アルコール類のウイルス不活化作用に関する研究ウイルスに対する各種アルコールの不活化効果について

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タイトル別名
  • Virucidal Activity of Alcohols Virucidal Efficiency of Alcohols Against Viruses in Liquid Phase
  • アルコールルイ ノ ウイルス フカツカ サヨウ ニカンスルケンキュウ ウイルス

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抄録

親水性ウイルス (エンテロウイルス) および親油脂性ウイルス (アデノおよび被エンベロープウイルス) の合計11種類のウイルスに対する, メタノール, エタノール, イソプロパノールおよびN-プロパノールの不活化作用を検討した.<BR>エンテロウイルスはメタノールによつて最も強い不活化作用を受け, 次いでエタノールであつた. イソプロパノールによつては, AHCウイルスが長時間の感作でわずかに不活化されるのを除き, 他のウイルスは全く不活化を受けなかつた.<BR>親油脂性ウイルスの中, 被エンベロープウイルスはN・プロパノールによつて最も強い不活化を受け, 次いでイソプロパノール, エタノール, メタノールの順であつた. これに対し, アデノウイルスはエンベロープゥイルスと同様にN-プロパノールによつて最も強い不活化を受けるが, その他のアルコール類に対する感受性は大きく異なり, 以下メタノール, エタノール, イソプロパノールの順に不活化効果が示された. アデノウィルスにおいては, 特にエタノールに対する抵抗性の強さおよび20℃ においてはイソプロパノールによりほとんど不活化を受けないことが注目された.<BR>エンテロウイルス中のAHCウイルスおよび親油脂性ウィルス中のアデノウイルスを除外すると, 全体的な傾向として, エンテロウイルスは炭素数の少いアルコール類, 親油脂性ウイルスはこれと反対に炭素数の大きいアルコール類により, 不活化を受け易い傾向が認められた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 55 (5), 355-366, 1981

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (4)*注記

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