無芽胞嫌気性菌の実験的マウス単独感染皮下膿瘍と培養培地および患者検体中の低級脂肪酸のガスクロマトグラフィー (GLC) による比較について

書誌事項

タイトル別名
  • Comparison of short chain fatty acids detected in pus of experimentally induced subcutaneous abscesses in mice by non-sporing anaerobes, culture medium and human clinical specimens by gas-liquid chromatography
  • ム ガホウ ケンキセイキン ノ ジッケンテキ マウス タンドク カンセン ヒカ

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抄録

嫌気性菌感染症の起炎菌として, 患者検体より分離されたBacteroides fragilis, Fusobacterium varium, Peptococcusasaccharolyticus, Peptostreptococcus anaerobius と標準株のBacteroides asaccharolyticus (Rm-1), Veillonellaalcalescens (ATCC 17745) を用い, 5%ムチン浮遊液としてdd系マウスの背部に1回皮下接種した.B.asaccharolyticus以外では, 各菌接種により単独感染膿瘍を形成し, B. asaccharolyticusでは湿性壊疽を起こした.マウスの膿中のvolatile fatty acids (VFA) とnon-volatile fatty acids (NVFA) について, gas-liquidchromatography (GLC) で分析を行い, 培養培地および患者検体のクロマトグラムと比較検討した.その結果, 各菌の単独感染膿中のVFAは培養培地のVFAと同様のパターンが得られたが, NVFAでは両者のパターンは異なっていた.ヒトの膿の分析において, 2種類以上の嫌気性菌のVFAは, 同じ菌を用いてマウスに単独感染させた場合の膿から検出されるVFAの総和と考えられるパターンが得られた.好気性菌および通性嫌気性菌感染材料からは, GLC分析において, VFAのiso-Butyric (iB), Butyric (B), iso-Valeric (iV), Valeric (V) iso-Caproic (iC), Caproic (C) の各acidはいずれも検出されないので, これらのacidのうち, いずれかを産生する嫌気性菌については, その存在あるいは菌種同定に, GLC分析を利用することができると考える.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 56 (6), 457-465, 1982

    一般社団法人 日本感染症学会

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