One step RT-PCR法による媒介蚊からのフラビウイルスRNAの検出条件の検討

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タイトル別名
  • Application of One Step RT-PCR Assay for Detection of Flavivirus RNA in Mosquitoes
  • One step RT PCRホウ ニ ヨル バイカイ カ カラ ノ フラビウイルス RNA ノ ケンシュツ ジョウケン ノ ケントウ

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抄録

デング熱, ウエストナイル熱など世界中で蚊媒介性感染症の流行, 拡散がみられており, フラビウイルス属の国内侵入が強く懸念されている. そのために, フラビウイルス媒介蚊のサーベイランスを効率かつ有効に行えるシステム構築を念頭に, one step RT-PCR法による媒介蚊からのフラビウイルスRNAの検出条件および採集蚊の保存条件の検討を行った. 検出条件では, ISOGEN-LSおよびカラムの使用, 熱処理など検討したが, 蚊乳剤の遠心上清からISOGEN-LS抽出することが最も高感度であった. この抽出法により各ウイルスの検出感度をウイルス量 (Plaque forming unit: PFU) として評価したところ, 蚊100個体のプールからフラビウイルス共通プライマーを用いた場合は100PFU, 各ウイルス特異的プライマーでは10PFUであった. そして, 人工的に作製したデングウイルス感染蚊1個体と未感染蚊99個体のプールからウイルスRNAの検出が可能であった. また, 保存条件の検討では, 冷凍・冷蔵でなくとも室温で30日間経過してもウイルスRNA検出は同レベルで可能であった. 以上のことから, 本研究による諸条件の設定のもと, 実効性の高い, 簡便安価でかつ短時間での判定が可能なone step RT-PCR法によるフラビウイルス媒介蚊のサーベイランスへの実用が可能となり, 新たなサーベイランスシステム構築の大きな一助になるものと思われた.

収録刊行物

  • 感染症学雑誌

    感染症学雑誌 77 (10), 822-829, 2003

    一般社団法人 日本感染症学会

被引用文献 (5)*注記

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参考文献 (18)*注記

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