作業履歴を基にしたダイナミックパーソナルスケジューラ

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  • Dynamic Personal Scheduler based on Job History

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抄録

仕事のスケジュールの管理は、変更が多く把握しにくい、複数の人と調整をする必要がある、何を優先的にすべきかわからないといった問題点がある。今、オフィスでは一人一台コンピュータが使え、さらにそれらがネットワークでつながっている環境が普及してきている。われわれは、従来の手帳やカレンダーを超えたスケジュール管理を、計算機ネットワーク環境で構築することで、ビジネスの効率を上げる可能性があると考える。計算機ネットワーク環境における、従来のスケジュール管理ツールの課題を以下にまとめる。(1)スケジュールデータの入力:ユーザは締め切り日や進捗状況といった仕事に関するデータを入力する必要があり、この負担はスケジュール管理ツールの普及を妨げている。すなわちスケジュール管理ツールは、スケジュール入力の負担を上回る利益を、ユーザに与える必要がある。(2)仕事の指示の方法:仕事の指示は口頭で行われることが多く、意図が正しく伝わっていないことが原因で、トラブルが起こりやすい。また、仕事の指示は指示を出す立場の都合で行われる傾向が強いために、仕事担当者は無理な仕事を依頼されることがある。適した人材に適した仕事を割りふるために、仕事担当者の決定や締め切り日の決定のための支援が必要である。(3)スケジュール調整方法:グループワーク管理ツールを用いたスケジュール調整は、会議の設定等を優先とするスケジュール調整を行うため、個人のスケジューリングはトップダヴン的に仕事を決定される傾向が強く、ユーザに好まれない。これらに対し、本研究で検討している基本アイデアを以下に示す。帳票電子メールによる、仕事の指示:仕事依頼者は図1に示した仕事依頼帳票を電子メールで仕事担当者に送ることで仕事を依頼する。こうすることにより口頭より確実に仕事の指示ができ、特に、仕事依頼者が仕事担当者に仕事の工数や優先度を指定することで、どれくらいの精度で行うべき仕事であるのかがわかる。スケジューラは仕事依頼帳票を受け取ると、自動的にスケジュールを登録する。(課題(1)(2)の解決)仕事の忙しさの管理:仕事の分量を管理するすることで、ユーザ毎の"仕事の忙しさ"を把握できる。例えば、『忙しいから、仕事Aは断わろう。』といった判断をシステムが自動的に行える可能性がある。(課題(1)(2)の解決)操作履歴を用いた個人適応:仕事の実行履歴を残し、実行履歴からユーザモデルを作成することで、適応的なシステムを目指す。例えば、上で述べた"仕事の忙しさ"は実行すべき仕事の工数を見積り、その総和と考えることができるが、各仕事の工数は個人の能力に依存しており、単純に仕事依頼帳票の工数欄で指定された工数をそのまま仕事の工数とするわけにはいかない。個人の能力を示したユーザモデルが必要である。(課題(1)(2)の解決)エージェント間通信による協調:個人の都合を主張するスケジューラとエージェントとし、これらの相互作用で、スケジューリングを行う。(課題(1)(3)の解決)

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