さいたま市内で複数発生した腸管出血性大腸菌O157:H-感染事例におけるStx2 サブタイプが細菌検査に及ぼした影響

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タイトル別名
  • Influence of Stx2 Subtype on Bacteriological Identification of Outbreaks of EHEC O157:H- Infections in Saitama City
  • サイタマ シナイ デ フクスウ ハッセイ シタ チョウカン シュッケツセイ ダイチョウキン O157:H-カンセン ジレイ ニ オケル Stx2 サブタイプ ガ サイキン ケンサ ニ オヨボシタ エイキョウ

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抄録

<p>2013年,さいたま市内で2つの腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Escherichia coli;EHEC)O157感染事例が発生した.それぞれ異なる医療機関から腸管出血性大腸菌感染症発生届が提出され,ベロ毒素(Vero toxin;VT,または志賀毒素Shiga toxin;Stx)について,一方にはStx1産生,もう一方にはStx1およびStx2産生と記載されていた.通常別事例とされる内容であったが,保健所による聞き取り調査により,2事例に共通食があったことが判明した.最終的には,それぞれの事例の3名と1名からEHECが分離され,これら4株を当センターで解析した.その結果,全てO157:H-であり,Stx 遺伝子(stx)解析の結果,stx1 およびstx2 を保有していることが明らかになった.性状やPFGEの泳動パターンも一致したため,この4 株は同一クローン由来であると示唆された.一方,これらの菌株が保有していたStx2 遺伝子は,サブタイプのstx2c だった.Stx2のサブタイプの中には,Stx産生性を確認する検査法で検出感度が低いものがある. 一方の医療機関の発生届にStx2の記載がなかったのは,Stx産生性検査のこのような特性が影響した可能性が示唆された.聞き取り調査により発生届の内容が異なる2 事例の関連性が疑われ,菌株の検査によりそれが裏付けられた.本事例から,地方衛生研究所の検査体制の整備や精度の確保,さらに,疫学調査における各機関の相互の連携や迅速な情報のやり取りができる協力体制の確立が重要と考える.</p>

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 90 (6), 792-797, 2016

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (8)*注記

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