ジュスティーヌ
著者
書誌事項
ジュスティーヌ
(アレクサンドリア四重奏 / ロレンス・ダレル著 ; 高松雄一訳, 1)
河出書房新社, 2007.3
- タイトル別名
-
Justine
- タイトル読み
-
ジュスティーヌ
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注記
「1962年版の一冊本 "The Alexandria quarter" を底本として全面的に改訳」 -- p339
内容説明・目次
内容説明
このエーゲ海の孤島に、ぼくはぼくたちの心を引き裂いたあの都会から逃れてきた。ぼくをメリッサに会わせ、そしてジュスティーヌに会わせたあの都会—ぼくがメリッサを見出したとき、彼女はアレクサンドリアの淋しい海岸に、性の翼を破られて、溺れかかった鳥のように打ち上げられていた。彼女の明るいやさしい眼差しはぼくを幸せにした。それなのに、やがて出会ったジュスティーヌの仄暗くかげる凝視に、ぼくは抗うことができなかった。メリッサとジュスティーヌの夫を不幸にすることがわかっていても。ジュスティーヌがある日こう言ったのを思い出す。「わたしたちはお互いを斧の代りに使って、本当に愛している人たちを切り倒してしまうんだわ」しかし、ぼくはいま、あの埃にまみれた夏の午後から遠く離れたいまとなって、やっと理解した。裁きを受けるべきはぼくたちではない、あの都会なのだと—。
「BOOKデータベース」 より