塵埃感染の疑われたノロウイルスによる集団感染性胃腸炎事例

書誌事項

タイトル別名
  • An Outbreak of Gastroenteritis Caused by Norovirus : Suspected Due to Dust Transmission
  • ジンアイ カンセン ノ ウタガワレタ ノロウイルス ニ ヨル シュウダン カンセンセイ イチョウエン ジレイ

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抄録

2008 年4 月下旬,長野県内の結婚式披露宴会場において,ノロウイルスによる集団感染性胃腸炎事例が発生した.ノロウイルス感染症患者は披露宴参加者だけでなく,当該会場を担当したフロアスタッフからも発生した.これに対し,調理従事者および他の会場を担当したフロアスタッフは,ノロウイルス感染症に罹患しなかった.感染経路を明らかにするため,患者の発生した会場を掃除した専用の掃除機3 台のダストを採取し,real-time RT-PCR 法を用いノロウイルスの検索を行ったところ,すべて陽性であった.また,発症した披露宴参加者便,フロアスタッフ便およびダスト由来ノロウイルス株のカプシド領域の一部の塩基配列(280 塩基)を決定したところ,100%相同であった.これらのことから,本事例の感染経路は,何らかの原因で披露宴会場の床がノロウイルスに汚染し,披露宴の間に塵埃とともにノロウイルスに暴露した,いわゆる塵埃感染であった可能性が強く示唆された.さらに,ダスト中のノロウイルスRNA 量は1.7×104~1.6×105 copies/g であったことから,汚染ダストは感染源の一つとして特に注意が必要であると考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 84 (6), 702-707, 2010

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (30)*注記

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