Urosepsis症例の背景因子と臨床経過

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タイトル別名
  • Background Factors and Clinical Course of Patients with Urosepsis
  • Urosepsis ショウレイ ノ ハイケイ インシ ト リンショウ ケイカ

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抄録

過去13年間に当科で経験したurosepsis 31症例 (32エピソード) についてその背景因子と臨床経過について検討した. なお, urosepsisの定義は発熱時 (≧38℃) に尿と血液から同じ菌種が分離された場合とした. 原疾患は悪性腫瘍が大部分であった. 検討方法は発熱経過パターンから31症例を, 「responder」, 「partial responder」, 「non-responder」の3つの群の症例に分け, それぞれの背景因子 (細菌側因子, 宿主側因子) と臨床経過について比較検討した. その結果, 細菌側因子では, Pseudomonas aeruginosaが「responder」のみならず「non-responder」でも分離頻度が高かったが, Escherichia coliは「responder」と「partial responder」で分離頻度が高く, E. coliによるurosepsisは抗菌化学療法に反応しやすい傾向が認められた. 発症の契機は26例で明らかであったが, 残りの6例では明らかな契機なくurosepsisが発症した. 明らかな契機を認めた症例の全例が尿路操作によるものであった. 宿主側因子では, 呼吸・腎不全などがあると治療に難渋することが判明した. 治療経過は, 「responder」では単独の抗菌薬で全例治癒可能であったが,「partial responder」あるいは「non-responder」では半数以上で抗菌薬の併用もしくは途中変更が結果的に必要であった. なお, その後の経過で感染死した症例は経験しなかった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 73 (7), 652-657, 1999

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (9)*注記

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