クレア
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クレア
(アレクサンドリア四重奏 / ロレンス・ダレル著 ; 高松雄一訳, 4)
河出書房新社, 2007.7
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Clea
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クレア
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参考資料: p399-401
Description and Table of Contents
Description
時は経過し、あの都会も戦争の深い影に覆われている。島で暮らすぼくのもとに、ネッシムから、帰ってくるようにという便りが届いた。彼は空襲で負傷し、ジュスティーヌは軟禁されているという。すべての人間関係が変わっていた。不安な心がぼくの内部で北極星のように震えた。しかし、憐れみと欲望と恐怖のあいだで、あの都会がふたたび眼前に広がるのをぼくは見た。ぼくの記憶が仮面の人々を住まわせておいた、あの邪悪で美しい都会。かつて、そこをぼくはとても愛していたのに、踏みとどまるだけの気力がなかった。いまにして思えば、憎んでいたのかもしれない。永久にあの都会から立ち去り、その殻を脱ぎ捨てるためにも、ぼくはいま、再会しなければならなかった。アレクサンドリア、追憶の首都に—。
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