ノロウイルス (ノーウォーク様ウイルス) とA型肝炎ウイルスに汚染されたウチムラサキ貝による食中毒事例

書誌事項

タイトル別名
  • A Food Poisoning Outbreak Caused by Purple Washington Clam Contaminated with Norovirus (Norwalk-like Virus) and Hepatitis A Virus
  • ノロウイルス ノーウォーク ヨウ ウイルス ト Aガタ カンエン ウイルス ニ オセン サレタ ウチムラサキガイ ニ ヨル ショクチュウドク ジレイ

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抄録

2001年12月11日に, 浜松市内の飲食店で喫食した1グループ57名中22名が, 翌12日から下痢・嘔吐・発熱等の急性胃腸炎症状を呈した. 患者便4検体からEIA法でノロウイルス (ノーウォーク様ウイルス, NV) genogroup I (GI) とgenogroup II (GII) の両方が検出され, 同じ4検体についてNV検出のRT-PCR法およびリアルタイムPCR法を行ったところ, すべての検体からNV遺伝子が検出された.<BR>NVによる急性胃腸炎食中毒発生から約1カ月後に, 同じグループの4名がA型肝炎を発症した. この4名の患者便について, A型肝炎ウイルス (HAV) 検出のRT-PCR法およびリアルタイムPCR法を行ったところ, すべての検体からHAV遺伝子が検出された.<BR>両疾患を発症した患者グループはウチムラサキ貝の唐辛子蒸しを喫食しており, この貝が原因食材として疑われたため, 原材料である中国産冷凍ウチムラサキ貝の同一ロット品についてウイルス学的検査を行ったところ, NV GIとGII遺伝子およびHAV遺伝子が検出された. そのため, 本事例はNVとHAVに汚染されたウチムラサキ貝を原因とする食中毒であると断定された.<BR>本事例の発生により, A型肝炎の原因として輸入魚介類の関与が明らかになるとともに, 二枚貝を調理する場合は十分に加熱するよう指導・啓発していく必要性があると考えられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 77 (2), 89-94, 2003

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (6)*注記

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参考文献 (13)*注記

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