI 機関リポジトリ
人環フォーラム 19 2006-09-30
<巻頭言>究極の他者
人環フォーラム 14 2004-03-05
<巻頭言>五〇年ぶりの修学旅行
人環フォーラム 12 2002-03-28
<巻頭言>宙吊りにされた近代
木谷 仁美 国際生命情報科学会誌 20 (2), 471-472, 2002
本研究の目的は、祈りの考察を通じて、日本のターミナルケアにおけるスピリチュアルケアのあり方を提示することである。本発表では祈りを、1)代行の祈り 2)人を媒介とする祈り 3)不治の病の不安・無意味を癒す祈りという3つの観点から考察する。そして、日本のターミナルケア領域で議論されている、癌患者とその家族の心理的及びスピリチュアルな痛みの、祈りによる癒しの可能性を示唆する。
DOI 医中誌
人環フォーラム 10 2001-03-26
<巻頭言>三内丸山のこと
深尾 立, カール ベッカー 生命倫理 8 (1), 130-131, 1998