改良PCR 法を用いた健常成人の肺炎球菌保菌検出と莢膜型同定

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タイトル別名
  • Detection and Serotyping of <i>Streptococcus pneumoniae </i>Carried in Healthy Adults with a Modified PCR Method
  • カイリョウ PCRホウ オ モチイタ ケンジョウ セイジン ノ ハイエン キュウキンホキン ケンシュツ ト キョウマクガタ ドウテイ

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抄録

健常者の肺炎球菌保菌調査はこれまで咽頭培養によって行われてきた.しかし健常者に少数保菌されている肺炎球菌を,α 溶血を示す多数の常在口腔レンサ球菌の中から検出するのは容易ではなく,保菌頻度が低く見積もられる恐れがある.近年PCR による肺炎球菌検出法が報告されているので,我々は健常者咽頭ぬぐい液の混合増菌培養液からPCR によって肺炎球菌を検出し,さらに莢膜型を決定する改良法を検討した.2011~2013 年に名古屋市内の40 歳以上の健常者110 名から咽頭ぬぐい液を採取し,混合増菌培養液からDNA を抽出してPCR により肺炎球菌特異的遺伝子lytA を検出した.さらにlytA 陽性混合培養液からPCR により,23 価ワクチンに含まれる莢膜型遺伝子を個別に検出した.その結果110 名中36 名(32.7%)がlytA 陽性で,肺炎球菌を咽頭に保菌していると考えられた.この結果は従来の培養法による健常者保菌報告と比べて高かった.したがってPCR 検出法は健常者の肺炎球菌保菌をより高感度に検出すると思われる.さらに,36 名のlytA 陽性混合培養液から28 名の23 価莢膜型菌保有者をPCR で決定することができた.検出された莢膜型の頻度は14 型が最も多く,次いで4,18C,6A/B,の順だった.1,5,10A 型菌はそれぞれ少数検出された.なお,lytA 陽性者36 名の中でPPV23 を接種していたのは5 名であり,そのうち4 名が保菌する菌がPPV23 に含まれていた.本研究により,PCR による莢膜型同定は,型血清による莢膜型決定法が不可能な混合培養菌液でも可能であり,検出感度も良く,再現性に優れていることが明らかとなった.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 89 (3), 375-381, 2015

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

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