小児インフルエンザ菌性髄膜炎の抗菌療法に関する検討

書誌事項

タイトル別名
  • Studies of Treatment for <I>Haemophilus influenzae</I> Type b Meningitis in Children
  • ショウニ インフルエンザキンセイ ズイマクエン ノ コウキン リョウホウ ニ カンスル ケントウ
  • Studies of Treatment for Haemophilus influenzae Type b Meningitis in Children

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抄録

過去11年間のインフルエンザ菌性髄膜炎患者41例について, 抗菌療法を中心とした検討を行った. 起炎菌株は全て血清型b型 (Hib) であった. 治療開始時の選択抗菌薬はceftriaxone (CTRX) が最多の23例であり, 以下ampicillin+cefotaxime (CTX) 9例, CTRX+panipenem/betamipron5例, CTX2例の順であった. 治療開始後の変更例を含めると, 全41例中31例が主にCTRXにより治療されていた. 急性期のDICなどを除く頭蓋内合併症は8例 (19.5%) で認められ, 硬膜下水腫が4例, 硬膜下膿瘍が3例, 梗塞が1例であった. 死亡例はなかったが, 後遺症は7例 (17.1%) で認められ, 難聴てんかん, 半身麻痺, 発達遅滞が各1例と硬膜下腹腔シャント残存3例であった. いずれも治療抗菌薬への感受性が良好であったにも拘わらず, 合併症・後遺症を生じていた. 2001年以降にCTXのMICが0.12~1μg/mLと高値を示す株が5例より分離され, うち3例でCTRXのMICも0.12~0.5μg/mLと上昇していたが, 全例がCTRXの投与により完治した.現時点では薬剤耐性化に伴う治療失敗例はなく, 現行のCTRX中心の抗菌療法は引き続き有効と考える. しかし, Hibにおける第3世代セフェム耐性化は進行しており, 今後の動向により新規併用療法や既存薬の適応拡大なども考慮する必要がある.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 81 (1), 51-58, 2007

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (16)*注記

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