分離検査によるMycoplasma pneumoniae肺炎流行の追跡

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  • Survey on Epidemic of Mycoplasma pneumoniae pneumonia by Isolation Method
  • ブンリ ケンサ ニ ヨル Mycoplasma pneumoniae ハイエン

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抄録

1983年1月-1985年12月の3年間に神奈川県において, 異型肺炎患者493名の咽頭スワブを検体とした, 分離検査によるMycoplasma pneumoniae (M.pn) 肺炎調査を実施した.同時に分離培地の検討を行った.<BR>1983年23例 (分離率24%), 1984年115例 (51%) および1985年35例 (20%) の計173例 (35%) の患者からM.pnが分離された.分離率の最も高かった1984年の月別分離成績から, 本県ではこの年の7月をピークとして, 6-11月に亘るM.pn肺炎流行が認められた.<BR>M.pn肺炎例の出現は, 流行前年の後半から7-9歳を主とした学童間に始まり, 流行年の6月になると, これらの学童間でまず増加した後, やや遅れて7, 8月の夏期休暇中に他の年齢層の小児へと広まる様相がうかがえた.これらのことから, M.pn感染が7-9歳の学童により家族内に持ち込まれ, 夏期体暇中に家族内感染が頻発し, 夏期にピークをもつ流行となったものと推察された.<BR>M.pn肺炎例は7歳をピークとして4-12歳の小児に多く, 3歳以下では少なかった.また異型肺炎に占める本肺炎の比率は小児の年齢とともに上昇する傾向があった.<BR>咽頭スワブからのM.pn分離には, 従来の非加熱ウマ血清加二層培地より加熱 (56℃, 30分) ウマ血清加二層培地がやや良好であった.また, 卵黄培地およびγ-グロブリン除去コウシ血清加二層培地はいずれもM.pn分離に利用可能であり, 加熱ウマ血清加二層培地に比べ分離率はやや劣ったものの, 培養日数を短縮する効果を発揮した.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 61 (5), 547-554, 1987

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (6)*注記

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