自閉性障害幼児に対するPECSによるコミュニケーション指導に関する事例検討

書誌事項

タイトル別名
  • Communication Training Using the Picture Exchange Communication System (PECS) : Case Study of a Child With Autistic Disorder
  • ジヘイセイ ショウガイ ヨウジ ニ タイスル PECS ニ ヨル コミュニケーション シドウ ニ カンスル ジレイ ケントウ

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抄録

研究の目的 : 無発語で、話し言葉以外のコミュニケーション行動も乏しい自閉性障害の幼児1名を対象に、コミュニケーション行動を形成・拡大するためにPECS訓練を行い、その効果を検討した。研究計画 : 6つのフェイズとフォローアップからなる条件変更デザインを用いた。場面 : 対象児の家庭において母親によるPECS訓練を実施した。参加者 : 自閉性障害のある幼児1名とその母親を対象とした。介入 : 逆向チェイニングやプロンプトフェイディングを用いて、欲しい物品を要求するために母親にカードを手渡しに行く行動を形成した。また、母親からの質問にカードで答える訓練を行った。行動の指標 : 家庭におけるPECS訓練の正反応率、家庭の非訓練場面におけるPECSを用いた自発的要求行動の生起数、日常生活における発話の種類とその出現時期を行動の指標とした。結果 : 対象児は比較的短期間でフェイズVIまで達成し、PECSを用いた自発的要求行動は徐々に増加した。母親以外の家族に対してもPECSを用いて自発的に働きかけるようになった。PECSを用いた返答行動は獲得が困難であった。PECS訓練開始以降徐々に発話が増加したものの頻度は少なかった。結論 : コミュニケーション行動を形成・拡大するために母親によるPECS訓練を行うことは有効であること、PECSにおける返答行動の訓練手続きは今後詳細に検討する必要のあることが示唆された。

収録刊行物

  • 行動分析学研究

    行動分析学研究 19 (2), 161-174, 2005

    一般社団法人 日本行動分析学会

被引用文献 (1)*注記

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