共同凝集反応, ラテックス凝集反応および向流免疫電気泳動法による感染症の迅速診断法について

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タイトル別名
  • Serological Techniques for Detection of Capsul Antigens on Clinical Specimens
  • キョウドウ ギョウシュウ ハンノウ,ラテックス ギョウシュウ ハンノウ オヨビ

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抄録

細菌感染症の迅速診断を目的として, 共同凝集反応 (CoA), ラテックス凝集反応 (LA) および向流免疫電気泳動法 (CIE) を用い, 臨床材料中の肺炎球菌およびH. influenzaeの泰膜抗原の検出を試みた.<BR>莢膜抗原に対するCoA, LAおよびCIE法の感度比較では, CoAがLAおよびCIEより4~32倍高い感度として認められた.<BR>髄液: 136件中化膿性髄膜炎と診断された2例の髄液より, H. influenzaetype bと肺炎球菌の莢膜抗原がそれぞれ検出された. 肺炎球菌性髄膜炎症例では, 抗生剤が投与された後も2日間にわたり髄液中にCoAおよびLAで抗原が検出された.<BR>喀痰: 莢膜抗原の検出はCoA, LAにより97検体中16件に認められた. とりわけCoAではH. influenzae type bを2件, H. influenzaetype a, c~f 7件および肺炎球菌抗原を11件検出したが, 一方, LAでは9件が陽性となった.<BR>CIEではH. influenzae type bによる化膿性髄膜炎症例の髄液と, 肺炎球菌性肺炎の患者喀痰の合計2例のみ陽性となった.<BR>CoAは臨床材料中の肺炎球菌やH. influenzae抗原の検出を目的とする他のLAやCIEなどの血清学的テストと比較しても, このような細菌感染症に対する迅速診断法としての有用性が認められた。

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 58 (1), 15-22, 1984

    一般社団法人 日本感染症学会

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