名古屋市厚生院における高齢者敗血症の検討

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タイトル別名
  • Study on Sepsis in the Elderly at Nagoyashi-Koseiin Geriatric Hospital
  • ナゴヤシ コウセイイン ニ オケル コウレイシャ ハイケツショウ ノ ケントウ

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抄録

1985年から1994年までの10年間に名古屋市厚生院で経験した70歳以上の高齢者敗血症112例, 125エピソード (平均83.8±7.5歳) について, 臨床的解析を中心に検討した.<BR>1) 高齢者敗血症患者の背景は, 全例が基礎疾患を有し,「寝たきり」72.8%, 尿路カテーテル留置51.2%, 中心静脈カテーテル留置48.8%, 抗菌薬の投与40.8%を認めた.<BR>2) 分離菌はEscherichia coli 21.2%, Staphylococcus aureus 18.4%, Coagulase-negative staphylococci (CNS) 17.4%, Candida albicans 6.1%などの順であった.年次的にはグラム陽性球菌の増加とグラム陰性桿菌の減少を認めた.加齢に伴いMethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), E.coli, 複数菌感染の頻度は増加し, CNsおよびE.coliを除くグラム陰性桿菌の頻度は減少した.<BR>3) 原因となった原発感染巣は尿路系24.8%, 中心静脈カテーテル21.6%の順であり, 31.2%は不明であった.<BR>4) 主な臨床所見は38.0℃ 以上の発熱88.0%, 頻脈60-8%, 悪寒戦陳44.0%, チアノーゼ32.8%であった.<BR>5) 合併症としてmultiple organ failure (MOF) 33.6%, 敗血症性ショック26.4%, disseminated intravascular coagulation (DIC) 22.4%を認めた.<BR>6) 予後の検討では65.6%は生存し, 34.4%は死亡した.死亡群では生存群に比し, 発症時の体重, 血圧, 血清アルブミン, 総コレステロール値は有意に低く, 心拍数, GOT, LDH, BUNは有意に高値を示した.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 69 (10), 1141-1150, 1995

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (22)*注記

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