フィリピン,ダバオ市における不法占拠居住者と移転居住者の居住環境選好意識

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  • STATED RESIDENTIAL PREFERENCE OF SQUATTERS AND RESETTLERS IN DAVAO CITY, PHILIPPINES

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抄録

本研究では,フイリピンのダバオ市における不法占拠居住者(行政による再定住プログラムによって移住した移転居住者を含む)に対して,居住環境に関する選好意識を分析した。居住環境を構成する属性としては,1)住宅の所有権,2)都心部への接近性,3)上・下水道などの社会基盤施設の整備水準,4)安価な公共交通サービスの利用可能性,5)住宅の形態,6)教育・医療施設などの供給水準の六つの要因を取り上げ,コンジョイント分析を利用することにより,不法占拠居住者の居住環境に関する選好意識を計量的にとらえる方法を試みた。分析の結果,不法占拠居住者と移転居住者は所有権を得ることを好むほか,郊外であること,上・下水道など良好な社会基盤を備えていること,安価な公共交通サービスが利用できること,一戸建てであること,高水準の教育・医療施設があることを選好していることが明らかになった。また,どの要因が選好を決定するにあたり重要であったかについて,高い順にみると,1)住宅の所有権(26.30%),2)都心部までの接近性(22.24%),3)上・下水道などの社会基盤施設の整備水準(21.41%),4)安価な公共交通サービスの利用可能性(13.17%),5)住宅の形態(9.17%),6)教育・医療施設などの供給水準(7.70%)という結果が得られた。本研究で用いたコンジョイント分析は,居住環境のような複数の属性をもつ仮想の評価対象について,住民の選好構造を計量的に分析するための有効な手法となりうる。すなわち,住民は所有権を重視する政策を支持しているが,その要件については改善を求めていることがわかった。

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