励起 : 仁科芳雄と日本の現代物理学

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励起 : 仁科芳雄と日本の現代物理学

伊藤憲二 [著]

みすず書房, 2023.7

Title Transcription

レイキ : ニシナ ヨシオ ト ニホン ノ ゲンダイ ブツリガク

Description and Table of Contents

Description

今日の日本を支える先端的物理学研究のインフラとカルチャーが築かれたのは、昭和初期から戦争と敗戦を経て占領期に至る困難な四半世紀の出来事だった。それはいったい、どのようにしてなされたのだろうか。この国に基礎科学のオリジナルで強力な研究伝統が生まれたことは、世界史上、自然科学研究の非西洋圏への広まりのさきがけの一つであり、その幅広い帰結をいま、私たちは目にしている。この歴史的事業のキーパーソンであり、圧倒的牽引力となったのが、仁科芳雄であった。本書は彼の動きを軸に、日本における現代物理学の基盤創設の道のりを詳らかにし、それをグローバルな文脈に位置付ける。上巻は物理学者・仁科の誕生と成長を追いつつ、国内外における理学・工学研究の開拓、理化学研究所および大学の理工学部門の起動、アインシュタインの理論や量子力学の登場と本邦への導入などを見る。欧州が量子革命の只中であった1928年、日本でもこの新しい物理学が湯川・朝永ら優れた若い頭脳の関心を惹き始めていた時、N・ボーアをはじめとする欧州の第一級の研究者たちに交じって現代物理学の地平を展望した仁科芳雄が、留学から帰国する。ここに、世界的な水準の物理学者コミュニティーが生まれようとしていた。

Table of Contents

  • 序 仁科芳雄という出来事
  • 1 出自と基礎(里庄の仁科家;少年時代と進路の決定;東京帝大工科大学時代;理化学研究所へ、そして物理学へ)
  • 2 渡欧時代(欧州留学と英独物理学;コペンハーゲンの物理学;相補性とクライン=仁科の式)
  • 3 量子力学の伝道(仁科の帰国と新世代の物理学者たち;量子力学の伝道者たち;仁科研究室創設と「コペンハーゲン精神」;エックス線から宇宙線・原子核へ;理論研究の始まり;台北と大阪の原子物理学;量子力学の哲学と戦前日本の知識人たち;ボーアの来日と相補性)

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