自動化法によるRPR測定を用いた梅毒患者の治療効果判定について

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タイトル別名
  • Evaluation of the Serological Response to Syphilis Treatment Using an Automated RPR Test
  • ジドウカホウ ニ ヨル RPR ソクテイ オ モチイタ バイドク カンジャ ノ チリョウ コウカ ハンテイ ニ ツイテ

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抄録

近年わが国で繁用されるようになった自動化法によるRPR 測定の,梅毒患者の治療効果判定における有用性について検討した.当院で2010 年2 月から2012 年5 月の間に梅毒の投薬治療を行った男性患者68 名(うちHIV 陽性者57 名)の治療開始時および治療開始後の血清RPR の変動を倍数希釈法と自動化法で同時測定した.治癒判定基準には倍数希釈法で適用されている,「6 カ月以内に治療開始時との比が25%以下に低下すること」を用いた. 治療開始後の各月に測定された症例のうち,治療6 カ月後の時点で,倍数希釈法では20 例中19 例(95%),自動化法では17 例(85%)が25%以下となり基準を満たした.自動化法で25%以上となった3 例は,治療開始時との比が25.4%,25.9%,37.9%であった.全症例中,6 カ月後までに判定基準を満たさなかった症例はいずれの測定方法においても9 名(13.2%)認められたが,全症例で12 カ月後までに基準を満たした.治療開始後の各月におけるRPR の治療開始時との比をt 検定で比較したところ,1 カ月後から5 カ月後までの測定例では自動化法において有意に低く(p<0.05),特に1 カ月時,2 カ月時の早期での差は顕著であった(p<0.01). さらに,両法での測定結果を,HIV 感染別に比較したところ,治療開始時との比は倍数希釈法の治療1 カ月後と2 カ月後,自動化法の1 カ月後において,HIV 陽性者で有意に高値であったが,6 カ月後の最終採血期間においてはHIV 陰性者との有意差を認めなかった. 以上の結果より,梅毒患者血清の自動化法によるRPR 測定は,HIV 陽性,陰性に関わらず従来法である倍数希釈法と同様の基準で治療効果判定に用いることができ,特に治療開始後早期において有用であることが認められた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 88 (3), 275-281, 2014

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (6)*注記

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