HIV感染のコレセプター, CXCR4, を標的とした抗HIV薬の開発

書誌事項

タイトル別名
  • A Study of Anti-HIV Compounds which Interfere the Virus Entry via Coreceptor CXCR4
  • 第73回 日本感染症学会総会 学術講演会座長 推薦論文 HIV感染のコレセプター,CXCR4,を標的とした抗HIV薬の開発
  • ダイ73カイ ニホン カンセンショウ ガッカイ ソウカイ ガクジュツ コウエンカイ ザチョウ スイセン ロンブン HIV カンセン ノ コレセプター CXCR4 オ ヒョウテキ ト シタ コウHIVヤク ノ カイハツ

この論文をさがす

抄録

合成ペプチドT22は, カブトガニの血液細胞に存在する抗菌ペプチドであるpolyphelnusin IIをリード化合物として合成した, 18アミノ酸残基からなる塩基性ペプチドである. このT22は, T-tropic HIV-1感染のコレセプターであるCXCR4に作用して, HIVの標的細胞内への侵入を阻害する事が知られている. 我々は, T22の陽電荷を減少させた14アミノ酸残基から成る低分子類似体を合成し, その中でT134と命名したペプチドがさらに強い抗HIV活性を示し, 細胞毒性が減少することをみいだした. さらに, T134はPBMCへのCXCR4抗体の結合を阻止したが, CCR5抗体の結合にはなんら効果をおよぼさなかった. また, T134の抗HIV作用機序としては, これがMT-4細胞へのSDF-1の結合を阻害した事から, CXCR4と相互作用する事によって感染を阻止することが予想された. 他の研究グループから, バイサイクラムAMD3100やD-Arg9つから成るペプチドALX40~4Cなどの物質が, T22やT134と同様にCXCR4に作用してT-tropic HIV-1の侵入を阻害することが報告されている. さらに, カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス (HHV-8/KSHV) にコードされているケモカイン様物質, vMIP IIは, T-tropic HIV-1のみならずM-tropic HIV-1の感染も阻止し得る. 本研究では, AMD3100に対して耐性となったHIV-1を用いて, 野生型HIV-1株との抗HIV活性を比較する事により, T134, ALX40-4C, vMIP IIは, AMD3100耐性HIV-1株に対して交差耐性が見られず, CXCR4へ相互作用する部位がそれぞれ異なっている可能性を示した.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 74 (3), 237-244, 2000

    一般社団法人 日本感染症学会

参考文献 (19)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ