血液培養から分離されたコアグラーゼ陰性ブドウ球菌の薬剤感受性とteicoplanin耐性について

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タイトル別名
  • Drug Sensitivity and Teicoplanin Resistance of Coagulase-negative <I>Staphylococcus</I> Isolated from Blood Culture
  • ケツエキ バイヨウ カラ ブンリ サレタ コアグラーゼ インセイ ブドウ キュウキン ノ ヤクザイ カンジュセイ ト teicoplanin タイセイ ニ ツイテ
  • Drug Sensitivity and Teicoplanin Resistance of Coagulase-negative Staphylococcus Isolated from Blood Culture

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抄録

1992年から2001年の10年間に血液培養から分離されたcoagulase-negative Staphylococcus spp (CNS) の薬剤感受性とteicoplanin (TEIC) 耐性について調査し, その臨床背景について解析を行った. CNSに対する各薬剤の耐性率はvancomycin (VCM), arbekacin (ABK), linezolid (LZD) では耐性株が存在しなかったが, TEICでは最小発育阻止濃度 (MIC) が16μg/ml以上を示す株が10.3%存在した. その内訳はS.epidermidis 56株, S.capitis 1株, S.haemolyticus 4株であった. その他の薬剤ではminocycline (MINO) が6.1%と比較的低値であった.methicillin-resistant CNS (MRCNS) は67.1%であった. 年度別では1995年から1997年にかけて耐性率が高値を示す薬剤が多かった. 抗ブドウ球菌薬と考えられる4薬剤のMIC50/90はそれぞれVCM: 1/2μg/ml, TEIC: 1/16μg/ml, ABK: ≦0.25/1μg/ml, LZD: 1/2μg/mlでABKがMIC50/90ともに最も低値を示した. TEICとの交差耐性率は耐性群 (MIC: 16μg/ml以上) ではMINOを除き各薬剤ともに交差耐性を示した. 特にTEIC耐性群ではMRCNSが90.2%と高率であった. 診療科別では小児科病棟でTEIC耐性株が30.8%と最も高率に検出された. TEIC耐性群と感受性群 (≦0.25μg/ml) の臨床背景の比較では年齢やIVHの使用, 予後などでは有意差は認められなかったが, 使用薬剤では第4世代セファロスポリン系薬およびカルバペネム系薬の使用でTEIC耐性株の検出に有意差 (p:<0.01) が認められた. 今回の調査でCNSに対するTEIC耐性株の存在が明らかとなった. 今後も調査を継続して耐性化を監視するとともに, 院内感染症への関与や治療経過についても検討していく必要があると思われる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 78 (1), 46-53, 2004

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (19)*注記

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