市中総合病院における感染性心内膜炎症例の検討

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Investigation of Infective Endocarditis at a Community Hospital in Japan
  • 市中総合病院〔沖縄県立中部病院〕における感染性心内膜炎症例の検討
  • シ チュウ ソウゴウ ビョウイン オキナワ ケンリツ チュウブ ビョウイン ニ オケル カンセンセイシン ナイ マク エンショウレイ ノ ケントウ

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抄録

市中総合病院における感染性心内膜炎の状況を把握するため, 1985年1月から1997年3月までの12年間に沖縄県立中部病院に入院した患者のうち, 確定診断のついた45例を対象に症状, 検査所見, 合併症などについて検討した. また, 年齢, 死亡率, 歯科処置の既往, 起因菌, 感染部位については, 既に当院より報告されている1977年~1984年までの49例と合わせて検討した.<BR>平均罹患年齢は47歳であったが, 最近では患者の高齢化が目立った. 死亡例は19例20%で50歳以上が大半を占めたが, 最近の45例における死亡率は13%で以前と比較すると低下していた. 歯科処置の既往は20年間で8%に得られたが, 心内膜炎との関連性は不明であった.<BR>起因菌はα-streptococci33%, staphylococcus aureusが17%の順に多かった. 血液培養陰性例は11%で, 培養採取前に抗菌薬を投与されていた群に有意に多かった. 感染部位では僧帽弁27%, 大動脈弁24%で, 人工弁感染が12%にみられた. 最近の45症例における自覚症状では発熱がほぼ全例にみられ, 身体症状では心雑音が98%に, 特徴的な皮膚粘膜所見が27%にみられた. 合併症では心不全が27%と多く, なかでも人工弁患者は半数が心不全を起こした. 大塞栓症の合併では脳塞栓症が最も多かった.<BR>今回の調査では欧米での報告とほぼ類似した結果であった. 本疾患の診断にあたっては, 以上に述べたような特徴を念頭におきながら, 血液培養を積極的に採取していく姿勢が必要と思われる.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 74 (1), 51-56, 2000

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (16)*注記

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