インフルエンザAウイルスとRSウイルス感染が関与した市中肺炎症例の比較検討

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タイトル別名
  • Comparison of Community-Acquired Pneumonia in Relation to Influenza A and RS Virus Infections
  • インフルエンザ Aウイルス ト RS ウイルス カンセン ガ カンヨ シタ シ ヂュウ ハイエン ショウレイ ノ ヒカク ケントウ

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抄録

過去2年間に市中肺炎142例を経験した. これらの全例に呼吸器系ウイルスの抗体価測定をしたところ, 2年ともに市中肺炎の症例が増加する冬の時期に一致して, インフルエンザAウイルスの急性感染が10例, RSウイルスの急性感染が6例に認められた. 2種類のウイルス感染が関与した市中肺炎の臨床像を比較した結果, いずれも高齢者に好発していたが,インフルエンザウイルス群は38℃以上の高熱, 頭痛, 全身倦怠感といった全身症状が強く, 重複感染と考えられる一般細菌がうち9例で検出され, Streptococcnsus pneumoniaeが4例と多かった. 一方, RSウイルス群は発熱も38℃未満で, 全身症状が乏しい傾向がみられ, 重複感染と考えられる一般細菌はうち4例で検出され, Haemophilus influenzaeが3例であった. 重症度は, インフルンザウイルス群が3例で人工呼吸管理を要し, うち2例死亡したのに対し, RSウイルス群は1例も人工呼吸管理を要さず, 予後に違いが認められた. 予防として, インフルエンザウイルス群は1例もインフルエンザワクチン接種歴がなかったことから, 流行前における特に高齢者へのインフルエンザワクチン接種の重要性が示唆された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 75 (1), 42-47, 2001

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (4)*注記

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参考文献 (20)*注記

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