書誌事項

危機下の中古文学

久保朝孝編 ; [浅尾広良ほか執筆]

武蔵野書院, 2021.3

  • 2020

タイトル別名

危機下の中古文学2020

タイトル読み

キキカ ノ チュウコ ブンガク

大学図書館所蔵 件 / 55

注記

その他の執筆者: 浅田徹, 安藤徹, 乾澄子 [ほか]

本論集発起人: 神田龍身, 福家俊幸, 外山敦子

文献: 論文末

2020年は、人類の生存に関わる自然と人為的な脅威が多発した。そのような1年を、文学に関わる研究者はどう過ごしたのか。42名の中古文学研究者が、この問いに対する回答を研究論文集としてまとめる。

収録内容

  • 河内本源氏物語の校訂方法 : 若紫巻を中心として(上) / 浅尾広良 [執筆]
  • 散佚物語「あまのもしほび」について : 物語と戦乱 / 浅田徹 [執筆]
  • 『源氏物語』研究の遠近法 : コロナ禍を契機に考える / 安藤徹 [執筆]
  • 「契り」と「宿世」 : 『夜の寝覚』論に向けて / 乾澄子 [執筆]
  • 異界と現実を橋渡す古代物語を読む : 二〇二〇年の試みから / 井上眞弓 [執筆]
  • 紅葉賀の行幸 : 平成の『源氏物語』研究の源流をさぐる / 今井上 [執筆]
  • 『狭衣物語』異本系本文の世界 : 「親子の情」に見る改変の論理 / 今井久代 [執筆]
  • 古典教育から考える、見えない「疫病史」 : 『枕草子』における授業実践から / 勝亦志織 [執筆]
  • 『枕草子』の「菖蒲・あやめ草」 : 「アンチエイジング」の言葉 / 亀田夕佳 [執筆]
  • オンライン時代の学会運営とICT活用 : 中古文学会のオンラインシンポジウムを企画して / 河添房江 [執筆]
  • 『源氏物語』の終り方 : 浮舟=落下したかぐや姫 / 神田龍身 [執筆]
  • 『紫式部日記』の成立 : 読み手の想定を手がかりに : 補遺 / 久保朝孝 [執筆]
  • 早稲田大学図書館蔵富士谷成孚書入れ本『源氏物語』について : 書入れに見える父・成章の影響と成孚独自の源氏学の進取性 / 栗山元子 [執筆]
  • 危機下の「文」の機能とその力 : 空海の場合 / 河野貴美子 [執筆]
  • 『土佐日記』誤写考 : "貫之自筆本"本文を疑う / 後藤康文 [執筆]
  • 中古文学と学習指導要領の改定 : 二〇一九年度中古文学会秋季大会シンポジウムを振り返る / 小森潔 [執筆]
  • 「女」の時間の『とはずがたり』 : 分裂をつなぐ主人公二条 / 斎藤菜穂子 [執筆]
  • 『栄花物語』「世の中騒がし」小考 : 疫病の流行をめぐる表現として / 桜井宏徳 [執筆]
  • 『堤中納言物語』「虫めづる姫君」の主人公と女房たち : 異質さとのかかわり方 / 陣野英則 [執筆]
  • 今上帝はなぜ、いつまでも譲位しないのか? : 「朱雀王統」と薫・その二 / 助川幸逸郎 [執筆]
  • 『紫式部日記』の歌の場面を読む : 歌の背景に思いを寄せて / 鈴木裕子 [執筆]
  • 『古今和歌集』の羇旅歌について : 旅の歌の創造 / 鈴木宏子 [執筆]
  • 蜻蛉日記における外出と自然賞美 : 付、「紅葉狩」考 / 高木和子 [執筆]
  • 『大鏡』天変地異に見る歴史認識 : 怨霊と疫病 / 高橋麻織 [執筆]
  • 扇をさし隠す夕霧 : 『源氏物語』「夕霧」巻における夕霧の小野再訪をめぐって / 竹内正彦 [執筆]
  • 歌舞伎から『源氏物語』を考える : 長編性と短編性 / 田坂憲二 [執筆]
  • 『源氏物語』若菜巻の「ぬるし」と六条院 : 迫りくる危機を警告する「装置」として / 外山敦子 [執筆]
  • 関屋巻の音風景 : 「音 (ね) 泣く」空蟬の変容と逢坂の関 / 内藤英子 [執筆]
  • 『枕草子』「小白河結縁八講」章段攷 : 散文化した「歌ことば」の機能 / 中田幸司 [執筆]
  • 読みの「ゆらぎ」と古典化の力学 : 『狭衣物語』による『源氏物語』若紫巻の再構成をめぐって / 中西智子 [執筆]
  • このような時代に、文学を読み、学び、研究すること、あるいは文化と関わること : COVID-19を映し鏡として / 新美哲彦 [著]
  • 『紫式部日記絵巻』に描かれた装束についての検証 : 装束描写の文字化と冬の冠直衣姿 / 畠山大二郎 [執筆]
  • かぐや姫の帰郷の論理・話型で読む『竹取物語』 : 「どのように」語られているのか・「語り」と「言説」の再検討 / 東原伸明 [執筆]
  • 平安私家集の古写断簡 : 存続と資料価値の付加 / 日比野浩信 [執筆]
  • 丸山眞男「忠誠と反逆」に導かれて、日本版「リベラル」の可能性を古典テクストのうちに探る : 二〇二〇年度後期「文学」講義シラバス / 深沢徹 [執筆]
  • 『和泉式部日記』とゴシップ : 宮は軽率なのか / 福家俊幸 [執筆]
  • 「聖徳太子の家」考 : 『平中物語』三六段の謎解き / 本田恵美 [執筆]
  • 『土佐日記』の海賊 : 姿を現さない危機 / 松岡智之 [執筆]
  • 『源氏物語』柏木の結婚について : 父太政大臣の野心 / 松本美耶 [執筆]
  • 『堤中納言物語』「花桜折る少将」末尾の解釈 : 「中将の乳母」は本当に姫君の乳母なのか? / 山田利博 [執筆]
  • 室生犀星の王朝小説「虫姫物語」 : 「虫の章」「何処の野に」「虫姫日記」から / 横溝博 [執筆]
  • 『山路の露』小考 : 『源氏物語』の「最終巻」として / 吉井美弥子 [執筆]

内容説明・目次

内容説明

総勢42名の中古文学研究者はこの危機下で何をなそうとしたのか?2020年は、気候変動による甚大な自然災害の多発、新型悪性感染症の世界的蔓延、新自由主義経済が招来する貧富差の拡大、国家・民族・人種間の分断、民主主義の脆弱さの露呈、そして核兵器を中心とする軍事力拡大競争など、人類の生存に関わる自然と人為的な脅威が多発した年、危機下の一年として、いずれ回想されることになろう。そのような一年を、文学に関わる者として我々はどう過ごしたのか。将来そう問われたときに、何と答えるべきか。中古文学研究という場において、我々は何をなし得たのか、あるいは何をなそうとしたのか。本書は、この問いに対する回答を研究論文集として一書にまとめ、広く江湖に提示するものである。

目次

  • 河内本源氏物語の校訂方法—若紫巻を中心として(上)
  • 散佚物語「あまのもしほび」について—物語と戦乱
  • 『源氏物語』研究の遠近法—コロナ禍を契機に考える
  • 「契り」と「宿世」—『夜の寝覚』論に向けて
  • 異界と現実を橋渡す古代物語を読む—二〇二〇年の試みから
  • 紅葉賀の行幸—平成の『源氏物語』研究の源流をさぐる
  • 『狭衣物語』異本系本文の世界—「親子の情」に見る改変の論理
  • 古典教育から考える、見えない「疫病史」—『枕草子』における授業実践から
  • 『枕草子』の“菖蒲・あやめ草”—「アンチエイジング」の言葉
  • オンライン時代の学会運営とICT活用—中古文学会のオンラインシンポジウムを企画して〔ほか〕

「BOOKデータベース」 より

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