高等学校生徒における日本脳炎中和抗体の維持状況について

書誌事項

タイトル別名
  • Investigation of Maintenance of Neutralizing Antibody to Japanese Encephalitis Virus among Senior High School Students
  • コウトウ ガッコウ セイト ニ オケル ニホン ノウエン チュウワ コウタイ

この論文をさがす

抄録

日本脳炎のワクチンによって基礎免疫が終了したのち, 長期にわたって受けていた同ワクチンの追加接種を免れた場合の抗体の維持状況を検討するため, 広島市近郊のH高等学校生徒を対象に, 1978年から1980年の3力年にわたって各年採血した合計361例の血清について, JaGAr#01株-初代鶏胎児細胞-50%ブラック減少法の系で日本脳炎中和抗体の動向を追跡した.<BR>中和抗体価<1: 10の学年別の推移は, 1学年17.6%, 2学年24.2%, 3学年25.0%であった.これらのうちから, 1974年からのワクチン追加接種歴の明らかな例についてまとめてみると, その推移は1学年16.0%, 2学年22.4%, 3学年26.1%であった.<BR>一方, これらを抗体価の累積分布からみると, 1学年はその約70%前後が, 2学年は76-78%が, 3学年では約80%前後が1: 100 (<1: 10を含む) 以下の抗体域に分布した.<BR>3年連続して採血しえた35例についてみると, そのうち19例に学年と共に抗体価の低下がみられたが, ≧1: 10からく1: 10に低下したのは3例であった.その他の例では, 結果として3年後 (3学年) には初 (1学年) めの抗体価の約1/2-1/3に低下する例が多かった.<BR>これらの成績から, 長期のワクチン追加接種があっても, それを免れた場合抗体価の低下が始まるが, その低下は初めの1-2年でやや大きく, その後はやや小刻みな低下を示すものと推測された.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 56 (11), 1003-1011, 1982

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ