地下出版のメディア史 : エロ・グロ、珍書屋、教養主義
著者
書誌事項
地下出版のメディア史 : エロ・グロ、珍書屋、教養主義
慶應義塾大学出版会, 2022.3
- タイトル別名
-
地下出版のメディア史 : エログロ珍書屋教養主義
- タイトル読み
-
チカ シュッパン ノ メディアシ : エロ グロ チンショヤ キョウヨウ シュギ
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注記
博士論文「地下出版と教養のメディア史 : 近代日本における教養主義の裏面」 (東京大学, 2020年) を原型としたもの
昭和「地下出版界」関連年表: p433-458
参考文献一覧: 巻末p11-21
内容説明・目次
内容説明
近代日本の出版文化は、岩波書店と講談社に代表される「知識人/大衆」という対比構造によって、しばしば教養主義の観点から論じられてきた。しかし、読書が大衆化した時代に、この図式に収まりきらない非正統的で「知的」な地下出版空間が存在した。本書では、これまで閑却されてきた非公刊の軟派出版(性風俗、猟奇、犯罪を取り扱った刊行物)とその版元に注目し、教養主義の言説空間との関係性から捉え返すことで、地下出版界をメディア史的に体系化する。「好色出版の帝王」梅原北明、「書痴」斎藤昌三、「軟派出版界の元老株」伊藤竹酔、「毒舌和尚」今東光など、多くの出版人の足跡を追いながら、同時代の社会運動や芸術運動とのかかわりのなかで広がった「知のネットワーク」を明らかにする。
目次
- 教養主義の「裏通り」
- 第1部 地下出版界の前史(“社会運動”としての自費出版同盟—毒舌和尚・今東光と雑誌『文党』の挑戦;文藝市場社の「誕生」—烏山朝夢から梅原北明へ;「直筆原稿」のメディア論—文藝市場社の設立と直筆原稿叩き売り)
- 第2部 地下出版界の成立過程(“変態”な教養/教養としての“変態”—逆立ちした教養主義;愛書趣味とオブジェとしての書物—軟派出版界と限定本の快楽;“談奇”の表象と東アジア—理想郷イメージとしての上海)
- 第3部 地下出版界の成熟と瓦解(「地下出版界」の最期—大衆化するエロ・グロ・ナンセンスと珍書屋の受難;「裏道の文化」の行方—戦後に残された軟派出版界の残滓)
- 「撹乱」する思想としての地下出版
「BOOKデータベース」 より