細胞内酵素活性からみた血液透析ならびに持続携行式腹膜透析患者の好中球殺菌能の検討

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タイトル別名
  • Flowcytomeric Analysis on Neutrophil Intracellular Enzyme Activity in Patients on Hemodialysis and Continuous Ambulatory Peritoneal Dialysis
  • サイボウ ナイ コウソ カッセイ カラ ミタ ケツエキ トウセキ ナラビニ ジゾク ケイコウシキ フクマク トウセキ カンジャ ノ コウ チュウキュウ サッキンノウ ノ ケントウ

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抄録

維持血液透析 (HD), 腹膜透析 (CAPD) 患者の好中球殺菌能をoxidative burst (OB), elastase (EL), cathepsin (CA), collagenase (CO) などの細胞内酵素活性ならびにin vitroでのTNF-α に対する反応性の面から検討し以下の成績が得られた. HD群では非刺激時の酵素活性は健常群と相違なかったが, TNF-α にて刺激した場合にはCO以外は全て有意に低値であり, CAPD群では非刺激時の活性値は健常群と同等であり, 刺激時にはEL活性のみ低値であった. また, TNF-α 刺激時の活性値はHD群がCAPD群よりも低値であった. TNF-α 刺激に対する反応性はHD群やCAPD群では低下していたが, この傾向はHD群でより顕著であった. この反応性に有意な影響を及ぼす要因として, HD群ではOBに対しては透析期間, β2-MGやPTHが, ELとCAに対しては透析期間のみが, またCAPD群のOBとCAに対してはβ2-MGやPTHがあげられ, それぞれ反応性と有意な逆相関を示した. しかし透析期間と好中球機能には関連性は認められなかった. 以上の成績より, 長期透析を行っている慢性腎不全患者の好中球では, oxidative burstで示される酸化的殺菌メカニズムのみならず, elastase, cathepsinなどの非酸化的メカニズムにも障害が存在し, その程度は血液透析患者においてより顕著である. 特にTNF-α に代表されるサイトカイン刺激に対する反応が不充分であることは腎不全患者の易感染性に大きく関与しているものと思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 74 (1), 73-81, 2000

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (21)*注記

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