便よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌が検出された34患者の臨床的および病理学的検討

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タイトル別名
  • Clinical and Pathological Study of 34 Patients with Isolation of Methicillin-Resistant <I>Staphylococcus aureus</I> in Stool Culture
  • ベン ヨリ メチシリン タイセイ オウショクブドウキュウキン ガ ケンシュツサ
  • Clinical and Pathological Study of 34 Patients with Isolation of Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus in Stool Culture

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抄録

過去1年6ヵ月の間に便よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) が検出された34患者について臨床的および病理学的検討を行った. 対象患老のうち, 諸家の報告の大半を占めた手術患者は11患者 (32%) に過ぎず, 多くは内科領域の疾患を有する患者であった (68%). 消化管症状として33患者 (97%) に下痢を認めたが, 便の性状は水様便から泥状便まで多様であり, 発熱, 白血球数, C反応性蛋白濃度などの炎症所見の程度も様々であった. 下痢は肺や尿路などのMRSA感染症に先行もしくは単独で出現した患者が多く (62%), MRSA腸炎の早期診断には便性状の把握が重要であることを示した. 34患者中17患者 (50%) においてC. dufficileが同時に検出され, 本菌も下痢に関与していることが示唆された. 転帰をみると軽快例は27患者, 死亡例は7患者であった. 死亡例のうち3患者は直接死因の一つとしてMRSA腸炎の関与が示唆され, 本症の早期診断と治療の重要性を示した. 患者の経過からみて, 治療の基本は全身状態の改善と適切な抗菌薬の選択であることが確認された. 剖検例5患者において最も共通した病理所見は結腸粘膜の浮腫であり (4患者), 特異的な所見は認めなかった. 他に回腸の浮腫・出血と結腸の多発びらんが1患者に, 結腸の出血が1患者に, また結腸の偽膜形成と好中球浸潤が1患者 (C. difficile検出例) にみられた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 65 (11), 1394-1402, 1991

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (4)*注記

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