肺クリプトコッカス症の臨床的検討

  • 倉澤 卓也
    京都呼吸器真菌感染症研究会国立療養所南京都病院呼吸器科
  • 池田 宣昭
    京都呼吸器真菌感染症研究会国立療養所南京都病院呼吸器科
  • 佐藤 敦夫
    京都呼吸器真菌感染症研究会国立療養所南京都病院呼吸器科
  • 井上 哲郎
    京都呼吸器真菌感染症研究会国立療養所南京都病院呼吸器科
  • 石田 直
    京都呼吸器真菌感染症研究会倉敷中央病院内科
  • 岡崎 美樹
    京都呼吸器真菌感染症研究会神戸市立中央市民病院呼吸器内科
  • 種田 和清
    京都呼吸器真菌感染症研究会天理よろづ相談所病院呼吸器内科
  • 西山 秀樹
    京都呼吸器真菌感染症研究会日赤和歌山医療センター呼吸器科
  • 鈴木 雄二郎
    京都呼吸器真菌感染症研究会日赤和歌山医療センター呼吸器科
  • 網谷 良一
    京都呼吸器真菌感染症研究会京都大学胸部疾患研究所呼吸器感染症科
  • 久世 文幸
    京都呼吸器真菌感染症研究会京都大学胸部疾患研究所呼吸器感染症科

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Study of Pulmonary Cryptococcosis
  • ハイ クリプトコッカスショウ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

肺のクリプトコッカス症 (肺ク症) の早期診断のための要点を検索するため, 肺ク症の患者32例 (男性20例, 女性12例, 平均年齢53歳) を対象に, その臨床所見および画像所見を検討した. 肺ク症の発症に影響した可能性のある各種の既往・合併症を有する症例は14例で (HIV感染例はない), 18例にはこれらの既往・合併症はない.発見動機では, 有症状受診例は18例で, その症状は概して軽度であったが, 胸痛の頻度がやや高い事が注目される. 入院時検査所見では, 重症例や合併症の病態を反映して, 一部に炎症所見や栄養状態に異常も認められたが, 異常値を呈する例は少なく, 異常所見の乏しさがむしろ注目される. 胸部単純X線所見では, 多発陰影が約2/3を占め, 多くは限局性の結節様・浸潤様陰影を呈した. 空洞は10例に, 肺門部リンパ節腫大は3例に認められた. その分布はほぼ各肺葉の容積を反映しており, 間質性肺炎像の1例と多葉に広がる区域性浸潤影の2例を除き, 病巣の広がりは軽度であった.胸部CT像では, 病巣は多く胸膜近傍部にみられ, 一部は胸膜に接する. 空洞壁は整で, その壁は厚く, 多く遍在性であった. また, 3例では陰影内に気管支透豪像も認められた.<BR>肺ク症は径気道的に感染し, 多く慢性的に経過する. 以上の臨床像・画像の特徴を考慮し, 本症も念頭に, 慎重に検査計画を立てる事が肝要と思われる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 72 (4), 352-357, 1998

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (12)*注記

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