乳児院におけるレジオネラ症の集団発生例

• 酒井 英明

  福島県立会津総合病院小児科

• 赤井畑 美津子

  福島県立会津総合病院小児科

• 新妻 一直

  福島県立会津総合病院内科

• 細矢 光亮

  福島県立医科大学医学部小児科

書誌事項

タイトル別名

• An Outbreak of Legionellosis in a Nursery
• ニュウジイン ニ オケル レジオネラショウ ノ シュウダン ハッセイレイ

抄録

本邦で初めての, 乳幼児におけるレジオネラ症の集団発生例を経験した.<BR>2002年6月中旬より福島県若松乳児院において, 咳嗽, 喘鳴などの呼吸器症状と発熱を呈する患児が続出した.レジオネラ症の集団発生を疑い, レジオネラ尿中抗原検査を施行したところ8名が陽性であった.<BR>性別は男児5名, 女児3名で, 年齢は11カ月から1歳10カ月であった. 基礎疾患がある患児は1名であり, 入院加療を要した患児は6名であった.<BR>鼻汁, 咳嗽, 発熱は全例に認められ, 喘鳴は8名中7名にみられた. 咳嗽期間は平均9.9日, 発熱期間は平均4.5日であった.<BR>入院患児6名における検査成績では, 白血球数7, 500～15,300/μl, CRP0.2～2.5mg/dlであった.胸部エックス線写真所見では浸潤陰影 (右下肺野, 左下肺野) を2名に認めた.<BR>治療に関しては, マクロライドまたはテトラサイクリン系抗菌薬を4名に, 他の4名にはβ-ラクタム系抗菌薬を使用した.<BR>感染源の検査として, 浴室のシャワーヘッド, 浴槽, 給水末端, 洗濯場などの12カ所から検体採取を行ったが, レジオネラ菌は検出されなかった.推測の域ではあるが, 感染源としては加湿器, もしくは院内消毒で使用した噴霧器が強く疑われた.<BR>自験例を通して, レジオネラ症には軽症例が存在することが明らかとなり, また, 軽症例では, マクロライドやテトラサイクリン系抗菌薬を使用しなくとも, 治癒する可能性が示唆された.

収録刊行物

• 感染症学雑誌

  感染症学雑誌 78 (5), 404-410, 2004

  一般社団法人 日本感染症学会

キーワード

• legionellosis
• outbreak
• nursery
• infant
• urinary antigen

詳細情報

• CRID: 1390282680025886080
• NII論文ID: 10013662899
• NII書誌ID: AN00047715
• DOI: 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.78.404
• ISSN: 1884569X
• ISSN: 03875911
• NDL書誌ID: 6976059
• PubMed: 15211862
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I6976059
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2004236992
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • PubMed
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可