HIV 感染症合併ニューモシスチス肺炎の治療効果判定における ガリウムシンチの有用性と治療期間の検討

  • 高濱 宗一郎
    国立病院機構九州医療センター内科・臨床研究センター
  • 郭 悠
    国立病院機構九州医療センター内科・臨床研究センター
  • 中嶋 恵理子
    国立病院機構九州医療センター内科・臨床研究センター
  • 南 留美
    国立病院機構九州医療センター内科・臨床研究センター
  • 山本 政弘
    国立病院機構九州医療センター内科・臨床研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • The Usefulness of the Scan with <sup>67</sup>Ga-citrate to Assess the Therapeutic Effect on Pneumocystis pneumonia with HIV-1 Infection
  • HIV カンセンショウ ガッペイ ニューモシスチス ハイエン ノ チリョウ コウカ ハンテイ ニ オケル ガリウムシンチ ノ ユウヨウセイ ト チリョウ キカン ノ ケントウ

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抄録

【背景】ニューモシスチス肺炎(Peumocystis pneumonia:PCP)は時に重篤な呼吸不全を呈する事もあるが,治療法が確立しているエイズ指標疾患の一つである.しかし治療期間に関してはいまだ議論されている.【目的】PCP の免疫再構築症候群(Immune reconstitution inflammatory syndrome:IRIS)の発症予防として,67Ga シンチによるPCP の治療効果判定に着目し,適切な治療期間を検討した.【方法】2005 年1 月から2012 年12 月までに当院でHIV 感染合併PCP 治療を受けた21 例に対して,IRIS の危険因子として,治療開始21 日の時点での67Ga シンチによる画像的治療効果判定および治療期間を後方視的に検討した.【結果】PCP 治療開始21 日時点での67Ga シンチによる疾患活動性残存を認めていたのは17 例(81%)であった.またPCP-IRIS を発症したのは4 例であり,すべて治療開始21 日の時点で67Ga シンチ陽性であった.PCP の治療期間に関しては21 日間,28 日間,35 日間の3 群に分類し,PCP-IRIS を発症した4 例とも28 日間であったが,67Ga シンチ陽性で治療期間が35 日間の11 例はすべてPCP-IRIS を認めなかった.一方,67Ga シンチ陰性は4 例であり,治療期間は21 日間であった.すべてPCP-IRIS は認めなかった.【考察】今回の検討では,治療効果判定として67Ga シンチの有用性が示唆された.さらに67Ga シンチで疾患活動性を認めなければ,治療後早期にcART 開始してもIRIS は起こさず,また疾患活動性があっても,14 日間の追加治療を行えば,治療後早期のcART 導入もPCP-IRIS を抑制できると考えられた.また本疾患治療期間のガイドラインは1984 年に作成されている.ST 合剤(trimethoprim-sulfamethoxazole)耐性PCP も出現しており,PCP-IRIS 予防の点からも,治療期間の延長も含めガイドラインの再考が必要と考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 89 (2), 254-258, 2015

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (14)*注記

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