HCVあるいはHBV感染者における歯科治療時の自己申告調査

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タイトル別名
  • HCV or HBV Infection Self-disclosure to Dentists
  • HCV アルイワ HBV カンセンシャ ニ オケル シカ チリョウジ ノ ジコ シンコク チョウサ

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抄録

C型肝炎ウイルス (HCV) もしくはB型肝炎ウイルス (HBV) 感染を認識し, 慢性肝疾患を治療する目的で久留米大学病院消化器病センターを受診した患者を対象に, 歯科医療機関を受診した際に肝疾患の病歴を申告しているかどうかの有無を調査した.2006年10月24日から2007年4月24日までに209名の患者が調査に参加した.そのうち, 感染者であることをいつも申告する患者の割合は59.8% (125名), 申告することもあるが, しないこともある患者の割合は12.0% (25名), 申告しない患者の割合は28.2% (59名) であった.申告しない最大の理由は, 「基礎疾患の有無を質問されなかったから」 (71.2%) であった.「歯科医院で嫌がられるかもしれないから」という理由や (11.9%), 「肝疾患の罹患を知られたくなかったから」という隠蔽理由は10.2%であり, これらの理由を挙げる割合は, 女性よりも男性の方が多かった.<BR>以上の結果から, 肝臓専門医は肝疾患患者が歯科治療に際し, どのように対処すればよいかなどの助言を行うべきだと考えられる.さらに何よりも重要なのは, 歯科医療の安全を確保して感染を防止するために, 歯科医療従事者が全患者にスタンダードプレコーションを実施することであり, また, 歯科医による院内感染対策を奨励し, 援助するために国が適切な措置を講じることが望まれる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 82 (3), 213-219, 2008

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (6)*注記

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参考文献 (20)*注記

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